「”勝ちたい”ではなくて”優勝できる”感覚!」宮里美香。 同期生ステーシー・ルイスのナビスコ優勝で高まるモチベーション

一時帰国、トークショーで明るく答える宮里美香。今季への自信があふれる!(東京・ロッテ葛西ゴルフ練習場)
一時帰国、トークショーで明るく答える宮里美香。今季への自信があふれる!(東京・ロッテ葛西ゴルフ練習場)

 先に米カリフォルニア州ミッションヒルズで行われた米女子ツアーの今季メジャー第1戦、クラフト・ナビスコ選手権でトップテン入り(7位)した宮里美香(21)が、ひょっこり帰国しました。日本で試合に出るためではなく、ナビスコのあと米女子ツアーの日程が3週明くために日本で一息入れようという帰国です。米ツアー3年目の今季は、好調な滑り出しをみせる美香。ナビスコを終えたあと「今季の日米両ツアーのメジャー大会で獲得する賞金全額を東日本大震災の義援金として寄付する」と自信満々に表明しました。9日に都内で開いた美香のトークショーでも人気を集めていました。約1週間の滞在で11日には再び渡米、本拠としているフロリダで練習したあと、次は今季5試合目のアヴネットLPGAクラシック(4月28日からアラバマ州)にのぞむ美香です。
 
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宮里美香、トークショー&レッスンに集まった大勢のファン(ロッテ葛西ゴルフ練習場)
宮里美香、トークショー&レッスンに集まった大勢のファン(ロッテ葛西ゴルフ練習場)

 東京・江戸川区臨海町にあるロッテ葛西ゴルフ練習場。宮里美香が東京にいるときはよく通う練習場です。そこに美香プロが12時半に来るというので、おとなから子供まで2時間も前から陣取っているファンも。用具契約のブリヂストンスポーツの肝いりで「宮里美香によるトークショー&レッスン会」のポスターも用意されていました。12時過ぎ、マネジメント契約をしている米国IMGのスタッフに付き添われた美香が来場すると、ゴルフ練習に来ているゴルファーや美香ファンら100人に近い人が会場になっている練習場ロビーに集まりました。「試合が3週間もないので特別な目的はなかったのですが帰ってきました。沖縄には行きません。都内にいたんですけど、(7日夜の)大きな余震はすっごく怖かったです・・。友達から”こういう余震が毎日のように続いているよ”ってメールでもらって、あらためていまの日本を実感しました」などと、ゴルフネットワークの男性アナウンサーとのトークでは気さくにおしゃべりを楽しみました。
 日米両ツアーのメジャー大会の賞金全額寄付については、改めて口を開き「私のメジャーにかける意気込みを通じて被災地復興の少しでもお役に立てばと思いました。いま日本が一つになっろうとしているのを感じます。プロゴルファーとしてやれることを全身全霊を込めてやりたい」と。
 毎朝テレビで観戦したマスターズ。「石川遼プロや松山英樹くん(東北福祉大)の頑張りは皆さんの励みになりますね。遼くんは3度目の正直ですけど、予選突破が目標ではないと思うので上を目指してほしいですね。松山くんは大変な状況で予選突破したのはすごい。仙台の人たちも喜んでいたでしょうね。私も日本を元気づけるプレーをお見せしたいですね」と、同じ年代の若者に親しくエールを送っていました。
 

レッスン会では「私、レッスンプロじゃないから・・」といいながらも女性ファンに熱烈指導する美香(左)=ロッテ葛西ゴルフ練習場
レッスン会では「私、レッスンプロじゃないから・・」といいながらも女性ファンに熱烈指導する美香(左)=ロッテ葛西ゴルフ練習場

 美香は今季メジャー第1戦のクラフト・ナビスコ選手権では、初日67で3位のスタート。2日目に75をたたいて14位に後退しましたが、3日目には70で6位と盛り返し、最終的には2アンダーの7位に入る健闘でした。獲得した賞金は5万0608ドル(約425万円)。これが早速義援金に積み立てられました。同じ沖縄出身の宮里藍は4つ年上で偉大な先輩ですが、21歳になって成長著しい美香の今季は、藍先輩を凌ごうという勢いです。なにせ14歳8ヵ月の日本最年少記録で日本女子アマ選手権に優勝。08年には米女子ツアーの最終予選会にアマチュアで挑戦して12位に入り、米ツアー出場権を得ました。09年のルーキーイヤーは賞金ランク49位でいきなりシード権。10年はトップテンフィニッシュ5回などで賞金ランクは17位に躍進。日本ツアーでは日本女子オープンを制するなど、押しも押されもせぬトッププレーヤーにのし上がりました。この春には、日本のインターネット接続業「NTTぷらら」と、3年間9000万円(推定)のビッグな所属契約も果たし、順調な米ツアー3年目のシーズンを迎えたばかりです。
 

 開幕戦のホンダLPGAタイランドでは2アンダー(13位)、起亜クラシック4アンダー(16位)、クラフト・ナビスコ2アンダー(7位)と、4戦中3試合はアンダーパーのゴルフをキープしています。「オフにフロリダで充実したトレーニングが積めた。自分でも一つレベルが上がった気がする」といっているとおりの実績を挙げています。
 

今季は充実したオフの練習で「ひとつレベルが上がった」という宮里美香(優勝した2010年の日本女子オープン)
今季は充実したオフの練習で「ひとつレベルが上がった」という宮里美香(優勝した2010年の日本女子オープン)

「日本女子オープンで勝ったことで自分のゴルフに自信がつきました。でも米ツアーは層も厚いし、選手ひとりひとりが自分のゴルフに対して強い気持ちを持っているのを感じます。いま私の飛距離は240から50ヤード。米ツアーでは飛ばす人には20~30ヤードは置いていかれます。きついですが、飛距離ではかなわないから、セカンドショットをアグレッシブにいき、あとはアプローチとパッティングの勝負です」
 
 韓国選手の躍進には美香も舌を巻いていますが「ホント、焼肉とキムチの匂いがただよってますよ」と笑わせながらも負けてはいません。「今年はずっとショットはいい感じなので、パッティングが決まれば勝てると思ってます。”勝ちたい”ではなくて”勝てる”という感覚です。今年はどうしてもアメリカで勝ちます」と、強い意思を改めて表現していました。クラフト・ナビスコでツアー初優勝をメジャーで飾ったステーシー・ルイス(26)は09年からツアーに参加した美香と同期生。「ステーシーが初優勝したのは刺激になりましたね。同期で彼女も苦労してきたから・・。私も優勝できるという気持ちがより強くなりました」ときっぱり。つかの間の帰国でしたが、”ナビスコ7位”で「米ツアー1勝!」の意気込みが一段と増幅した美香でした。
 
 日本ツアーのメジャー第1戦、ワールドレディス・サロンパス杯は5月8日からですが、これに美香が参加するかどうかは未定です。茨城・茨城GCでの大会のため、原発事故の影響で開催決定がまだ出ていません。このあとは、9月の日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯、10月の日本女子オープンあたりの帰国になりそうです。あくまでも「米ツアーで初V」の夢実現が、今年の美香の最優先目標といっていいでしょう。朗報はいつくるでしょうか。