日米で4億円超を稼いだ松山英樹。 「ヒデキは勝負師の本能を持っている」ージョーダン・スピース(米)

4000万円の優勝賞金を得た松山英樹は、国内2戦で賞金ランクも19位に入った(ダンロップフェニックス=宮崎・フェニックスCC)=提供:JGTO)
4000万円の優勝賞金を得た松山英樹は、国内2戦で賞金ランクも19位に入った(ダンロップフェニックス=宮崎・フェニックスCC)=提供:JGTO)

松山英樹(22)が通算15アンダーで並んだ東北福祉大の先輩、岩田寛(33)とのプレーオフを1ホール目で制し、日本ツアー今季2試合目で1勝を挙げる実力をみせました。昨年11月のカシオオープン以来の勝ち星で通算6勝目。日本屈指のビッグ大会、ダンロップフェニックストーナメント(宮崎・フェニックスCC)で今季マスターズ2位のジョーダン・スピース(21=米)を優勝争いで下しての快挙。今季は米ツアーで準メジャーといわれるメモリアルトーナメント(6月)での米国初Vを挙げたのに続く2勝目(同一年の日米ツアー制覇は、83年の青木功以来2人目)。この優勝賞金4000万円を加え今季の獲得賞金は、日米合わせて4億円を突破するスーパースターにのし上がりました。

☆      ★     ☆

今季、国内2戦目の松山英樹、マスターズ2位のジョーダン・スピースに打ち勝つ豪快なショットを披露した(宮崎・フェニックスCC)=提供:JGTO
今季、国内2戦目の松山英樹、マスターズ2位のジョーダン・スピースに打ち勝つ豪快なショットを披露した(宮崎・フェニックスCC)=提供:JGTO

米ツアー期待の新星、ジョーダン・スピースと4日間とも同組で回って勝った松山は、優勝以外にも大きなものをつかみました。プレーオフに1打及ばず3位に留まったジョーダン。「ヒデキは勝負師の本能を持っている。勝つために何をしなければならないかを知っている。外せば終わりという場面でバーディーをとってくる。一緒に4日間回れて多くのことを学んだ。勝てずに残念だったけど、楽しい一週間だった」と、ハットオフで英樹を称えました。

その最たる場面は、最終日のバックナインにありました。首位を走りならが大詰の15、16番で粘っこいラフにつかまって連続ボギー。2組前に15アンダーで上がった岩田に2打差をつけられる絶体絶命のピンチがありました。あと2ホールしかない松山。17番は186ヤードの難しいパー3。18番のパー5はバーディーもしくは、イーグルチャンスもありますが、17番は厄介なホール。しかしここをとらないことには逆転への道は開けません。土俵際のこの17番。ピン右6㍍につけ、「軽いフックライン。絶対入れると、久々にイメージ通り打てたパットでした」と、真ん中から沈めてガッツポーズで難関を突破してみせました。最後の18番はフェアウェイからの第2打(235ヤード)、左のバンカーをかすめてぎりぎりでグリーンをとらえピン5㍍。イーグルパットが決まれば、一気に逆転優勝でしたが、これは入らずバーディーに留まりました。それでも17、18番の連続バーディーで息を吹き返した英樹は、15アンダーで岩田とのプレーオフへつなげたのです。

この土壇場での粘り、強さは石川遼にない松山の財産です。18番を使ったプレーオフは、岩田がいきなり右の林に入れ、脱出にも木に2度当てて失敗。6オンになって、パーの松山の楽勝になりました。POは3戦3勝と勝負強さをみせる英樹。優勝を争ったスピースも舌を巻いた世界基準の強さを備えてきたといってもいいでしょう。

石川遼は、松山英樹に14打差をつけられ1アンダーで31位に低迷。英樹には大きく水をあけられたが、来季の雪辱を期している(宮崎・フェニックスCC)=提供:JGTO
石川遼は、松山英樹に14打差をつけられ1アンダーで31位に低迷。英樹には大きく水をあけられたが、来季の雪辱を期している(宮崎・フェニックスCC)=提供:JGTO

この秋、米ツアーを終えて帰国した石川遼が日本ツアーに連戦で出ているのに対して松山は極力出場試合を抑えてきました。不安のある左手首などを休ませるのが目的です。ムリな転戦は避けて7月の長嶋茂雄招待セガサミーカップと今回のダンロップフェニックスと2試合だけに抑えています。残る日本ツアーの2試合(カシオとJT日本シリーズ)にも出場しません。昨年までは、海外ツアーに本格参戦している選手には日本での出場義務試合を課していませんでしたが、今年から5試合に出なければならない義務を作りました(米、欧ツアーで優勝すれば3試合に軽減)。米ツアーはすでに10月に来季のシーズンが始まっており、松山は2週前にはWGCのHSBC選手権(上海)にも出場しています。12月4日から米フロリダで行われるタイガー・ウッズ主催のチャリティ大会、ツアー外競技の「ヒーローワールドチャレンジ」にも出場を予定しており、日本での強行日程は避けているのです。この試合はフェデックスポイントは非加算ですが、世界ランキングんお対象試合です。
松山は来季の日本でのシードは失ってもいいとの判断でした。しかし、今回の優勝で、来年から2年間のシードを獲得できることになりました。義務試合不足による資格停止処分は帳消しになるのです。米ツアーも1月からは再開され、松山は1月9日からの現代トーナメント・オブ・チャンピオンズと次週15日からのソニーオープン(ハワイ)に出場する予定までは立てています。
☆今季国内2戦して1勝の松山英樹

「最近あまり嬉しいことがなかったので、今回の優勝はめちゃ嬉しいです。優勝もメモリアル以来でしたから。こんなに集中してゴルフをしたことがなかったというくらい集中してやりました。15、16番でしょうもないボギーを連発してしまって、残りホール、バーディー、バーディーかパー、イーグルが必要でした。そこでとれたので自信になりましたね。大事な17番でパットが入ったことが一番大きかったですね。(POで)岩田さんは一番お世話になってるというか、親しくしてくれている先輩なので、やりにくいな・・と思いながらも・・。普段はリラックスしているときしか会わないのに、優勝争いで会うなんて初めてだったから。ちょっとでもスキを与えると負けると思ったので、態度が悪いと思われてもそれは仕方ないと思って対しました。まさか(岩田さんが)あんなミスをするとは思ってなかった。僕もプレシャーの中でのプレーがまだまだですね。最終日に一つしか伸ばせなかったからこんなに苦しい思いをするのです。ショットは大分よくなってきているので、それをもっと自分の形にしていけるようにするのがこれからの一番の課題です。(手首は?)3日目の15番で左手首をちょっとひねって、不安なのでテーピングをして最終日はやりました。16番で左の悪いライのところへ行にいってしまって・・。ムリして打った。少し痛いですけど休めば大丈夫な感じです。ジョーダンとは二人で一騎打ちができたらもっとよかったと思いますが、お互いちぐはぐなプレーが目立ってましたね。ジョーダンもプレッシャーかかっていたと思います。これからもアメリカで一緒にやっていく仲だと思うので、ジョーダンに負けないようにしてやっていきたいです。日本はギャラリーのマナーがいいです。アメリカやアジアよりやりやすい環境です。その日本での試合ももっと出たい気持ちも凄くあるんですけど、アメリカでやっていて日本のスケジュールに合わせるのは難しい。日程的に余裕があれば、こうして帰ってきて沢山のギャラリーの前でプレーしたい。でも、来年も今年と変わらないスケジュールだと思います」

来季も松山の日本ツアー参戦は数少なくなりそうですが、対する石川遼は7月の長嶋茂雄招待セガサミーカップで優勝したあと、秋のシリーズに連戦し「国内5試合」の義務も果たしました。今回は通算1アンダーで松山には14打差をつけられて31位に沈み″差〝をつけられましたが、残り国内2試合にも出場予定です。「ちょっとしたかみ合わせの問題。次は優勝争いをしたい」と、雪辱を期しています。