★「日本プロシニア」欠場に追い込んだ中嶋常幸のインターロッキング・グリップ!

まだまだ力強いショットを放つ中嶋常幸のドライバー(コマツオープンで)
まだまだ力強いショットを放つ中嶋常幸のドライバー(コマツオープンで)

10月20日には54歳になるシニアエイジの中嶋常幸が、レギュラーツアーの「ANAオープン」(北海道・輪厚、9月21日最終日)で2位に入る大健闘で驚かせました。スコアは11アンダー。優勝した31歳の矢野東に4打差でした。2年前の三井住友VISA太平洋マスターズでも52歳でレギュラーツアーを制していますが、今回は大会前日、石川遼の「インターロッキング・グリップ」のショットを見て、自分もそれを採用して試合に望み、好結果を生んだそうです。常に貪欲に進化を続ける″ゴルフの虫〝トミーですが、変えたグリップが右腕に影響を及ぼして右上腕部の腱を痛め、今週末に予定していたシニアツアー「日本プロシニア選手権」を急きょ、キャンセルする事態となったのは皮肉でした。

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 初日、いきなり7バーディー、1ボギーの66で2位タイスタートでした。3日目、初めてオーバーパーの73をたたいて6位に落ちましたが、最終日にもう一度盛り返した粘り腰は、中嶋常幸ならではです。バックナインに入り13番から3連続バーディーのラッシュで首位に3打差に詰め寄りました。「ここまできたら攻めるしかない」と、16番(パー3)では手前一杯に切ってあるピンに対してデッドに攻めたのが僅かに短く、グリーン手前のバンカーに落ち、ボギーにしました。17番は林に入れたピンチをナイスパーで凌ぎ、最終18番では3メートルのバーディーパットを見事の決める67のフィニッシュでした。
 ギャラリースタンドからは優勝者に勝るような大拍手で、大会のもう一人の″主役〝でした。「オールドマン・ドリームを追っかけたけど正夢にはならなかったね。でも得るものばかりの充実した4日間だったよ」と、戦い終わったトミーは満足げに話しました。

 

シニアツアーのみならず、レギュラーツアーでもまだ人気絶大の
シニアツアーのみならず、レギュラーツアーでもまだ人気絶大の53歳・中嶋常幸(右)

今週は中嶋にとって大きな区切りになるトーナメントでした。大会前日のプロアマ大会で、ナイスショットを連発する石川遼のスイングを見てハッと思いついたのは、遼クンがやっている右手小指を左手人差し指の下から組み合わせるインターロッキング・グリップです。中嶋自身も30年ほど前にはやった経験のあるグリップですが、その後は右手小指を左手人差し指の関節の上に引っかけて握るもっとも普通なオーバーラッピング・グリップで通してきました。
 タイガー・ウッズやジャック・二クラウスもこのインターロッキング・グリップをしていることは有名ですが、近年ではオーバーラッピングが主流になっています。握力の弱いジュニアゴルファーはインターロッキングから始めるケースもありますが、石川遼もそうでした。
 ところが昨年末、プロアマコンペで同組になったジャンボ尾崎から「インターロッキングじゃあ、アプローチで微妙なタッチが出せない」とアドバイスされ、今年はオーバーラッピングに変えてツアーをスタートした石川遼でした。しかし、シーズンに入ってからまた元のインターロッキングに戻したいきさつがあります。

 中嶋が遼クンのインターロッキングを見て昔を思い出したというのも面白いですが、タイガー・ウッズに傾倒している中嶋らしい″変身〝でした。一般的といわれるオーバーラッピンググリップは、右利きの指1本を外すので左手4本とのバランスがとりやすいのと、左右両手の一体感が出やすいのが特徴です。対してインターロッキングの長所は、右手の利き過ぎがセーブされるので方向性が安定。短所といえば、距離は落ちるといわれています。オーバーラッピングは7本の指(親指を除く)、インターロッキングは6本(同)で握ることになります。

 

インターロッキング・グリップでナイスショットを連発する
インターロッキング・グリップでナイスショットを連発する中嶋常幸の右腕には使いなれない筋肉のハリが・・

中嶋常幸が30年ぶりにインターロッキング・グリップを採用した真意は分かりませんが、結果的にはANAオープン4日間では
平均ストローク 67.21 3位
パーオン率   83.33 7位
パーキープ率  88.89 11位
FWキープ率  35.71 42位
平均パット   1.533 1位
ドライビング・
デイスタンス  285.00 56位

 と好結果を生み、2位に入る健闘でした。

 

 

 ところが、最終日の中嶋は右腕上腕部に分厚いテーピングを施す痛々しい姿でした。「普段使っていない筋肉を使ったせいか(右腕が)パンパンに張っている。箸ももてないほど・・」というのです。さらに右手薬指にはマメまでできたようです。それにしては最終日の頑張りはすごかったですが、そのムリ?が後を引きそうです。22日には、次週25日からのシニアツアーのメジャー「日本プロシニア選手権」のエントリー取り消しを主催のPGAに通達しました。日本プロシニアは06年の優勝者で、シニアになってからは3年連続で出場している大事な試合ですが、ついに欠場のやむなきに。「この分だと、その次の週の富士フィルムシニアもプレーできるかどうか分からない」という重症?。 中嶋はここ数年、背筋痛に悩まされ、これが持病のようになっていましたが、加えて右腕腱の痛みが出たとは、あまりにも代償の大きかったインターロッキング・グリップということにもなりそうです。早い回復を祈るのみです。
☆中嶋常幸の今季の獲得賞金
(永久シード権を持っているため、好きな試合に出られる)
●レギュラーツアー 5試合
1592万4000円

●シニアツアー 3試合
799万2000円