可愛さだけでないイ・ボミの勝負強さ! “韓国3強”ではや8勝

浜崎あゆみ似の美人選手、イ・ボミの人気は実力も加わって日本でもうなぎのぼり!
浜崎あゆみ似の美人選手、イ・ボミの人気は実力も加わって日本でもうなぎのぼり!

シーズン後半戦に折り返した女子ゴルフツアー。勝負どころの夏場になって、韓国勢の強さがひときわ目立ってきました。NEC軽井沢72(8月15~17日、軽井沢72・北コース)では、賞金ランク2位にいたイ・ボミ(25)が、3人プレーオフを制して通算13アンダーで今季3勝目(ツアー通算8勝目)。2試合前のセンチュリー21から3試合で2勝という無敵の進撃を始めました。賞金ランクも優勝賞金1260万円を加えて約9500万円とし、1位のアン・ソンジュと入れ替わってトップに浮上。イ・ボミ(賞金1位)、アン・ソンジュ(賞金2位)、申ジエ(賞金5位)の韓国・三羽烏は、日本の女子ツアーをハイジャックしそうな勢いです。現在、賞金ランキングの上位11人中、韓国は5人、台湾1人、タイ1人と、実に7人までが外国勢が占めています。ここ3試合は韓国選手の3連勝です。頑張れナデシコ日本!!

☆      ★      ☆

可愛いだけではない。イ・ボミの力強いショットは、ドライバー平均距離250ヤードを超える!
可愛いだけではない。イ・ボミの力強いショットは、ドライバー平均距離250ヤードを超える!

浜崎あゆみが大好きで、自分の顔かたちもまるで浜崎似。可愛いフェース。PEARLY GATES(ウエア契約)のおしゃれなウエアに身を包んだ美人選手、イ・ボミの人気は、ゴルフの強さと相まって日本でもウナギ上りに高まっています。2試合前のセンチュリー21(静岡・伊豆大仁CC)では、1打差の2位から出たイ・ボミは、強風で上位が伸び悩む中、強風に負けぬ弾道でスコアを伸ばし、通算11アンダーで逆転勝ちでした。軽井沢では、最終日2打差のリードで逃げる展開。出だしの1番でいきなりボギーを叩き、バーディー発進した大山志保らに並ばれ、パーが続いた前半では大山、菊地絵理香らに首位を明け渡す苦しい試合運びでした。

「1番で並ばれたので、私は2位だと思って行こう」とすぐに気持ちを切り替えて我慢のゴルフが続きました。2番からパーが続いた9番(パー5)で、グリーンを外し難しいアプローチを残しましたが、これをしぶとくパーセーブ、「あれが大きかった」(イ)と、大きなピンチを切り抜けたのがターニングポイントになりました。

後半に入ると、10番で4㍍を入れて最終日初めてのバーディー。13番、15番でも難しいパットを入れてバーディーとし、通算13アンダーで大山、菊地と並びました。いったんは落ちていた首位の座を、バックナインで再び取り返すあたりは、イ・ボミの強さの証明です。パー3の17番では、この日は実測149ヤード。イは7番アイアンを選ぼうとしましたが、清水重憲キャディー(40)は「この距離でこのフォローなら8番アイアンでいい」と進言。8番に持ちかえたショットは、あわやホール・イン・ワンかと思わせるカップ際を通って3㍍につくナイスショット。このバーディーパットは入りませんでしたが、最近コンビを組んでいる清水キャディーとの絶好の二人三脚ぶりです。終盤3ホールでは、入れゴロのパットを連続して外し、決して本調子ではなかったと思われますが、プレーオフ1ホール目には、パーパットを残す大山志保と菊地絵理香の前で、3㍍のバーディーパットを今度はズバリ決めて大接戦を制しました。今季のイは、これまで19戦で10位以内に13度入り、予選落ちは1度もありません。

イ・ボミのコメント

「キャディーさんのクラブ選択は、ホント上手い。軽井沢は標高が高いので、1クラブ違うんですね。17番のパー3。普段なら私は149ヤードは7番アイアンなんです。キャディーさんのアドバイスは大きかった。試合中リラックスできて、自分のプレーに集中できる。キャディーさんがプレーオフにもホントに強いんです。プレーオフ最後のパットは3㍍のスライスライン。(反対側から打った)大山さんのパッティングがあったので、ラインが大体あのくらいだと分かっていました」

POで敗れた大山志保のコメント

「ボミさんはほとんどのショットは曲がらないし、強いですね。きょう、本当の力を出せていたら、ぶっちぎっていたと思います。でも終盤、ここぞというところのパットは決めていましたから・・。私は今回はいいゴルフが精いっぱいできたので、そんなに悔いはないです。ショットの感じもよくなってきて、左肩を痛める前のショットに戻ってきた。今後が楽しみです」

イのプレーオフは、4戦4勝。その陰にあるのはやはりイが「勝負にも強い」と全幅の信頼を置く清水キャディーの存在です。10年ほど前、谷口徹、上田桃子の男女賞金王獲得にも貢献。04年谷口が日本オープンに勝ったころも専属キャディーでした。その後女子ツアーの方が多くなり上田桃子、諸見里しのぶらのバッグも担ぎ、最近はイ・ボミと組み「ボミはメンタル面が強い。大事な場面で失敗しない」(清水キャディー)と、息の合ったところをみせ、イの快進撃を支えています。

今回イ・ボミに1位は奪われたが、賞金レースをリードしてきたアン・ソンジュの実力はだれもが認めるところ。
今回イ・ボミに1位は奪われたが、賞金レースをリードしてきたアン・ソンジュの実力はだれもが認めるところ。

日本ツアー参戦4年目。250ヤードを超える平均飛距離も持っているイです。10年には韓国で賞金女王になっていますが、日本では12年の2位が最高。今年は当然日本での賞金女王がターゲットです。アン・ソンジュを抜いて賞金トップに立ちましたが「1位にはなれたけど、1位は緊張もあるし、維持するのは難しい」と、トップを走るプレッシャーも十分承知しています。7月の全英リコー女子オープンは出場権がありながら辞退し、韓国に帰って2週間、休養と練習に費やす決断もしました。「今季の目標は日本での賞金女王。全英や全米は来年以降でいい」と、その意思は明確です。今季からホテル暮らしを返上、神戸のマンションに本拠を構え、「ゴルフに集中できる。今年はここまできたので、あと2勝することだけを考えて頑張ります。(去年勝った)選手権(日本女子プロ)に連覇できたら嬉しいし、女子オープンとマスターズに勝ちたいです」と、メジャーへの高い意欲をみせています。

09年米ツアー賞金女王、10年世界ランク1位の実績を残し、今季から日本ツアーに本拠を移した申ジエ(26)は 韓国勢″3強〝の一人だ。
09年米ツアー賞金女王、10年世界ランク1位の実績を残し、今季から日本ツアーに本拠を移した申ジエ(26)は
韓国勢″3強〝の一人だ。

韓国ではチャーミングな笑顔から″スマイル・キャンディー〝のニックネームがあります。ファンクラブの会員数は1500人以上。日本での人気も年々上昇して「どこへ行ってもボミちゃん、ボミちゃんといってくれるから、私を知ってくれている人が多くなったな、って思っています。日本に来て4年目ですが、最初から応援してくれている人もいます。ありがたいです」と、″ボミ人気〝には嬉しそうです。

今回の優勝で生涯獲得賞金が早くも3億円を超えました。86試合での達成は、アン・ソンジュ、宮里藍に続くLPGA史上3位のスピード記録です。「凄く嬉しい」と顔をほころばせながらも「でも賞金より、私は韓国人なのに、日本の方たちがたくさん応援してくれることが本当に嬉しいです。ありがとうございます」(イ・ボミ)

これからはますます重圧がかかってくるでしょう。それに耐える覚悟はイにはできています。女子ツアーは今季22試合を消化した現在、3勝のアン・ソンジュ、米ツアーを撤退、今季から日本ツアーを本拠にしている申ジエが2勝。これに3勝のイ・ボミを加えた”韓国3強”で、すでに8勝をもぎ取っています。序盤戦の10代アマチュア旋風のあと、後半戦韓国パワーの爆発におびえる日本勢。その勢いを止める一大奮起は、可能なのでしょうかー。