″逆転の女王〝といわれた成田美寿々が、4日間競技のサントリーレディス(6月11~14日、兵庫・六甲国際GC)で、初めて4日とも首位を譲らぬ通算16アンダーの完全優勝で賞金1800万円を獲得しました。ツアー参戦4年目の22歳。今季2勝で早くも通算7勝目。獲得賞金は2億円を突破するなど、女子プロ界のトッププレーヤーの仲間入りです。今季の賞金ランクも、大会前の14位から5位に浮上。すでに確保している全米女子オープン(7月9~12日)に続きこの優勝で全英リコー女子オープン(7月30~8月2日)の出場権もゲット。次は世界メジャーでの腕試しが注目されてきました。ツアー参戦の12年1勝、13年1勝、14年3勝、15年2勝(6月時点)と、プロ入りから順調な足取りで進化しいている美寿々には、いよいよ大物感があふれてきました。
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″来年のリオデジャネイロ五輪に出たい〝″平均ストローク60台にしたい(昨季は70.9134で6位)〝″完全優勝してみたい〝・・美寿々の夢はいつも大きくてたくましい。その夢の一つ″完全優勝〝は、早々としかも4日間競技で果たしました。これまで6勝中5勝を最終日にひっくり返してものにしている逆転娘。そして昨年は香妻琴乃(サマンサタバサ)、今年は藤田光里(スタジオアリス)と″かわい子ちゃん〝の優勝を次々と阻み、″かわい子ちゃんハンター〝との異名をとる美寿々でした。今回は、強くてかわいいイ・ボミ(韓国)の猛追を負けじと押し返しての逃げ切りV。イ・ボミが1打差に迫っていた16番パー3(160ヤード)。グリーン左サイドには大きな池が口をあけているホールです。その池寄り4㍍に切られたカップを果敢に攻める2人。イ・ボミが奥4㍍につけると、美寿々の8番アイアンはイの内側にピタリ。10㌢遠いイは、スライスラインを50㌢ショートしてバーディーならず。これを見た美寿々のクロスハンドのパットは、ド真ん中から消えました。再び2打差をつけた美寿々の、ウィニングバーディーといえるものでした。技もありますが、心も強い美寿々を物語るシーンでした。
◇4月のスタジオアリスに続く今季2勝目を″完全V〝で挙げた成田美寿々のコメント◇
「ボミさん、強かったですね。前半を4アンダーで追ってくるなんて予想もしてなくて・・。自分も(前半)2つ伸ばしているのに・・。(スタートで4打あった差が)12番をボギーにして1打差になったときは、さすがだなと思いましたが、賞金ランクトップを走っているボミさんとこういう場面で優勝争いをしてるのは幸せ。楽しんでやろうと思いました。ゴルフはやっぱりこの位置でいつもやっていきたいな、思ってました。16番はパッティングもよかったですけど、あそこにショットを打てた勇気ですね。3日間回って、あのホールは守ったらボギーだと思ったので、勇気をもって次狙えるところに打っていきました。パットが入ったときは、この勝負楽しい!と思って鳥肌が立って渾身のガッツポーズが出ました。
私は土壇場に強いタイプじゃなかったけど、サントリーに向けて準備してきたからよかった。パットの握りも、勝つために1打でも縮めるために(クロスハンドを)やってきた。4日間、あまりガツガツしないでできたのはよかったけど、最終日はバーディーパットが届かなかったのがあったので、課題です。去年届かなかった年間1億円は稼いでみたいけど、賞金女王はやってみないと分からない。女王より平均ストローク69台を目指していきます。全米、全英は優勝争いができるように頑張ります。完全優勝はおススメじゃないですね。疲れます(笑い)」
最強のイ・ボミ相手に堂々と戦い″重圧を楽しいんだ〝とは、22歳にして見上げた度胸です。イ・ボミは美寿々について「グリーンを外してもアプローチできっちりパーをとっていた。プレッシャーなく、自信も持ってゴルフをしている感じだった」と、評しています。中学時代からソフトボールやマリンスポーツに親しみ、スキューバダイビングの資格も持つスポーツウマン。千葉・拓大紅陵高に入ってからゴルフ志向を高め、関東ジュニアや東日本女子パブリック選手権(ともに10年)を制覇。日体大1年在学中の11年プロテスト受験して失敗。その秋のQT(予選会)で26位に入り、12年からのプロツアー出場権を獲得しました。ツアー1年目の富士通レディスでは首位に5打差8位タイからの大逆転、20歳で初V達成。日体大は1年で休学。以後着々と勝ち星を重ねてすでに7勝目。体格もしっかりしている飛ばし屋。ものおじしない強いハートを持っているのも、まさに大物を感じさせるアスリートです。
国内での戦いぶりもですが、次は7月9日から始まる全米女子オープン(米・ペンシルベニア州ランカスターCC)と7月30日からの全英リコー女子オープン(スコットランド・ターンベリー)の世界のメジャーでの成田美寿々に大きなスポットが当たりそうです。