気は優しくてゴルフは強い!日本復帰・申ジエ、もう2勝。苦いデビュー戦 は日本のルーキーたち!

5年間戦った米ツアーを撤退、今季から日本ツアーを主戦場にした申ジエ。早くも2勝で盤石の強さみせる!
5年間戦った米ツアーを撤退、今季から日本ツアーを主戦場にした申ジエ。早くも2勝で盤石の強さみせる!

韓国では3年連続賞金女王で永久シード選手。09年、米女子ツアー賞金女王、10年には世界ランキング1位に上り詰めた申ジエ(26)。世界レベルの実力者が、今季日本ツアーに戻ってくると、早くも2勝目です。6月のニチレイレディス、4年ぶりの日本Vに続き、meijiカップ(8月8~10日、北海道・札幌国際島松コース)ではまたも断然の強さで優勝(国内通算7勝目)。日本のプロテスト合格でプロデビュー戦となった柏原明日架、堀琴音、山田成美、山城奈々の4ルーキーは、足元にも及ばぬ強さでしたー。

☆      ★      ☆

6月のニチレイレディス最終日。新人の藤田光里(19)が″初優勝〝をかけてトップの申ジエに並びかけました。しかし、申は残り4ホールで3バーディーを奪ってあっという間に藤田を突き放しました。申の強さは、今回のmeijiカップでも同じでした。最後、追ってきたのはテレサ・ルー(台湾)と穴井詩、原江里菜。大詰の16番(パー4)でグリーン奥に外した申のアプローチは、2㍍弱を残しました。外せば1打差になるこの緊張のパーパットを、ナイスタッチで沈めました。
「きょうの5つのバーディー、どれも貴重なバーディーでしたが、16番で難しいパーパットを決められたのが優勝に繋がったと思います」(申)。

日本の若手選手からも慕われる申ジエ。スタート前、申(右から2人目)のスイングを見守る若手たち。
日本の若手選手からも慕われる申ジエ。スタート前、申(右から2人目)のスイングを見守る若手たち。

18番のパー5では、左ラフから85ヤードの第3打、最高の技をみせてピン50㌢につけるバーディーフィニッシュは、もう盤石でした。初日70で11位タイのスタートも、2日目の66でトップに立ち、最終日も68で絵に描いたような優勝パターンでした。ドライバーショットは安定していて、アイアンやパットの精度も一段と高いレベルにある申です。メンタル面でも、常に笑顔を絶やさず落ち着き払っているのは世界を戦ってきたキャリアーでしょう。

それでいて気は優しい申ジエの人柄は素晴らしいものがあります。韓国の後輩はもちろん、日本人の若手選手にも優しく応対して慕われています。「頂点を極めて、もう米ツアーに未練はない」(申)と、09年から13年まで5年間戦った米ツアーを今年撤退、6年ぶりに母国に近い日本ツアーに戻って腰を据えています。

姉・堀奈津佳と姉妹プロとなったルーキー、堀琴音。プロデビュー戦はパットに苦しみ、1打不足で 予選落ちだった。
姉・堀奈津佳と姉妹プロとなったルーキー、堀琴音。プロデビュー戦はパットに苦しみ、1打不足で
予選落ちだった。

ゴルフも強い申ですが、ファンサービスを常に心がけてプレーし、チャリティ活動にも力を入れているのも素晴らしいものがあります。今回のmeijiカップは優勝副賞に「明治製菓の製品10年分」とあるのを知り「本当に欲が出ました」(申)という。彼女の場合、それは自分のためにではなく「恵まれない子供たちや日本人の方に寄付したいという気持ちがいっぱいになった」というのです。「どうしても勝ちたいと思っていて、その夢がかなって本当にうれしい。どこへ寄付するかいま調べています」と、話しています。申はこのほかにも、韓国では優勝賞金をチャリティしたり、年末には、両親のいない子供たちのためにボランティア活動を行っているそうです。

プロテストで一発合格の柏原明日架。予選は通過したが、ほろ苦いプロデビュー戦となった。
プロテストで一発合格の柏原明日架。予選は通過したが、ほろ苦いプロデビュー戦となった。

10年12月には視力矯正手術をして、トレードマークだったメガネを外し、12年5月には左手首の内視鏡手術に踏み切ったりもしました。また、思い切ったダイエットで少々″太っちょ〝だった体型が見違えるようにスリムになって、今年日本へ帰ってきました。次々と自分の考えを実行に移していく申。優しさの裏には、強烈なシンの強さを感じさせます。

アン・ソンジュ、イ・ボミ、全美貞と強敵揃いの韓国パワーに、また一人手ごわいハスラーが今年加わりました。賞金ランクも5位に上がってきて、ツアー後半戦はもうひと暴れもふた暴れもしそうな予感がいっぱいです。

 

7月のプロテスト、トップ合格した山田成美も、プロデビュー戦ではいいところなく決勝に進めなかった。
7月のプロテスト、トップ合格した山田成美も、プロデビュー戦ではいいところなく決勝に進めなかった。

女子ツアーは、1週間の中休みがあったあと、いよいよ後半戦です。meijiカップをスタートに、残り17試合が休みなしに組まれていて、これからが正念場です。7月最終週に行われたプロテストでは26人のルーキーが誕生。meijiカップでは柏原明日架、堀琴音、山城奈々、山田成美の4人がデビューしましたが、決勝ラウンドに進めたのは山城奈々と柏原明日架の2人でした。

柏原は、初日73で53位スタート。2日目は1アンダーで回って予選はクリアしましたが、最終日は1個もバーディーが取れず75。いいところなく通算3オーバー47位タイでデビュー戦が終わりました。

柏原明日架のコメント
「スコアは3オーバーでしたけど、いいショットも打てていたし、いいパットもありました。運もあったと思う。いい感じに仕上がってきています。自分で流れを崩してのボギーとかが多かった。そういうのを改善していき、毎週日曜日にはゴルフをしていたいと思いました。爆発力にかけているので、より攻撃的にがむしゃらに戦っていきたい。きのう(予選が通って)松山(英樹)さんと連絡取りました。″初賞金だね〝っていわれました。来週(NEC軽井沢)はまたコースが違うし、芝質も違うので今週のことは引きずらないようにしたい。アイアンの精度を高めたいです」

トップ合格の山田成美は、残り14試合の出場権をゲット。meijiカップがその第1戦でしたが、2日間7オーバー、80位タイで予選落ち。期待の堀琴音も3オーバー、カットラインに1打不足で予選落ちでした。

堀琴音のコメント。
「ショットの調子は上がっていたのですが、気持ちの浮き沈みが激しかった。パターが2日間とも入らなかった。1㍍のパットが入らないんじゃ、話にならないですよ。悔しいといおうより残念です。来週はグリーンも変わるので、どこのグリーンでも決められるようになりたいです」
山田成美のコメント。
「初日は緊張で体も硬かったです。そんな雰囲気で、気持ちもいっぱいいっぱいでした。自分のゴルフができなかった。調整して雰囲気や環境にも慣れてくれば楽しみです。14試合に出られるので、シード権獲得目指してやっていきたいです」

強い韓国勢の刺激を受けて経験を積み、どんどん伸びてほしい日本の新星たちです!