今週は日本の男子ゴルフツアーはお休み。今年3つ目のメジャー、全英オープンが16日からスコットランドのセント・アンドルーズで開催されます。日本ツアーからは池田勇太、手嶋多一、小田孔明、藤田寛之、高山忠洋、富村真治ら9人。米ツアーから松山英樹と、多数の日本勢が聖地開催のメジャーに挑戦します。中でも、昨季の日本オープン王者として4年ぶりの全英に乗り込む池田勇太(29)は、さきごろスコットランド親善大使に任命され、来日したスコットランド自治政府のフィオナ・ヒスロップ文化大臣から贈られた同地域ゆかりのタータン柄のジャケットを着て聖地に赴きます。過去3回出場した勇太の全英は、38位が最高。10年に体験したセント・アンドルーズは予選落ちでした。「経験を生かし、親善大使としても大会を盛り上げたい」と意気込む勇太に注目です。
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スコットランド親善大使の任命式は先日、都内の英国大使館で行われました。今年の全英オープンはスコットランドのセント・アンドルーズが舞台。5年に1度巡ってくるこの聖地での大会。日本オープン王者として出場する池田勇太は格好のPR役なのです。スコットランドは、ゴルフの発祥の地。セント・アンドルーズを始め数多くのリンクスが海岸線に点在しています。多くのビッグトーナメントが開催され、スコットランドには年間2億2000万ポンド(約424億7100万円)相当の経済効果をもたらしているといわれています。スコッチウイスキーの本場でもあり、それらを求めて2011年のデータでは約12万6000人のゴルフ客が合計約674000ラウンドのプレーを楽しんだとされます。2020年までには「世界最大のゴルフ旅行先となる」という、ビッグな構想を打ち出しているスコットランドです。勇太の親善大使任命式に、わざわざ文化・欧州・対外関係大臣(女性)が来日しただけのことはあります。
昨今、スコットランドの雑誌特集や旅番組などが多数企画されています。NHK連続ドラマ「マッサン」では、ウイスキーが大きな話題となりましたが、スコットランド観光局では15年を「Year of Food and Drink」とし、スコットランドの食品・飲料のキャンペーンを積極的に展開しています。またスポーツでも今年の全英オープンの開催地がセント・アンドルーズで、日本選手も多勢出場することから、スコットランドと日本のゴルフにおける文化交流を大いに期待して池田勇太に白羽の矢が立ったということです。
ヒスロップ文化大臣は「池田勇太プロのセント・アンドルーズでの活躍をお祈りします。スコットランドでは池田親善大使をお迎えすることで、大会前の雰囲気が大いに盛り上がるだろうと期待しています。池田プロをはじめ、日本のプロのみなさん、そして世界の最高のプレーヤーたちをゴルフ発祥の地であるスコットランドにお迎えし、今年もまた記憶に残る全英オープンが開催されることを楽しみにしています」とコメントしています。
池田勇太プロは「ゴルフ発祥の地、スコットランドの親善大使に任命していただき、大変光栄に感じています。スコットランドといえば、スコッチウイスキーも話題ですが、遺跡や城などの由緒ある建造物、豊かな自然も魅力です。そのスコットランドを象徴するようなセント・アンドルーズ オールドコースでの大会です。10年大会に出場したときは、巨大グリーン、ポットバンカーなどに驚かされ、うねるフェアウェイ、厄介なラフ。試合が中断するほどの強風、突然の雨に泣かされて予選落ちでした。難題の多いコースという印象でした。今回はその経験も生かし、親善大使としても全英オープンを盛り上げるよう頑張りたいと思っています」と、語っています。
今シーズンの勇太は前半戦、3度の予選落ちなど結果を残せませんでしたが、夏場を迎えてようやく調子を上げてきました。7月に入って長嶋茂雄招待セガサミーカップ(北海道・ザ・ノースカントリーGC)では、最終日に崩れて17位に終わりましたが、初日から3日間60台をマークし3日目は3位と手応えをみせつけました。続く新規大会のミュゼプラチナム(兵庫・ジャパンメモリアルGC)でも4日間とも60台で通算18アンダーで日本人最上位の5位。金庚泰(キム・キョンテ=韓国)の20アンダーに2打とどきませんでしたが、最後まで優勝争いにからむ存在感を発揮しました。次週の全英オープンに向けて上々の盛り上がりをみせてきました。
「ゴルフはこのところずっと悪くないし、やっと調子とスコアが結びつきだした。また、悪い中でも悪いなりにスコアを伸ばせたし、もう一息だね。この気持ちを持って全英を戦ってきたい」(ミュゼプラチナムを日本人最上位の5位で終わった勇太)
″転がりがいい〝とこの試合から使い始めた新しいパターも好感触を得ています。うねりがあって高速の全英のグリーン対策には、またとない武器を手に入れたといえそうです。
幼少のころからゴルフを教わった最愛の祖父、直芳さん(享年85)をこの5月に失くした悲しみも「四十九日を終えて少しは落ち着いてきた」という。その初盆に手向ける朗報が待たれるところです。選手会会長を務めて今年で3年目。「プレヤーとの兼務は激務」(勇太)ともらしていますが、日本ツアー12勝の実力。今年12月22日には30歳を迎える円熟期にさしかかっています。日本プロでツアー初勝利(09年)、昨年は日本オープンを制覇するなどメジャーとは相性抜群の勇太です。
ミュゼプラチナムを終えて週明けにはすぐ渡英という強行日程ですが、セント・アンドルーズを征服して、おいしいスコッチウイスキーで乾杯!といけるでしょうか?!