開幕4戦目の男子ツアーで初めて日本人プロが勝ちました。片岡大育(だいすけ)26歳。プロ転向9年目での悲願のツアー初優勝。開幕から続いていた外国人選手の優勝に立ちふさがり、通算17アンダーで2位ブラッド・ケネディ(豪)に3打差をつけての今季日本人初Vでした。関西オープン選手権(5月21~24日、滋賀・名神八日市CC)。優勝を決めた片岡は、高知生まれで香川西高卒。高3の06年には四国アマで大会史上初の高校生王者になり、卒業した07年の中四国オープンで倉本昌弘以来(80年)のアマチュア優勝を果たした男です。しかし、19歳でプロデビューしてからはうだつが上がらず、09年には米国に渡ってミニツアーも経験。11年には稼ぎ場を求めてアジアンツアーに参戦するなど、苦労を重ねてきた国際派でもあります。苦節9年、やっと花咲いた片岡大育。本当のゴルフ人生の始まりですー。
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今季、男子ツアーは開幕から3戦とも外国人選手が独占して、この流れを誰が止めるか。4戦連続は過去に例がないとあって、日本人選手は目の色を変えていました。それをやってのけたのは、まさか未勝利だったダイスケとは・・。また20歳代の優勝も昨年10月の日本オープン(池田勇太)以来なく「20代を代表して、僕が勝ちたい」(片岡)と気合を入れていた大育 が成し遂げました。今年の開幕戦(東建)に次ぐ自身2度目の最終日最終組。開幕戦は4位に甘んじましたが、今度は負けませんでした。前半はパットがさえました。4番で1㍍、5番で3㍍、6番で6㍍。7番でも6㍍を沈めて4連続バーディー。厄介なホールの多い後半は、9ホールすべてパーで逃げ切りました。初日から2日間トップを走り、1打差の2位に後退した最終日、もう一度の粘り腰、67を出して再逆転した勝利は、嬉しかったでしょう。
☆片岡大育、9年目の初優勝コメント☆
「めちゃくちゃうれしい。うれしいの一言です。でも、涙は出なかったです。(後半、速報ボードがなく)トップとは感じていたけど、ずっと2位とは1打差だと思っていてドキドキしていた。18番のボードで3打差あるのが分かってほっとして″ありがとうございます”という感じでした。バーディーパット(4㍍)は入れたいと思ったんですが、置きにいっちゃいました。9年目?もうそんなに経つんですか。プロに転向してQT通ってツアーに出ても、予選落ちばかりでやっていけるのかな、と思いました。あせったとうよりも、絶望感で泣いていましたね。青山充コーチ(20歳から)と、ひとつひとつ小技を磨いて埋めていき、コースマネージメントも教わった。日本だけじゃなく、アジアンツアーもあると思って、QTを受けてアジアンツアーに行き、感じるものがありましたね。活躍の場は日本だけじゃないとね。アメリカにも合宿に行き、試合カンがなくならないように、ミニツアーも探して出ました。09年から5年間ぐらい・・。日本だけでは試合数が少ないので、アジアに出かけて両方で年間35試合ぐらい出ていた。そんな中でゴルフの戦い方を覚えましたね。ゴルフを始めたころからのフェード系を、今年は全く逆のドロー系に改造して飛距離が出るようになった。優勝して2年シードをもらえるので、ヨーロッパと米国のQT(予選会)を受けます」
まさに、9年目の苦労人の開花です。53歳の父親・和人(かずと)さんは、元甲子園球児(高知高)。片岡もリトルリーグまでは活躍した野球一家。その父親に連れられて行ったゴルフ練習場でゴルフの面白さにはまったそうです。168㌢、72㌔の小兵ですが、世界で磨いた小技や戦略は、ダイスケの大きな武器。13年の日本ツアー、ANAオープンで4位に入るなどで国内初シード。14年はフジサンケイ・クラシック4位などで国内賞金ランク53位。アジアンツアーは9試合に出場、ドバイオープン6位などトップ10に3試合入りましたが、4年連続のシード権は惜しくも逃がしました。今季から岡本綾子や古閑美保とコンビを組み8勝しているプロキャディー、伊能恵子さん(45)との専属キャディー契約をしていますが、今回は伊能さんの都合で留守中の優勝。「申し訳ないです。すみませんの一言です」と、頭を下げる実直なダイスケです。
どん底からコツコツと階段を上ってきた苦労人は、初優勝の勢いをかって月曜日の25日は全米オープン日本地区予選(岡山・鬼ノ城)の36ホールに挑戦。
出場40人のうち、上位5人に与えられる出場権を目指しましたが、10アンダーで惜しくも1打不足。「行けると思ったのに・・」(片岡)と涙を飲みました。次のチャンスにかけます。