270ヤード超の飛ばし屋、渡辺彩香(あやか)。賞金女王候補の大本命に。大東建託と所属契約!!

「大東建託いい部屋ネット」のワッペンを持つ左から江澤亜弥プロ(昨年所属契約)、渡辺彩香プロ(1月29日、東京・品川プリンスホテル)
「大東建託いい部屋ネット」のワッペンを持つ左から江澤亜弥プロ(昨年所属契約)、渡辺彩香プロ(1月29日、東京・品川プリンスホテル)

昨季、韓国勢に蹂躙(じゅうりん)された日本女子ツアーの中でひときわ目立ったのが、飛ばし屋の渡辺彩香(あやか)=22=でした。プロ入り5年目、年ごとに順位を上げている日本人屈指の成長株で昨季は賞金ランク6位。獲得賞金1億円越えで日本勢では最上位にまで登りつめました。その渡辺が今季新たに㈱大東建託から白羽の矢を受け、所属契約を結びました。1月29日、東京・品川プリンスホテルで行われた発表会では、渡辺がロングドレスの正装からゴルフウエアにお色直しまで行い、壇上両そでから渡辺に祝福の紙花火を爆発させるなど、派手なお披露目で、今季の彩香にかかる期待のほどがうかがえました。

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壇上、スイングのポーズで所属契約を喜ぶ渡辺彩香(東京・プリンスH)
壇上、スイングのポーズで所属契約を喜ぶ渡辺彩香(東京・プリンスH)

選手に「所属」がつくのは格別にうれしいことです。契約料のほかに、獲得賞金に見合ったボーナスがついたり、ツアーに遠征する経費が支給されたりと、大きなサポートを受けることになります。より充実してツアーに専念できるわけです。ドライバーの平均飛距離は270ヤード級。いまの日本女子プロ界ではNO1といっていいロングヒッター。15年の公式ドライビングディスタンスは第1位でした。12年にプロテスト合格。13年からツアーにフル参戦し、2年目の14年にはもう大きな出来事がありました。3月のアクサレディス(宮崎・UMKCC)。最終日首位に6打差あったのを脅威の追撃で差をつめ、1打差で迎えた最終ホール。505ヤードのパー5で第2打をグリーン左サイドまで運び、ピンへ20ヤードのチップショットを直接放り込むイーグル。

左から樋口久子協会相談役、江澤亜弥プロ、渡辺彩香プロ、門内仁志代表取締役(東京・品川プリンスH)
左から樋口久子協会相談役、江澤亜弥プロ、渡辺彩香プロ、門内仁志代表取締役(東京・品川プリンスH)

この1打で藤田幸希を逆転サヨナラ劇で振り落した劇的プロ初優勝を果たしたのです(14年のLPGAアワード・メディア賞=ベストショット=)。以来、女子プロ界で男子並みのドライバーを放つ″飛ばし屋〝としてグングンと名を上げました。女子でこれだけの飛距離は大きな武器。昨季は4月のヤマハレディスに通算7アンダーで勝ち、10月末の樋口久子Pontaレディスでは通算11アンダー、2位に4打差をつける快勝で年間2勝。通算3勝目を挙げています。さらに8月のNEC軽井沢72の2日目には、パー5(480ヤード)の16番で2打目の195ヤードを4番アイアンで直接カップインさせるアルバトロスを演じ、後半の5番(361ヤード、パー4)では、残り95ヤードを58度のウェッジで直接放り込むイーグル。史上2人目の同一日アルバトロス&イーグルの離れ技を達成した女子プロでもあります。

イ・ボミを先頭に強い韓国勢には昨季、上位を奪われましたが、賞金ランク6位は日本人最上位。1億86万6583円とプロ4年目で″1億円プレーヤー〝にのし上がりました。ゴルフは飛ばすだけでは勝てません。このオフ、正月明けには10日間米ロサンゼルスで合宿。リオ五輪強化指定選手に選ばれている彩香は日本代表の丸山茂樹ヘッドコーチ(46)に師事。丸山が得意としたグリーン周りからのロブショットなどの直接コーチを受けました「丸山さんにいろいろ教わって、どれも新鮮でした。いままで味わったことのない感覚。ロブショットも大分打てるようになりました」(彩香)と、課題としてきたショートゲームの手応えもあったようです。

渡辺の大東建託所属発表の席上、彩香の今季の活躍へ、ガッツポーズする″チーム渡辺〝の面々(東京・品川プリンスH)
渡辺の大東建託所属発表の席上、彩香の今季の活躍へ、ガッツポーズする″チーム渡辺〝の面々(東京・品川プリンスH)

彩香は静岡・熱海の出身。両親の影響で9歳からゴルフを始め、静岡県ジュニア選手権(07年)、翌08年は中学3年で日本ジュニア(12~14歳の部)選手権を制覇。ゴルフの強い埼玉・栄高に入学。3年間、熱海から千葉まで新幹線通学をやりぬいた根性もたいしたものです。高校時代は東日本女子パブリックアマ(11年)を制し、女子主将を務めた高3では全国高校選手権団体優勝に貢献。JGAのナショナルチームの一員にもなりました。高校を卒業した12年、7月のプロテストに一発合格。華やかなプロの世界へと順調な足取りで駆け上がってきました。

14年には6月の全米女子オープン、7月の全英リコー女子オープンにも初参戦。「フェアウェイキープの大切さや小技の重要性を改めて知った。それに忍耐力も試されました」(彩香)と、大きな経験をし、夢に抱く世界への第一歩を踏み出しています。
「今年はリオ五輪出場と国内メジャー優勝が2大目標」と語る彩香。現在世界ランクは57位。日本人としては4番手(枠は2人)。まだリオ五輪出場は確定していませんが、7月11日の決定日に向けて今季は前半戦からのチャージが求められます。

大東建託は昨季から「大東建託・いい部屋ネットレディス」(山梨・鳴沢GC)として、女子プロツアーの冠になっています。彩香も昨年までは同社とスポンサー契約がありましたが、今年からは″所属選手〝としてホスト役も務めなければなりません(同週に全英リコー女子オープンがある)。

豪快に280ヤードを飛ばす渡辺彩香のドライバーショット。
豪快に280ヤードを飛ばす渡辺彩香のドライバーショット。

「昨季は賞金ランクングで日本人最上位になれたのは、達成感がありました。年間で安定した成績を出せたのはオフにやったトレーニングのおかげだと思います。今年のオフもしっかり練習してきたので楽しみです。今年は大東建託の所属にしていただいたので、去年以上の結果を出して恩返ししたいと思います。オリンピックに出るために、今年は前半からエンジン全開でアグレシッブにいくつもりです」と、自信をみなぎらせる彩香。発表の席に同席した日本女子プロゴルフ協会の樋口久子相談役からは「渡辺さんは大きな飛距離を持っている選手だし、今年は賞金女王に近い選手。ぜひそれを目指してほしい」と激励されました。

久々に出現した日本女子の大型本格派プレーヤー渡辺彩香の一挙一動が見逃せません。
(了)