プロ5年目の女子プロゴルファー、酒井美紀(23)のツアー初勝利を含む2勝を挙げた報告会と祝勝会が、15日都内のホテルオークラ東京で行われました。13年1月から専属契約を結んでいる国際スポーツ振興協会(ISPS)の半田晴久会長の肝いりでオークラの曙の間には約250人の招待客が集まりました。鮮やかな緑色系の振袖姿から黄色と白のドレスにお色直しまでした美紀は、最高の笑顔をふりまきました。出身の福島・いわき市の市民栄誉賞の受賞も発表され、最後には、オペラ歌手でもある半田会長が長淵剛の「乾杯」を熱唱して会を盛り上る異例のパーティーでした。人生最高の夜を過ごした美紀は「来年はもっと飛距離アップして次の1勝。そして今年出場できたLPGAツアー選手権リコーカップに来年も続けて出たい」と、早くも来季の賞金女王獲りへ、決意を語りました。女子プロ界にまた新しい新鋭の出現です。
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今季9189万5086円を稼いで賞金ランク6位。日本人としては成田美寿々の5位に続く2番目の高額賞金をゲットした美紀です。東京でも有数の高級ホテル、オークラでの祝勝会はひときわ輝いていました。数々の肩書を持ち、文学
博士でもあるISPS半田晴久会長は、一方で世界のゴルフ界にも大きな影響力を持つ″ゴルフ国際大使〝でもあります。その半田会長にみそめられた美紀は幸せです。出会いは、美紀が高校時代に男女プロにアマチュアを集めて行ったISPS主催のゴルフ大会で豪州西海岸のパースに遠征したときでした。真摯にゴルフに取り組む純朴な美紀にほれ込んだ半田会長は、美紀がプロになって4年目の昨年1月「所属契約」というビッグなプレゼントをしたのです。大きなバックボーンを得た美紀は、めきめきと本来の″強いゴルフ〝をみせるようになり、昨季はトップテン7試合(うち3位3回)で、「あとは初優勝」というところまで腕を上げていきました。そして今年。6月のアース・モンダミンカップ(千葉・カメリアヒルズCC)で強敵アン・ソンジュ(韓国)とのプレーオフを制してついにツアー初優勝。9月のミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンでは4打差6位からの大逆転で2勝目と、順調な歩みを始めた今シーズンでした。
大柄な体の割には飛距離の出ない美紀ですが、正確なショットには定評があります。今季もドライバーでのOBは一度もないというすばらしい安定ゴルフを見せ、ゴルフでは最も大切なフェアウェイキープでは誰にも負けない正確なショットを武器にしています。アマチュア時代(福島・東日本国際大学付属昌平高)は日本パブリック協会の試合では常連で、中学3年時の06年からは東日本パブリックアマ3連覇。09年からは東北女子アマ2連覇・・。高校を卒業した10年の日本女子アマを制覇して国内アマチュアの頂点にも立ちました。ナショナルチームの一員にも抜擢され、プロ競技ではローアマに輝くこと4回。高校卒業の年(10年)にはすぐプロテストを受験。3位で一発合格でした。
振袖姿で会場に現れた美紀は、まさに堂々とした風貌。衆議院選で圧勝したばかりの安倍晋三総理(ISPS顧問)はじめ下村博文元文科大臣、亀井静香国民新党代表ら政界名士からの祝電も披露されました。祝賀会場には、美紀が以前から憧れていた永久シード選手の不動裕理はじめ大山志保、比嘉真美子。大先輩の岡田美智子、吉川なよ子、稲葉真寿美らの女子プロ。男子のISPSの契約プロ、シニアの中山徹、横山明仁に井戸木鴻樹(ISPSインターナショナルアンバサダー)も姿をみせて美紀を祝福していました。また福島でゴルフ練習場を経営、美紀をここまで育て上げた父親正孝さん(60)と母親の両親。アマ時代から美紀のキャディーをつとめてきた姉の美香さん(31)らもこの晴れがましい席で感慨ひとしおでした。姉の美香さんは、女子プロ志望で早くからゴルフに取り組んできましたが、交通事故にあってプロを断念。妹の成長にカゲとなり日向となって帯同キャディーを続けている人です。
美紀は、ゴルフを離れると人気アイドルグループ「嵐」の熱狂的なファンで、イベントなどには足しげく通っています。その嵐との年末放送のテレビ番組の企画があり、録画で今月初対面したそうで「夢がかなってうれしかった。会って、より一層好きになりました。これで来年もまた頑張れそうです」と顔を紅潮させる美紀でした。
★酒井美紀が、集まった報道陣にコメントしました。
「こんなに早く2勝もできるなんて、思ってもいませんでした。正直できすぎかなと思っています。でも今年はツアーに出て4年目。頑張れたとは思います。いままでは不安に思うことが多かったのに、今年は色々な人のゴルフを見て、自分もできるんだと思えるようになった。自分のプレーに自信がもててきた。精神的な落ち着きができてきたのが一番よかったと思います。それとISPSの半田会長とお話したりゴルフをするのが楽しい。オペラら書道など、私の知らない世界の話を聞けるのでためになります。半田会長とはまた一緒にラウンドもしたい。このオフは飛距離アップに取り組むつもりです。瞬発力の練習や有酸素運動で鍛え、まずは次の1勝を挙げたいですね。それも関東とか、福島からみんなが応援にきてくれるところで勝ちたいです」
今年は、昨季の3倍近い1億円に手が届きそうなビッグマネーを稼ぎ「何に使うんですか?」と聞かれ、「父が福島でゴルフ練習場を経営してるので、そこの充実に使いたい」ときっぱり。モンダミンの優勝でもらった副賞のベンツも父親にプレゼントするなど、親孝行ぶりも披露していました。東日本大震災の3・11のときは「高知で試合があって行っていました。驚いてすぐ母親に電話しました」と、振り返っていましたが、その地元福島へは「毎年何かの寄付を続けています」と、明かしました。
★美紀の大スポンサーになったISPSの半田晴久会長。
「アン・ソンジュ、テレサ・ルー、イ・ボミ、申ジエの外国勢が上にいますが、その次は成田美寿々に酒井美紀・・です。美紀は日本人2位です。お父さんが車の運転をし、美紀ちゃんとキャディーをやっているお姉ちゃんを乗せてツアーを転戦してきたのです。お父さんは車の中で寝たこともしばしばあるそうです。まさに家族が一丸となって美紀ちゃんの成長をサポートしてきました。美紀ちゃんはショットを曲げないで強いゴルフをします。来年は男子のレギュラーツアーにもISPSハンダグローバルカップ(山梨・ヴィンテージGC)でスポンサーになります。ISPSはパワー・オブ・スポーツ。スポーツの力を追及しています。私は日本ブラインドゴルフ振興協会(盲人ゴルフ)の名誉会長もしていますが、これからはスポーツの力で社会貢献をしていきます。美紀ちゃんも来年は1億円を超える賞金を狙って、賞金女王を目指してもらいたい」
頼りになるサポーターを得た美紀は、大きくブレークしました。森田理香子らはアマ時代一緒に戦った仲間です。森田は昨年一足先に賞金女王になりましたが、今度は美紀の番でしょう。派手なゴルフではない。コツコツとフェアウェイをキープして、グリーン上ではいいパットを沈めていく。″美紀ゴルフ〝は、女子プロ界に一石を投じた個性的な存在といっていいでしょう。来季も隆盛の続きそうな女子ツアーの″主役〝になれるか?!酒井美紀ーです。