アマチュアの勝みなみ(17=鹿児島高3年)のツアー2勝目は成りませんでした。初日からトップに立ち、2年前のKKTバンテリン・レディス以来のプロ2勝目に王手をかけながら、最終日に元世界ランク1位の申ジエ(28=韓国)の強さに翻弄(ほんろう)されました。それでも単独2位で終わった勝は、5月の「ほけんの窓口レディス」の6位に続くトップテン。プロと対等に戦える実力をまたも証明しました。ローアマとして出席した表彰式であたりかまわず目を真っ赤にした悔し涙は、きっと次に生きてくるでしょう。アマでプロツアーで2勝すれば″即プロ転向”を明言しているみなみの夢は、今季中にはかなえられるでしょうか?!ツアーの次戦出場は、7月の「サマンサタバサレディース」です。
(ニチレイ・レディス=千葉・袖ヶ浦CC新袖コース 6月17~19日)
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涙ポロポロ・・表彰式は勝った申ジエより負けた勝みなみにファンの視線は集まりました。主催者から「今回は残念でしたが、いつか(大会3連覇した)申ジエさんのような選手になってください」と声をかけられ、みなみの目から一気に涙があふれました。初日「67」で申ジエ、金ナリの韓国勢とともにトップタイでスタートした勝は、2日目もノーボギーの「67」を出して2位に1打差ながら単独首位に立ちました。14年のKKT杯バンデリンでアマチュア優勝して以来の興奮がちらつきました。しかし、最終日はさすがに強いプレッシャーに見舞われました。
「優勝の2文字に気持ちが先走って、体がついていかなかった」(勝)と、特に前半はショットが乱れました。5番(パー4)でグリーン手前のバンカーに落とし、バンカーショットも5㍍オーバーさせてボギー。申はグリーンエッジのラフから20ヤードをチップインさせるバーディーの明暗がくっきり。さらに続く6番(パー3)でもグリーンを外して寄せきれずボギー。申は6㍍をねじ込むバーディー。この2ホールで4打も縮まって首位を申に明け渡しました。さらにバンカー地獄に泣いたみなみは7、9番もボギーとして一気に申に離されました。
いったん順位を落としたみなみが、インにターンした10、11番で連続バーディー、最終18番でもバーディーを奪って後半は34と巻き返したあたりはさすが。優勝した申には3打差をつけられましたが、3位の西山ゆかり、渡辺彩香、イ・ボミには1打差をつける通算9アンダーで単独2位をキープしたのは立派でした。
「風もあったし、アマの攻め方とプロの経験値の差は出ると思っていた」(申ジエ)。米ツアーでは賞金女王、世界ランク1位の実績を誇る申のプライドにはハットオフの勝。トッププロとアマチュアの差は歴然でしたが、目の前でみた申ジエの高度なプレーには得るところは大きかったでしょう。
「いい緊張感でした。いままでにないものがありました。これからプロになっていく中で必ず生きる経験でした。敗因の中には気持ちの弱さもありました」と勝。今大会で優勝し、ツアー登録をすればプロとなり今後1年間の出場権を得られるところでした。そのプロ転向はお預けになりましたが、勝が一歩一歩プロに近づいているのも確かです。
この後は、29日開幕のステップアップツアー(下部ツアー)「日本臓器製薬レディスABC杯」に出場。レギュラーツアーは7月15日開幕の「サマンサタバサレディース」になります。今季はすでに10試合の女子ツアーに参戦。予選落ちは1試合(リゾートトラスト)だけ。トップテン2回で獲得仮想賞金は1500万円を超えており、賞金ランクでは20位台に価します。
「出場できる試合は全部出たい。出れば優勝するチャンスは増えるでしょう。もしかしたら優勝できるかもしれないじゃないですかぁ」ー屈託なく話す勝の頭の中は、もうプロでの2勝目しかない!!抜群の強さで今季2勝目、国内通算14勝目(大会3連覇)を挙げ賞金女王へ突っ走る申ジエは、勝みなみについて「プロに勝る選手」と称賛を惜しみませんでした。