″日大王国”を取り戻した阿久津未来也(21)の快挙。「日本学生」5位からの大逆転劇!!

5位からの逆転劇で今年の「日本学生」王者に輝いた阿久津未来也(日大4年)=兵庫・鳴尾GC(写真提供:日本ゴルフ協会)
5位からの逆転劇で今年の「日本学生」王者に輝いた阿久津未来也(日大4年)=兵庫・鳴尾GC(写真提供:日本ゴルフ協会)

今年の日本学生(男子)の王座に就いたのは阿久津未来也(みきや、日大4年、21歳)でした。日本アマに続くアマチュアゴルフのビッグイベント「日本学生選手権」(8月23~26日、兵庫・鳴尾GC)。最終ラウンド、5位から出た阿久津は、この日のベストスコア66で回り、通算4アンダーで逆転初優勝。昨年の日本学生では初日からトップを走りながら、最終日土壇場でショットを乱して自滅。悔しい4位に終わったリベンジを見事に果たしました。11、12年には松山英樹(東北福祉大)がこの大会を連覇するなど倉本昌弘、丸山茂樹、片山晋呉、池田勇太、宮里優作らそうそうたる顔ぶれが足跡を残してプロの道へと歩んでいった歴史ある「日本学生」。「初めての日本タイトル。日本アマよりもとりたかったタイトル。嬉しい1勝です。自分もプロとして先輩たちの後に続いていきたい」と、新しいステージへの強い意欲を語った阿久津でした。
(女子は金沢志奈=中央学院大3年=が通算イーブンパーで初優勝)。

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平均飛距離260ヤードと、飛ばし屋ではないが、安定したショットには定評がある阿久津未来也のドライバー(兵庫・鳴尾GC)=提供:日本ゴルフ協会
平均飛距離260ヤードと、飛ばし屋ではないが、安定したショットには定評がある阿久津未来也のドライバー(兵庫・鳴尾GC)=提供:日本ゴルフ協会

かっては″日大王国”とうたわれた日本大学ゴルフ部も、東北福祉大や大阪学院大の台頭に押されてその後塵を拝することが多くなっていました。大学生のみで争う「日本学生選手権」も、日大が勝ったのは10年の大田和桂介以来6年ぶりの快挙。阿久津の大殊勲は大学挙げての慶事といってもいいでしょう。
栃木県出身。10年の関東ジュニアで優勝して以来、優勝にも縁のなかった阿久津が、一皮むけたように階段を登ったゴルフをするようになったのは、大学3年になった昨年からでした。安定したショットと「得意クラブ」(阿久津)というパットを駆使して、昨年は日本アマベスト16、朝日杯争奪日本学生選手権で4位と順位を上げてきました。日本学生(昨年)では、初日に66を出してトップ発進。最後の最後まで優勝争いに加わりましたが、土壇場18番でドライバーを曲げるダブルボギーをたたいて涙、涙の4位後退でした。

そして今年の日本学生。「日本学生での借りは、日本学生で返す」(阿久津)と、終始充実したゴルフを展開しました。2番(パー3)で8㍍をねじ込むバーディー先行。9番では120ヤードのセカンドをピンに絡ませました。前半で一つ伸ばした後半。11、12番のバーディーチャンスを確実にものにし、14番(パー5)では2.5㍍の″苦手のスライスライン”も決めて、優勝戦線に食い込みました。鳴尾コースの難関とされる大詰の17、18番もパーセーブ。通算4アンダーとして、最終組で逃げる佐藤太地(東北福祉大3年)を待ちました。その佐藤が17番でボギー。18番もまさかのボギーを連発して通算2アンダーまでダウン。先に上がっていた阿久津は2位伊藤有志(東北福祉大4年)に1打差をつけての大逆転劇をやってのけました。

★ビッグタイトルを3打差5位からの逆転でつかんだ阿久津未来也のコメント。

「佐藤選手(最終組)のプレーは全くわかりませんでした。気にしていませんでした。自分のプレーに集中してました。きょうは65を目標にしていましたが、それには届かなかったです。でも100%の力で頑張れたと思います。優勝の実感はまだありません。初めての全国タイトルは嬉しいし、この勝利は自分にとっては本当に大きい。先輩たちが名を連ねているその中の一人になれたことが素晴らしい。プロとして先輩たちのあとに続いていきたいですね」

日本アマを制した亀代順哉(大阪学院大4年=徳島県出身)。日本学生に勝った阿久津未来也(日大4年)。今年のアマチュア界を制した同年のニュースター2人。来季のプロへの華々しい旅立ちが待たれます。

★「日本学生」過去7年間の優勝者。

2010年 桜井勝之(明大2年)
11年 松山英樹(東北福祉大2年)
12年 松山英樹(東北福祉大3年)
13年 村山 駿(東北福祉大2年)
14年 小西奨太(大阪学院大)3年
15年 長谷川祥平(大阪学院大4年)
16年 阿久津未来也(日大4年)