トーナメントスポンサーが選ぶ今年のルーキー・オブ・ザ・イヤー(新人賞)は、男子が今平周吾(23)、女子は藤田光里(21)に決まりました。日本ゴルフトーナメント振興協会(GTPA)では、1998年から、ゴルフトーナメント界の活性化には若手選手の育成が大切として、その年度に活躍し話題を提供したプロを選出して表彰してきました。歴代受賞者には女子では宮里藍、横峯さくら、古閑美保、上田桃子、原江里菜、森田理香子ら。男子では谷原秀人、宮里優作、石川遼、池田勇太、松山英樹、藤本佳則ら、その後もツアーを担っていくトッププロとなった選手が名を連ねています。第18回目を迎えた今季は、11年の開幕戦から5年間、155試合に連続出場している″鉄の女〝表純子(41)と帯同キャディーを続ける夫の広樹さん夫妻が特別表彰されました。12月18日、東京・ANAインターコンチネンタル東京で表彰式と懇親パーティーが開かれました。
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日本ゴルフトーナメント振興協会(GTPA)は、より魅力的なトーナメントを目指し、その活性化とゴルフ界の振興・発展に寄与しようとするトーナメンスポンサー企業の団体です。トーナメントはこれら企業のサポートがあって初めて成り立つもの。それにテレビ局、新聞・雑誌社、広告代理店、トーナメント運営会社等トーナメントに関係する約100社が会員となって運営されています。
表彰式には、日本ゴルフツアー機構の海老沢勝二、女子プロ協会の小林浩美、日本プロゴルフ協会からは倉本昌弘の各会長も姿をみせ、選手を代表して池田勇太選手会長もわざわざ出席してそれぞれ感謝の挨拶を行いました。
栄えある新人賞に選出された今平周吾。あまり大きくない体に緊張感をみなぎらせて表彰の壇上に上がりました。夏目GTPA理事長から表彰状と記念のプレートを受け取った今平は「著名な先輩選手の名前が並ぶ賞を自分がいただけて本当にうれしい。この賞に恥じないようにこのオフは体を鍛え、体力・精神両面を強めて初優勝目指して頑張ります」と、新年早々からのトレーニング開始を宣言しました。
今平は埼玉栄高から東京国際大を経て11年、19歳でプロ転向。高校1年のときには「日本ジュニア」で松山英樹との優勝争いを制して優勝した経験ももっています。高1終了後中退して渡米、フロリダの有名なIMGアカデミーで2年間修業を積んで帰国。帰国後にプロ転向に踏み切り、デビュー3年目の14年には下部ツアーのチャレンジ・トーナメントで2勝してチャレンジ賞金王を獲得しました。チャレンジ最終戦の優勝者の資格で出場したツアー、「カシオワールドオープン」では、3日目に首位に立って驚かせました。最終日の最終組では、さすがに75と崩れて22位に終わりましたが、これで一躍「今平周吾」の名を売り出しました。
今平の武器は、とりたてた飛ばし屋ではありませんが、精度の高いドライバーショットが光ります。フェアウェイキープ率では上位を占め、レギュラーツアーでも戦えるショットメーカーです。チャレンジ賞金ランク1位の資格で本格参戦した今年のツアーでは、5月のミズノオープンで5位に入ったのを皮切りに、日本ツアー選手権森ビル杯で16位タイ。7月の長嶋茂雄招待セガサミー杯では優勝した岩田寛に1打差の惜しい単独2位。秋のビッグゲーム、ダンロップフェニックスでも4位タイの大健闘と、何度も優勝争いを演じて日本シリーズJT杯にも出場しました。今季はレギュラーツアーで賞金ランク24位(4525万7908円)で堂々のシード選手。23歳の若さで今後も若手トッププロとしての活躍が期待されています。優勝はない新人賞の受賞でしたが、来季こそ今平の初優勝に期待がかかります。
一方、女子では″美し過ぎるゴルファー〝といわれる札幌生まれの藤田光里。3歳のとき、父親に勧められてクラブを握った光里は、小学生のころから試合に出ていたというゴルフっ子。アマチュア時代から数多くの戦績を積み重ねて13年のプロテストで6位合格。秋のQT(ツアー予選会)は1位通過。新人戦、加賀電子杯ではいきなり優勝と、アマ時代の実績そのままのプロデビューでした。
しかし、ツアールーキーの14年は後半戦、ショットがおかしくなるスランプを経験して苦しみましたが、今年4月のフジサンケイでの初優勝で目が覚めました。この試合、6人が首位に並んで迎えた18番。グリーン奥エッジからの5㍍の第3打。外せば6人プレーオフが決定的だったこのバーディーパットを、フックラインに乗せて沈めた藤田、感激のウィ二ングパット。歴史に残るような1打をモノにして「一瞬、頭の中が真っ白になった」(光里)と、大江順一帯同キャディー(36)と抱き合うシーンが印象的でした。
今シーズンは、賞金ランク18位(4783万8923円)。目標として挙げていた「ツアー優勝」「賞金ランク25位以内」「シード権獲得」の3つを見事に達成。実力を備えた美人プロとして大勢のギャラリーを集める人気プロです。今季後半はやや精彩を欠いていましたが、自信を取り戻した今季の活躍は貴重なものだったでしょう。
シーズンを終わった藤田は、所属契約先(レオパレスリゾート・グアム)のグアムでのイベントのため都内のホテルでの新人賞表彰式は欠席。会場にはビデオメッセージが流れました。
「GTPAルーキー・オブ・ザ・イヤーを戴き、本当にありがとうございました。今年はいいシーズンでした。念願の初優勝を挙げることが出来ましたし、目標としていた賞金ランキング25位以内もクリアできました。今年のオフは、一生懸命にトレーニングと練習をして、来シーズンもいい成績を残せるように頑張ります。これからも応援をよろしくお願いいたします。ありがとうございました」
チャーミングな光里ちゃんのいない表彰式会場は、いささか寂しさと落胆?の色が漂いましたが、温かいグアムでは練習も開始しているものと納得してる感じでした。
15年度GTPA特別賞として表彰されたのは表純子夫妻。11年の開幕戦から数えて5シーズン155試合。棄権も失格も休場もなくツアー連続出場最多記録を更新中の″鉄人〝です。広島出身の表。01年に8年近い交際を経て、当時所属コースの職員だった夫・広樹さんと入籍。02年から広樹さんがバッグを担ぎ、夫婦でツアーを戦ってきました。05年にはツアー初優勝を果たし、二人抱き合って感涙にむせびました。今季は9月のミヤギTV杯ダンロップで2年ぶりのツアー4勝目を挙げ賞金ランキングは24位。生涯獲得賞金は4億7747万298円(ランク26位)。プロ入り20年目。この連続出場記録は、出場資格の厳しいトーナメントをすべてクリアしてきた価値あるもの。抜群の安定度と万全の体調管理なくしては成しえないものです。現在も記録更新を続ける二人の偉業への表彰は、高く評価できます。
この特別賞は、年間めざましい活躍と大きな話題を提供し、ゴルフ界への振興・発展に寄与したものに与えらえます。過去には不動裕理(最年少で永久シード権獲得)、石川遼(アマチュアでツアー最年少優勝)、青木功(日本シニアオープン最終日にエージシュートで優勝)、松山英樹(史上3人目のアマチュアのツアー優勝とマスターズでのローアマ)、勝みなみ(史上4人目のアマチュアのツアー優勝で女子ツアー最年少優勝記録更新)らが表彰されています。