スポンサーが選ぶ新人表彰「特別賞」を受けた勝みなみ。授賞式で「頭、真っ白」で挨拶できず!

GTPA日枝久理事長(左)から特別賞の表彰楯を受けた勝みなみ(右)=(東京・ANAインターコンチネンタル)
GTPA日枝久理事長(左)から特別賞の表彰楯を受けた勝みなみ(右)=(東京・ANAインターコンチネンタル)

ゴルフトーナメントを支えるスポンサー(企業、マスコミ等)が選ぶ2014年度のルーキー・オブ・ザ・イヤー(新人賞)に、女子ツアーから渡辺彩香(あやか=21)と鈴木愛(20)が選出されました。4月の「KKT杯バンテリンレディス」をツアー史上最年少の15歳293日で制した16歳のアマチュア、勝みなみ(鹿児島高1年)には特別賞が授与されました。日本ゴルフトーナメント振興協会(GTPA)が、12月19日、東京・ANAインターコンチネンタルホテルで表彰式を行ない、制服姿で授賞式に参列した勝みなみ、壇上で「頭、真っ白!」と挨拶の言葉が途絶えるハプニングがありました。男子は同賞が制定された1998年以来、初めて該当者なしでした。

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表彰式でマイクをもったとたん「頭が真っ白になった」と、言葉が出なくなって照れる勝みなみ。 左は鈴木愛(GTPA新人賞表彰式=東京・ANAインターコンチネンタルホテル)
表彰式でマイクをもったとたん「頭が真っ白になった」と、言葉が出なくなって照れる勝みなみ。
左は鈴木愛(GTPA新人賞表彰式=東京・ANAインターコンチネンタルホテル)

新人賞とは別に制定されている特別賞。「めざましい活躍とともに大きな話題を提供し、トーナメントやゴルフ界全般の振興・発展に寄与したもの」と規定さてれいます。史上4人目のプロツアーアマチュア優勝を果たし、ツアー最年少優勝記録も更新した勝は、まさにピタリはまった特別賞でした。石川遼(07年度)、松山英樹(11年度)らに続くアマチュア受賞で表彰式会場では壇上に上がるまえから緊張の表情でした。ツアー2年目で初優勝した飛ばし屋、渡辺彩香と、QT(最終予選会)から今季ツアーに初参戦、いきなり日本女子プロコニカミノルタ杯のメジャーで初優勝したシンデレラ・鈴木愛とともに壇上に上がった勝みなみ。記念の楯を日枝久GTPA理事長から受け取ったあと、スピーチを指名されるとマイクの前で一言いったあと絶句。「あのぅ・・」と口ごもったまま言葉が出てきません。しばらく無言のあと「今年、ツアーで1勝できたので来年もプロの試合に出て2勝目を挙げられるように頑張ります」と、来季への意気込みに切り替えて拍手喝采の中で短いスピーチは終わりました。
「マイクを握った瞬間、頭の中が緊張で真っ白になってしまいました。スピーチの内容は考えてきていたのに、わからなくなって・・」と、恥ずかしそう。2日前に行われた日本女子プロ協会のアワードでは、最終戦のLPGAツアー選手権リコー杯を終えての勝のコメント「自分の中で革命が起きた1年でした」ーが、メディア賞・ベストコメント部門て受賞したばかり。ゴルフでは強心臓ぶりを発揮するみなみちゃんも、勝手の違う表彰式の壇上では立ち往生?してしまったのはご愛嬌でしょうか。

ルーキー・オブ・ザ・イヤーに選ばれた左から渡辺彩香、鈴木愛、勝みなみ(東京・ANAインターコンチネンタル)
ルーキー・オブ・ザ・イヤーに選ばれた左から渡辺彩香、鈴木愛、勝みなみ(東京・ANAインターコンチネンタル)

しかし、今季の女子ツアーのトップニュースは、アマチュアの勝みなみが並み居るプロを押しやって3日間11アンダーでツアー初優勝(KKT杯バンテリン)したことなのは、万人が認めるところです。これで火がついたように、今年の女子ツアーは若い力が大ブレーク。ツアー1年間でトップ10に入ったアマチュアは過去最多の延べ14人。全員が18歳以下でした。若手プロも、20歳の鈴木愛が日本女子プロで大会最年少優勝を果たせば、21歳の渡辺彩香はアクサレディスin MIYAZAKIで最終日、最終18番で劇的なチップイン・イーグルを決めて大逆転のツアー初Vを決めるなど、世代交代の風が吹きまくりました。

大殊勲をあげたみなみちゃんでしたが、1年を通じて振り返ると反省点がいくつもあったようです。プロで1勝したあとは、一躍″有名人〝となり、プロツアーとアマ大会の掛け持ちなどで多忙な日々を送るハメになりました。疲労も蓄積して夏場は体重が4~5キロも減り、飛距離も落ちたそうです。
「自分は体幹が弱いのを実感しました。このオフは体幹トレーニングで最強の体作りをめざします」と、来季を見つめるみなみちゃんです。JGAのナショナルチームの合宿にも参加。体幹トレーニングのメ二ューも手に入れてオフの課題にするそうです。技術面でもアプローチ、パターなどのショートゲームの精度を上げることをオフの課題にしています。シーズン後半「プロ転向か?」といった情報も一部に流れましたが、16歳のみなみちゃんは、まだまだ高校生活で腕や体力を鍛えてからプロに挑戦した方がいいのかもしれません。

フルスイングで飛ばす勝みなみのドライバーショットは魅力いっぱい。
フルスイングで飛ばす勝みなみのドライバーショットは魅力いっぱい。

GTPA表彰で新人賞に選出された渡辺彩香は172㌢、65㌔と恵まれた体が魅力です。ドライバーは平均飛距離270ヤードの圧倒的なロングヒッター。今季はイーグル数1位(8個)。その代表的な1打が、3月のアクサレディス最終18番(パー5)、第2打をグリーン左ラフまで運び、カップへ20ヤードのチップを直接放り込んだ逆転イーグルVでした。もう一人の鈴木愛もプロ2年目。13年のプロテストに合格。下部ツアーで2勝して上がってきました。「得意はパット」というのも安定したスコアに結びつく大きな武器です。日本女子プロでも2日目にトップに立ち、それを4日目まで守り切った粘りはたいしたものです。徳島生まれながらゴルフがしたくて鳥取・倉吉北高へゴルフ留学。一家も鳥取に移住して愛のゴルフ生活を支えたエピソードがあります。二人とも今季の女子ツアーを盛り上げた″主役〝でした。

スタートホールでストレッチする勝みなみ。
スタートホールでストレッチする勝みなみ。

この賞は日本ゴルフトーナメント振興協会が、トーナメント界の活性化のためには若手選手の育成が重要とし「GTPAルーキー・オブ・ザ・イヤー」を選考して98年から表彰しています。選考基準は、「プロ転向後最長2シーズン以内で″来季シード権獲得者〝の中から、人格、マナー、エチケット、話題性、将来性などを加味して選考する」(要旨)と、規定されています。女子では米山みどり、古閑美保、宮里藍、横峯さくら、諸見里しのぶ、上田桃子、原江里菜、服部真夕、森田理香子、藤本麻子、成田美寿々、比嘉真美子、堀奈津佳ら。男子では谷原秀人、宮里優作、石川遼、池田勇太、藤本佳則、松山英樹、川村昌弘らが過去に選ばれています。

スポンサーのおめがねにかなった選手は幸せですが、ここで選ばれた選手のほとんどがプロでとトッププレーヤーに成長していった人ばかりです。男子に該当者がいなかったのは寂しかったですが、女子ツアーは来季も1増1減で今季と同じ37試合が組まれ、賞金総額は33億3300万円で過去最高額を更新しました。渡辺彩香はプロ3年目を迎える来季、早くも「賞金女王争いに参加したい」と明言するまでに急成長しました。次々と若手が台頭してくる女子ツアーは来季も白熱しそうです。