またもアラフォー、40歳の久保谷健一がつかんだビッグタイトル。上位総崩れで史上最大の6打差大逆転!!

プロ18年目、夢にまで見た日本オープンの優勝カップを抱く感激の久保谷健一(沖縄・那覇GC)=提供:日本ゴルフ協会
プロ18年目、夢にまで見た日本オープンの優勝カップを抱く感激の久保谷健一(沖縄・那覇GC)=提供:日本ゴルフ協会

 プロ18年目、40歳の久保谷健一が日本の最高峰・日本オープンに初優勝しました。

それも6打差6位から出た最終日、70のベストスコアで回り、通算8オーバーで難攻不落だった沖縄・那覇GCを制しました(通算6勝目)。6打差の逆転は史上最大で3人目。連日の強風、ティフトン芝の深いラフ、難解なグリーン・・タフな条件がそろった中での大会は、初日からアンダーパーの選手がいない戦いとなり、通算8オーバーパーでの優勝は、嵐に中で尾崎直道が通算10オーバーで優勝した99年大会(小樽)=73年ツアー制度施行後=に次ぐ史上2番目に多い日本OPオーバーパーVでした。苦労人で“ぼやき屋”久保谷の大逆転Vは、日本OP史上に残る1戦でした。

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 それにしても“まさか”の大逆転でした。ツアー界トップグループに入る飛ばし屋の久保谷ですが、今週だけは無謀な攻めは封印して「ダブルボギーを打たないゴルフ」に徹したのが結果を生んだのでしょうか。3日目までも着実なゴルフで9位、3位、6位と9オーバーでベストテン内に食い下がる戦いでした。最終日を迎えて首位には6打の大差。優勝はあきらめて?回ったリラックスがよかったのでしょうか、初めての1アンダー「70」。通算8オーバーとした粘りに、女神は微笑んだのでしょう。

台風がらみで強風の続いた沖縄で安定したショットを続けた久保谷健一(沖縄・那覇GC)=提供:日本ゴルフ協会
台風がらみで強風の続いた沖縄で安定したショットを続けた久保谷健一(沖縄・那覇GC)=提供:日本ゴルフ協会

 2組前で先にホールアウトしていた久保谷はもう帰り支度中。そこえ関係者から「(トップを行く)パグンサン(比国)が17番(パー3)で池ポチャしてダボにした」という連絡。2打差のリードでしたから、この池ポチャで久保谷と並ぶ8オーバー。最終ホールでパーならプレーオフという事態に急変です。慌てて練習グリーンでボールを転がし始めた直後「パグンサンが、18番で2メートル弱のパーパットを外してボギー」の情報。安定したゴルフでほぼ逃げ切りかと思われていたパグンサンは、最後の2ホールで3つ落とす大崩れで、1973年大会でのベン・アルダ以来のフィリピン人日本OP制覇は水泡と消えました。

 「えーっ!?」ー練習グリーンで抱きついてきた佐々木孝英キャディー(40)に「ホント、勝ったの?オレが優勝しちゃあ、まずいだろ」と目を白黒の久保谷。ゴルフにはこんな勝ち方もありますが、それがビッグなメジャーでの出来事でしたからいっそう劇的でした。

 「今週もダメ。パットがねえ・・。きょうも途中で4回はパットスタイルを変えた。試合をしているゴルフじゃない。どうせダメだから攻撃するか、ってゴルフ。まあ6位くらいに残ってシードを決めたいと思っていた。ホントは平塚(哲二)あたりが優勝に一番近かったのに・・」

沖縄の強風に耐えた飛ばし屋の久保谷健一
沖縄の強風に耐えた飛ばし屋の久保谷健一

 タナボタの不思議なような優勝に、いつまでも信じられない久保谷でしたが、勝ってみれば、タフなコースでそれなりのゴルフをしていました。8番ではグリーンエッジのラフから18ヤードを直接カップインするバーディー。10番のパー5は196ヤードの第2打が7番アイアンでピンに当たり、あわやアルバトロスというイーグルでスコアを伸ばしました。難関の13番(パー4)のバーディーは、カラーからの7メートルを決めたものです。最終18番はバンカーに落とすピンチでしたが、スピンの効いたショットをみせてピン1メートル弱に寄せ、パーをセーブしました。4日間でダブルボギーなしは、上位では久保谷とI・J・ジャンのみ。最終日はベストスコアの70で回ったのですからチャンピオンの資格は十分です。

 強烈なサバイバル戦でしたが、しぶとく生き残った久保谷。10年は金庚泰(キム・キョンテ)、11年の裵相文(べ・サン・ムン)と2年続けて韓国勢に奪われていた日本一のタイトルを、大酒のみですが、練習好きの40歳・久保谷健一が奪回しました。昨年大会はプレーオフで裵相文に敗れた苦い経験もある久保谷ですから、そのリベンジも果たしました。

 久保谷が大逆転に不思議がるのも分ります。今季はショットもそうですが、それ以上にパットが不調。序盤から予選落ちが続き、最近8試合でも棄権1を含め、予選落ちが5試合連続で決勝へ進めたのは僅か1試合だけ。前週のキャノンで久しぶりに予選を通過して「さあこれから」と気合を入れ直したとたんにつり上げたビッグタイトルです。優勝の4,000万円を加えた獲得賞金は4,920.8万円。これまで71位だった賞金ランキングも11位に浮上しました。シード落ちを心配していた男が、この勝利で来季から5年間の複数年シードも獲得。02年に勝った日本プロに続く19人目の「2大タイトル制覇」も成し遂げました・・。賞金とともの数々のタイトルもゲットした40歳。久保谷のこれからのゴルフ人生、ズシリと重みのある収穫。アラフォーの強さ、ここでも見せつけた今年の日本オープンでもありました。