日本ゴルフツアーも今週末の28日(木)から開幕です。とはいっても海外での試合で、日本ゴルフツアー機構(JGTO)とアジアンツアーとの共催によるSMBCシンガポールオープン(シンガポール・セントーサGC)が第1戦です。世界の王者、ジョーダン・スピース(米)も招待出場するこの一戦、日本ツアーからは枠いっぱいの60選手がエントリーして対抗します。そんな折、日本プロゴルフ協会(PGA)では管轄するシニアツアーの日程発表を行い、今季は昨季より4試合増の17試合が行われることが分かりました。シニアでの4試合増は画期的なことで、賞金総額も昨年より9700万円増の8億700万円となり、低迷していたシニアツアーにも″春〝が到来した感じです。
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日程を発表する倉本昌弘PGA会長の表情も誇らしげでした。「シニアツアーは昨季より4試合増えて17試合を行います。賞金総額も8億700万円となり、PGA発足以来歴代3番目の高い総額になりました。井戸木鴻樹クン、芹沢信雄クンらの会員(選手)が、試合をやりたがっているスポンサーさんを紹介、引き込んでくれたのも大きかった」と、会長や理事だけの努力ではなく、協会員全体がシニアツアー発展へのための″営業活動〝に尽力したことを口にしました。
総額の8億700万円は、バブル期の91年度の9億532万5000円(26試合)、92年の8億7300万円(23試合)に次ぐ歴代第3位の高額賞金の復活というわけです。バブル崩壊のあおりを受けたシニアツアーはその後凋落の一途をたどり、年間試合数は1けたが当たり前となり、99年(平成11)には年間僅か3試合(賞金総額1億3000万円)にまで落ち込んで、シニアツアー消滅の危機とまでいわれました。
歴代会長は、PGAの事業の大きなひとつでもあるシニアツアーの人気回復へ取組みました。松井功会長時代の10年(平成22)にようやく2ケタ10試合を回復。森静雄会長時代の13年(平成25)に12試合。
そして倉本昌弘会長2年目を終えたところで、一気に″4試合増〝のビッグニュースをもたらしたのでした。新規参入してきた4試合はいずれも2日間競技。賞金総額も2000万~3000万円(優勝賞金は400万~700万円)と、小規模な試合ですが、まずは試合数を増やすことが先決だったため、これは致し方のないところでしょう。
新規参加の4試合ーまずノジマチャンピオンカップ箱根シニアは新加入の″目玉〝です。㈱ノジマ(電機=本社・横浜、野島廣司社長)は、女子サッカーチーム、なでしこリーグ2部「ノジマステラ神奈川相模原」の運営をはじめ「ノジマ相模原ライズ(アメリカンフットボール・Xリーグ)」「横浜DeNAベイスターズ(プロ野球)」など、地元神奈川県のチームを中心にスポンサー契約を行ってきた会社。今回は、井戸木鴻樹プロの仲介で、シニアプロゴルフの活躍の場を増やすことで、日本ゴルフ界全体の活性化を支援しようと、初めてゴルフ界に参入してきました。さらにユニークなのは、昨年来、箱根山の火山活動で箱根町の観光業が大きな影響を受けているため、同じ神奈川県を基盤とする企業として箱根町の活性化に貢献したいと、会場は仙石原にある名門、箱根カントリー倶楽部で開催することです。この大会は開幕第2戦として4月22日(金)、23日(土)の2日間行われますが、トーナメント前後の21日(木)と24日(日)の2度プロアマ戦を行い、スポンサーと有名シニアプロとの交流を深めようという日本では初めての試みが実施されます。賞金総額は3900万円(優勝700万円)。
2つ目は那須霞ヶ場チャリティシニアオープン(仮称)。7月2日(土)、3日(日)の2日間、那須霞ヶ城ゴルフクラブで開催されます。3つ目は10月14日(金)~15日(土)の2日間競技、YUKO GROUP PRESENTS 第2回セヴンヒルズカップKBCシニアオープン(福岡セヴンヒルズゴルフ倶楽部)。4つ目は11月9日(水)~10日(木)の第1回福岡シニアオープン(福岡カンツリークラブ和白コース)。この試合は、地元九州では顏利きの元PGA会長・長田力氏らの尽力によるもので、継続開催が期待できる大会とされています。
倉本会長の地元広島で小さなスポンサーが集まって昨年大会を立ち上げた郷心会広島オープンが、広島シニアゴルフトーナメントと名称を変更して今年も8月最終週に大会継続されます。
4月16日(土)~17日(日)、沖縄での金秀シニア沖縄オープンで開幕。11月25(金)~27日(日)のいわさき白露シニアまで計17試合。毎月試合があり、前半はやや空きもありますが、8月後半からは11月まで毎週のように試合が組まれています。「後半戦はお年寄りは体力がもつかな?」(関係者)と心配の声が上がるほど日程が詰まっています。歯抜け日程で試合が飛び飛びだったのがシニアでしたが、それも今は昔・・ツアーといわれるにふさわしい試合が続くシニアになりました。
日本シニアオープンは、9月15~18日、千葉・習志野CCキング・クイーンコース。日本プロシニア住友商事・サミットカップは、10月6日~9日、茨城・サミットGCでの開催になります。シニアでは老舗のファンケルクラシック、コマツオープンも例年通り開催され、″隔年契約〝のスターツシニアは、4年連続でツアー開催の登録をしました。
また日本プロゴルフ協会(PGA)は、今年第3回大会を迎える「ネスレインビテーショナル 日本プロゴルフマッチプレー選手権レクサス杯」を、PGAが主管して行うと発表しました。14年に「片山晋呉招待ネスレ日本マッチプレー選手権レクサス杯」としてツアー外競技でスタートした大会ですが、今年から日本プロゴルフ協会が主管して開催されます。ツアー外競技であることは変わりませんが、75年から03年まで日本プロゴルフマッチプレー選手権を公式戦として開催してきたPGAにとっては、全く新しい形態での13年ぶりマッチプレーの″復活開催〝です。片山晋呉が、続けてホストプロを務め、賞金総額は1億5000万円。優勝賞金は昨年の7000万円から、国内史上最高額の1億円に増額されます。7月29日から31日までの3日間、北海道恵庭CCで行われ、話題の大会となるでしょう。
(了)