全米OP日本予選2年連続トップ通過。日本ツアーは12年目の初Vで全英OP出場権。梁津満の中国パワー、爆発!!

スイングを改造、バックスイングを小さく、フォローを大きくして「ボールの方向性がよくなった」と飛ばし屋の梁津満(茨城・宍戸ヒルズ西コース=日本ツアー選手権)提供:JGTO
スイングを改造、バックスイングを小さく、フォローを大きくして「ボールの方向性がよくなった」と飛ばし屋の梁津満(茨城・宍戸ヒルズ西コース=日本ツアー選手権)提供:JGTO

中国から日本にやってきてことしで12年目の梁津満(リャン・ウェン・チョン=36)が、ついに待望の日本ツアー初優勝を遂げました。それも今季2つ目の国内メジャー、日本ツアー選手権森ビル杯(6月4~7日、茨城・宍戸ヒルズCC西コース)で難コースを通算14アンダーで制する完全優勝。5年シードと賞金3000万円を獲得して賞金ランキングも第1位に躍り出る快挙です。これで全英オープン(7月)の出場資格も得るなどいいことずくめですが、5月末に行われた全米オープン(6月)日本地区予選でも36ホールを14アンダーで戦い抜き、2年連続でトップ通過したばかり。眠れる獅子が一気に目を覚ました今季のリャンちゃんー。好調なゴルフでまだまだ何をしでかすか分かりませんー。

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日本ツアー参戦12年目。やっと初優勝のカップを掲げる喜びの梁津満(中国)=日本ツアー選手権=茨城・宍戸ヒルズ西(提供:JGTO)
日本ツアー参戦12年目。やっと初優勝のカップを掲げる喜びの梁津満(中国)=日本ツアー選手権=茨城・宍戸ヒルズ西(提供:JGTO)

難コースで知られる宍戸ヒルズ・西コース。起伏に富み、左右からは林が迫り、要所に池が口をあけている油断もスキもないコースです。″何が起こるか分からない〝この18ホールを、リャンは低い球を駆使し、自在に操るアイアンショットとパッティングで説き伏せました。初日から3日間60台。最終日は2位に5打差をつけてのスタートでしたが、「前夜は寝られなかった」というほど、高まる緊張感でショットを曲げ、苦しい18ホールでしたが、持ち前のアイアンの切れとパットで凌ぎました。1番でいきなり左へ曲げ、ボールはカート道のさらに左の斜面へ。つま先下がり難しいラフからの残りは157ヤード。これを9Iでピン1㍍につけるスーパーリカバリーでバーディースタートに置き換えました。2番(パー5)でも左斜面にドライバーを曲げ、ピンチでしたがここもパーで凌ぎました。
「1番の2打目は集中できた。2番もよく頑張れた。もし出だしの2ホールでボギーだったら、心理的に崩れていたかも・・」と首をすくめたリャン。この2ホールのしぶといゴルフで波に乗れたといえるでしょう。前半3つ伸ばしてさらに2位以下に差をつけ、後半14番で第1打を左サイドのギャラリーに打ち込んでも「差があったから」(リャン)と、冷静でいられたと振り返りました。

独走する梁津満を、ツアー未勝利の永野竜太郎(27)が追ったが、5打差の2位がやっとだった(日本ツアー選手権=茨城・宍戸ヒルズ西コース)=提供:JGTO
独走する梁津満を、ツアー未勝利の永野竜太郎(27)が追ったが、5打差の2位がやっとだった(日本ツアー選手権=茨城・宍戸ヒルズ西コース)=提供:JGTO

難ホールの多い後半で2つ落として、初めて70にしましたが、それでも4日間アンダーパーで2位には5打差。追ってくる日本選手も永野竜太郎(27)ひとりだけというひ弱さで、楽々リャンの逃げ切り勝ちでした。
中国人のシード選手は、他に呉阿順(29)がいますが、韓国勢などに比べれば数少ない中でのリャンの台頭は注目です。

中国・広東省出身。96年から中国アマを3連覇して99年プロに。04年に日本ツアーに本格参戦し、アジアンツアーともかけ持ちでプレー。07年にはアジア・欧州ツアー共催のシンガポールマスターズで優勝するなど3勝でアジアンツアーで賞金王。10年にはワンアジア賞金王で米ツアーにも参戦。全米プロでは、3日目にコースレコード64で回るなどで8位に入った実力者です。
日本ツアーではなぜか勝ち運に恵まれず、12年からは日本ツアーの登録名をW・リャンから梁津満(リャン・ウェン・チョン)の漢字に変更。13年はパーオン率1位。14年、飛ばし屋のリャンはイーグル率1位、ドライビングディスタンス288.77で12位。KBCオーガスタ2位(藤田寛之にPO負け)、ANAオープン3位、三井住友VISA太平洋5位、ダイヤモンドカップ9位・・とトップテンには顔をだしても、ツアーは依然未勝利でした。

全米オープン(6月18~21日)の日本地区予選では昨年のトップ通過に続いて今年(岡山・鬼ノ城GC)もトップ通過。今年の全米オープンは、来週米西海岸のワシントン州のリンクスコース、チャンバーズベイGCで初開催されますが「去年は本戦で予選落ちしてるので今年は頑張りたい」と、意欲をみせています。

梁津満の完全Vに終わった今季の日本ツアー選手権。1番ティーグラウンド(茨城・宍戸ヒルズ西コース)
梁津満の完全Vに終わった今季の日本ツアー選手権。1番ティーグラウンド(茨城・宍戸ヒルズ西コース)

☆日本ツアー12年目で初優勝した梁津満の優勝コメント☆

「いままでみんなから″いつ勝つの?〝といわれ続けていたので、やっと勝ててうれしいです。日本ツアーはとても好きで、毎年続けていればチャンスはあると思っていたので勝ててほっとした。いままでどうして勝てなかったのか、理由はわからないけど、今回は自分にもあまりプレッシャーをかけずに期待し過ぎずにプレーするようにしていました。前半で8打差もついて楽といえば楽でしたが、とてもリラックスまでにはならなかったです。このコースは難しいし、最後まで油断せずにプレーしようと思っていました。1番でいきなりティーショットを大きく曲げましたが、優勝争いとなるといろんな気持ちが湧いてくる。勝ちたいと思えば思うほどいろんなことを考えてしまう。でも1番では2打目に集中できたからよかった。ゴルフは難しいスポーツ。運もあるし、勝つには絶対的な実力がないと勝てないということもあります。日本ツアーでは2位が多くて、自信を失いかけていた部分もあったけど、今回の優勝で自信になった。アイアンとパットがよかった。全英オープンには行けると思ってなかったのでうれしい。今回で3回目。今年はオールドコースなので楽しみ。5年シードをもらえたのは感謝しています。アジアツアーをかけもちしているので、時間的な余裕ができ、大きな選択もできるようになったので、これからの長いゴルフ人生においてとても助かります。日本ツアーの賞金王・・は、とても魅力的な話ですね。おととし以降、ヨーロッパをなくして日本ツアーを中心にしています。日本ツアーは、これまでもいろんな勉強をさせてもらっている。日本でゴルフをして中国との懸け橋にもなれればいいと思っています」

ゴルフの総本山、スコットランドのロイヤル&エンシェント(R&A)から、13年にはアジア代表の親善大使に選定され、中国はじめアジアでのゴルフの普及活動に尽力しているリャンです。このあと、6月は全米オープン。7月は全英オープン。8月は全米プロと世界のメジャーが続きます。日本で勝った梁津満(リャン・ウェン・チョン)が、自信をつけて、次は世界の舞台で暴れるシーンを見せてくれそうです。注目しましょう。