森田理香子、開幕4戦連続トップ3の偉業!20歳、堀奈津佳は“ルール誤認”も最終日ノーボギーで初優勝とは!

開幕4戦連続トップ3の偉業の森田理香子
開幕4戦連続トップ3の偉業の森田理香子

 ゴルフの国内女子ツアーは、前週の一ノ瀬優希(24)に続いて、堀奈津佳(20)が新設のアクサレディス(宮崎・UMKcc)で初優勝。20代前半の新星が次々と脚光を浴びる活気を呈しています。開幕戦に勝った森田理香子(23)は、この試合でも3位に入り、開幕から4戦連続でトップ3入りする快挙。88年のツアー制施行後では初めての記録を樹立しました。今大会は、大会前の雨の影響で適用された「無罰でボールを拾い上げて拭くことができる特別規則」の“処理ミス”で堀奈津佳の失格騒ぎがあったり、森田理香子が80ホール連続ボギーなしの日本記録の更新に突き進むなど、騒々しい1週間でした。森田は最終日の15番でボギーをたたき、記録は76ホールでストップしましたが、開幕から女子ツアーの話題を独り占めしている
“人気娘”になっています。

   ☆★           ☆★

今季の森田には賞金女王への期待が高まっている
今季の森田には賞金女王への期待が高まっている

 開幕戦のダイキンオーキッドで横峯さくらをプレーオフで破った理香子の勢いは、とどまるところを知りません。第2戦(ヨコハマタイヤPRGR)は初日34位から追い上げて、最終日は上がり4ホール連続バーディーで締めくくり、プレーオフへ1打届かない3位。日本勢トップでフィニッシュ。この時点で早くも獲得賞金は2000万円の大台へ乗せました。3戦のTポイントでは3日間60台で回り、惜しくも1打差の2位。ジュニア時代から一緒に戦った一ノ瀬優希の初優勝を喜び合う余裕をみせました。そして迎えた第4戦、新設大会のアクサレディス。コースも未経験の宮崎・UMKでしたが、初日からノーボギーの68で1打差4位タイスタート。2日目は「ショットがぶれぶれでした」(理香子)といいながらも2バーディーのノーボギー。前週Tポイントの最終日から3ラウンド連続ボギーなしの快進撃。アクサ最終日は、3連続バーディーのあと15番でティーショットを右に曲げ、Tポイント2Rの#10以来となるボギー。連続ノーボギー記録は、惜しくも76ホールで途切れました。
 「意識してませんでしたけど、すごいですね」と、悔やんではみせましたが、最終18番では後半5個めのバーディーを奪い、4打差3位タイ。開幕から4戦連続の3位以内に食い込みました。
 国内での連続ノーボギー記録(記録が残る90年以降)は、アニカ・ソレンスタムの80、宮里藍の77に次ぐ理香子・76で堂々の3位。不動裕理(75)、横峯さくら(72)を上回る快記録です。開幕から4戦連続3位以内を達成している過去6選手のうち、5人がその年の賞金女王になっているのも、今季の森田にはビッグチャンスが待っているかもしれません。

 今季新設されたアクサレディスの初代チャンピオンは、20歳と268日で史上17番目の年少記録となった堀奈津佳。ボールを拾い上げる特別ルールが適用された初日に、その処置を間違えた!と2日目になって大騒ぎ。失格騒動にまで発展して気をもましましたが、
女子プロ協会が「拭いたボールを元の位置に戻す」と明記していなかったため、選手の混乱を招いたとして、ボールを6インチ動かして置いた堀の処置に対して無罰の判定。これには選手間にも「不公平な判定」と不満の声が渦巻きました。2日目、首位に立っていた若い堀は、棄権の申し出をすべきかとまで悩んだ末に、諸見里しのぶらの後押しもあって最終日のプレーを続行。なんと、3バーディー、ノーボギーの69で回り、2位に3打差をつけた通算14アンダーでプロ初優勝を遂げました。

 なんとも後味の悪い初優勝ではありましたが、協会サイドが、ボール拾い上げの特別ルールの説明表示に不備があった、と非を認めたのですから、プレーを続行した堀の行動も是認されるべきでしょう。フェアウェイやラフがウエットで、コンディションの悪い場合、ボールを拾い上げてクリーンにしていいとの特別ルールはよくあるのです。その場合、ボールのあった位置に戻すりプレース、6インチ動かして置いていい場合、ワンクラブレングス内に置いていいケース等、何種類かの処置がありますので、それを明記するのが正当でしょう。この“ボール拾い上げ”の特別処置は間違いを犯しやすい危険な特別ルールです。処理を間違ったために失格になった例もあります。06年の男子、日本プロ選手権(岐阜・谷汲cc)初日、今回と同じようにボールを無罰で拾い上げて拭き、元の位置に置きなおしてプレーする特別規則が適用されました。しかし尾崎直道、深堀圭一郎、丸山大輔の組は、ルールを1クラブレングス以内に置きなおす、と誤認して置き方を間違え、スコアカード提出後に発覚、“過少申告”で3人とも失格になりました。尾崎直道は首位に立っていたのに無念の失格でした。

 大混乱を巻き起こして幕となった大会終了後、LPGAは小林浩美会長が会見「協会側がちゃんとした文章でボールを置く位置を示さなかったのは協会のミス。私たちに責任がある。(堀への無罰処置は)ベストと思う裁定をした。同組の選手もラウンド中に指摘してやらなかったのか。そこにも問題はある」と指摘。今回はこれ以上の追及はしないとしてトラブルの収拾をはかりました。

 涙、涙の初優勝をつかんだ堀奈津佳は
「自分の犯したミスだから恥ずかしい。これからはもっと十分に確認してやります。最終日、ボギーを打たなかったのいは、すごい自信になりました。早く2勝目を挙げたいです」

 笑顔も封印して語っていました。いろいろ考えさせられるアクサレディスでした。