石川遼、世界を驚かせた「賞金全額寄付!」プレーオフの相手はやりにくい?

「賞金全額寄付」を打ち出した石川遼の積み立ては今週のマスターズから始まる!
「賞金全額寄付」を打ち出した石川遼の積み立ては今週のマスターズから始まる!

 石川遼の「今季の賞金すべて寄付します」という発表には驚かされました。マスターズに備えて米国オーガスタに滞在中の石川が、父親勝美氏や各スポンサーと協議した上、東日本大震災の被災者支援をこういう形で決めました。併せてバーディー以上1個につき10万円も義援金にあてることも決め「今年1年は復興へ向けて被災者の方は長い戦いになるでしょうから、一回きりというのでなく自分もみんなと一緒に戦いたい」と、泣かせるセリフも添えました。ゴルフ界でも義援金は大勢のプロや団体から出されており多岐にわたっていますが、石川遼の発案が”極めつけ”になりました。2010年の石川の実績から換算しますと、1億8646万円余となりますが、今年はそれを上回る活躍が出来ますかどうか。海外のメジャーも含みますので今週のマスターズから賞金の積み立てが始まります。
 
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マスターズ出場を控えた米オーガスタで、父親勝美氏と協議して決めた石川遼の東日本大震災への支援は「今季の獲得賞金の全額寄付」だった。
マスターズ出場を控えた米オーガスタで、父親勝美氏と協議して決めた石川遼の東日本大震災への支援は「今季の獲得賞金の全額寄付」だった。

 3月11日の大震災から1週間とたたないうちに、野球のイチローが「1億円の義援金を日本赤十字社を通じて寄付した」との報道がなされました。イチローは、2月に新燃岳噴火のときにも宮崎県に1000万円を寄付していますが、自身の慈善活動についてはコメントしないのがイチローのポリシー。今回も素早く行動に移したものの、米アリゾナ州で大リーグのオープン戦を転戦中のイチローは黙して語らずでした。スポーツ選手による被災地への募金活動が日々広がる中、石川遼は自分のキャラクター商品のうちヘッドカバーの売り上げ金を寄付すると申し出ていて「あの石川遼がヘッドカバーの売り上げ金とは・・」と、一種冷ややかな声も上がっていました。寄付に金額の大小はありませんが、石川は2月から長期にわたって米国遠征を続けているときに勃発した大災害でした。19歳の遼はいまひとつ実感としてなかったのかも知れません。マスターズを控えて父親・勝美氏が、オーガスタ入りした遼と合流した直後に、このビッグな提案がなされました。大震災を日本で目の当たりにして渡米した父親の強い意見もあったと思われます。
 

石川の父親・勝美氏はオーガスタで遼と合流して話し合い、世界を驚かせた「今季の賞金全額寄付」を決めた。
石川の父親・勝美氏はオーガスタで遼と合流して話し合い、世界を驚かせた「今季の賞金全額寄付」を決めた。

 ただ米国にいても、石川はテレビ等で流れる衝撃的な映像には、かなり心を痛めていたようです。この発表をしたあと「正直すっきりしました」と、複雑な思いが晴れたような笑みをみせたのがその証明でしょう。記者団とのやりとりの中で遼はこうもいいました。「いままで稼いだお金は練習環境を作ったり自分のゴルフのために費やしてきましたけど、自分のゴルフに使う分は十分足りているし、まだ蓄えもあります。獲得賞金は自分だけのものじゃないから、全額寄付が自分にとっても一番プラスになる使い方だと思う」
 
 石川は2008年にプロ転向してから3年連続で年間1億円超の賞金を稼いでいます。イーグルも含めたバーディー数も年間300個は楽にとっていますから「トータルで2億円を目指したい」という目標は不可能ではないでしょう。それに、賞金の全額寄付といっても石川が収入ゼロになるわけではありません。所属のパナソニックを筆頭に20社になんなんとする各種契約先から年間契約料は入るし、ほとんどの契約先とは「優勝のとき契約金の××%」「10位以内なら××%」といったオプションボーナス契約をしています。それだけでも億の収入は見込めるはずです。
 

今季、石川遼は果たして何勝できるか?注目度は倍増した(2010年、3勝目のVISA太平洋マスターズでの優勝)
今季、石川遼は果たして何勝できるか?注目度は倍増した(2010年、3勝目のVISA太平洋マスターズでの優勝)

 被災者支援は今週7日開幕のマスターズからスタートします。3年連続3回目のマスターズですが、過去2回とも予選落ちしているメジャーです。「正直いくらになるか分からない。0円かもしれません。でもあこがれのマスターズから、日本のいろんなひとのためにできると思うと、気合も入ります」と遼。
 今春のこれまで5試合の米国遠征は、予選落ちのある3試合はともに予選落ち。世界マッチプレーは1回戦負けと散々な成績で迎えるマスターズです。万が一、優勝すれば135万ドル(約1億800万円)の優勝賞金がいきなり義援金となります。日本の復興のためにも注目度の増したマスターズになりました。
 
 石川遼の「賞金全額寄付」は、日本のスポーツ紙もすべて1面ないし裏1面で報道しましたが、その反響は大きく英紙タイムズは最終面の半分を割き、スポーツ面でもほぼ1ページを使って報道したそうです。来週14日から始まる日本ツアーではこの声明で石川遼と戦う選手たちが、やりずらさを感じないかとの懸念も出ています。端的な話、石川とプレーオフになったりすると相手はやりにくいとも思われます。JGTOの小泉直会長は「大変すばらしい行為。大賛成でありがたい」としながらも「石川選手と戦う選手が悪者になるというのなら、それは守らなければなりません」と、苦笑を禁じえませんでした。
 
 ゴルフ界の大震災復興支援の輪はまだまだ高まっています。日本ゴルフ協会、日本プロゴルフ協会、日本ゴルフツアー機構、日本女子プロゴルフ協会、日本ゴルフトーナメント振興協会、日本ゴルフ用品協会、日本ゴルフ場支配人会連合会、日本学生ゴルフ連盟、日本高校ゴルフ連盟・・等々のゴルフ関連団体が大同団結して「日本ゴルフ界合同・震災復興支援チャリティープログラム」なるものを推進していくことの記者発表も、4月4日に東京で行われました。