今年の女子プロゴルフテスト、トップ合格は東京下町の人気ラーメン店の一人娘!東京・日出高を今春卒業、1月8日にはプロ転向宣言もしていた永井花奈(19)。1打差2位から出た最終日(4日間72ホール競技=山口・周南CC、パー72)、一発勝負の重圧もはねのけて5バーディー、2ボギーの69で回り、通算9アンダーで逆転のトップ合格を果たしました。今週5日からのツアー、「mejiカップ」(北海道・札幌国際・島松コース)以降14試合(日本女子OP、TOTOジャパンクラシック、ツアー選手権リコー杯を除く全試合)の出場権を獲得する大手柄でした。この短期出場で来季のシード権が取れるかどうかも注目です。81人が参加して行われたプロテストは、通算イーブンパー、18位タイまでの21人が合格しました。
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3日間競技が昨年から4日間72ホールのストロークプレーになったタフな舞台。初日68で1打差の3位につけた花奈は70、72とオーバーパーはたたかず、最終日は首位のチェン・スーハン(台湾)を追って1打差の2位スタートでした。1番で5㍍をいきなり入れるバーディーの出足。「あれで流れをつかめた」(花奈)という通り、5番(パー4)で第1打を左のクロスバンカーに入れながら3打目の25ヤードを直接入れるスーパーバーディー。地に足をつけたプレーが続きました。首位に並んで後半へターン。「いつも悪い時は攻めないでミスをしていたんで、きょうは調子も悪くなかったのでとりあえず攻めていこうと・・。相手を気にせずにやれました」(花奈)。11番(パー5)、13番(パー3)でともに3㍍のバーディーチャンスをものにすると、14番でボギーにしたものの、すぐ15番(パー5)で60ヤードの第3打を1.5㍍につけてバーディーで取り返す抜群の安定ゴルフでした。7位にいた小野祐夢(ひろむ=19)が67で追い上げてきましたが、それも2打差をつけての逃げ切りでした。
★一発トップ合格を果たした永井花奈のコメント。
「トップ合格は特別狙っていませんでした。狙っても難しいことなので・・。そういうことを気にしないでやれたのがよかたかなと思います。でもトップで通れてうれしいです。プロのツアーに出させてもらったり、米国でもシメトラに挑戦したり、いままでいろんな試合に出させて頂いたので、その経験を生かせてこれからもやっていければいいなと思います。海外にもいろんなスタイルの選手がいて、自分は自分でスタイルを作って上手くなっていければいいなと思います。
私はもう少し飛距離も欲しいのですが、そんなに曲がらないので、ショットでついていくというか、周りが飛ばしていてもそこにつけていけばいい。日本のゴルフ場は狭いコースもあるので、曲げないことが大事だと思う。刻まなければいけないこともあるので、その精度を伸ばせば、飛ばし屋と変わらず戦えると思っています。でも、まだまだな部分もあるので全力でやっていかないと、と思っています」
永井は日本では14年の日本女子オープン歴代日本人アマ最高の3位に入るなどプロツアーでも活躍してきましたが、昨冬12月には米女子ツアー最終予選会にも挑戦。4日目139位で最終ラウンドに進めず、米ツアーの優先出場権も得られませんでしたが、高校卒業前の2月にはISPSハンダ女子豪州OPで米女子ツアーにもデビュー(47位)。米下部ツアーのシメトラツアーにも今季3試合出場。国内ツアーにも今季4試合出場するなど、多彩な武者修行を積み重ねてきました。
平成9年、6月16日生まれ。東京都出身。6歳からゴルフクラブを持ち、14年、15年と1つ下の勝みなみとはナショナルチームメンバー。16年1月には木戸愛らとともに本間ゴルフと製品使用契約を結び「チームホンマ」の仲間入りをしました。東京・大井町駅近くの人気ラーメン店「のりや食堂」の一人娘。通信制高校の日出高の先輩には山口百恵、菊池桃子、仲間由紀恵らの芸能人もいます。
プロテストにトップ合格したご褒美は、今週からのツアー残り14試合(3試合を除く)の出場権をもらえる特典です。ツアー戦線は年間全38試合(今季)で賞金ランキング50位までのシード入りを争う戦いです。それを3分の1ほどの14試合で取れるかどうか。
永井は「結構厳しいと思うんで自信はないです。普通のプロの人がシード取るのが難しいのに、自分が行って半分以下の試合で取ろうとするのがおかしいんです。取れたら凄いラッキーですね」と謙虚ですが、チャンスがないとはいえないでしょう。「早く活躍して、いままで私にかかっているお金を両親に返したい」と話す19歳の孝行娘。実際にはゴルフ人生はこれからがスタートです。アマチュア時代からプロを目指して一筋に歩んできた永井花奈。プロになってからの″伸びしろ〝はどこまで?
(了)