女子プロゴルフは、男子ツアーより一足お先に38試合の長丁場を終えました。今季も、うち23試合で外国人選手が勝ち、外国勢の強さは圧倒的でした。賞金女王には5勝を挙げたイ・ボミ(28=韓国)が2年連続の栄冠。獲得賞金は1億7586万9764円で、来日6年目で4度の億超えビッグマネーを稼ぎました(通算20勝)。7人の新鋭が嬉しい初シード(賞金ランク50位まで)入りを果たしましたが、一方で13年の賞金女王、森田理香子(26)が、自身最終戦の大王製紙エリエールでも18回目の予選落ち。年間1078万円余(賞金69位)しかゲットできず、初めてシード権を失いました。13年には4勝して年間1億2667万余を稼ぎ出し、ニューヒロインと騒がれた森田理香子のシード落ちは衝撃でした。
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苦しみ抜いた森田のシーズンでした。開幕戦のダイキンオーキッドで1打足らずに予選落ちした今季のスタートが、その後の今シーズンを象徴していました。開幕2ヵ月の序盤戦から7試合で5回の予選落ち。さらに5月下旬には中京テレビ・ブリヂストン、ヨネックス、サントリーと3連続で予選カットされました。この間、アンダーパーの試合は一つもなく、自信さえ除々に失くしていきました。
飛ばし屋で話題を集めたその長打力もカゲをひそめ、グリーンを外したときのアプローチにも全くといっていいほど冴えを失くしました。今季出場した33試合でリカバリー率は50%で92位。グリーンを外したら半分はボギー以下という苦しさでした(トップのイ・ボミは72.8606%)。
自身最終戦となった大王製紙エリエールでは、一発優勝しか生き返るチャンスはなく、「もうカットラインも気にせず、バーディーだけを取りにいった。これまでは守りのゴルフばかりしていたから」(森田)という。その結果は69の好スコアが出たが、トップのテレサ・ルーとは14ストロークの大差をつけられて今季18度目の予選落ち。7年連続で保持してきたシードを失ったのでした。賞金女王になった13年には、開幕戦Vから6月までに3勝。
夏まで賞金レーストップをつっ走りました。後半戦やや調子を崩しいったんは横峯さくらに賞金トップを譲りましたが、大詰のエリエールで1打リードされた17番パー5で決めた15㍍の逆転イーグルパットは、LPGAアワード・メディア賞ベストショット部門を受賞する1打になりました。この劇的な1勝でマネークイーンを勝ち取りました。ところが14年に1勝はしたものの15年、16年と一転して未勝利。女王になって僅か3年目にシード落ち。まさに天国から地獄への転落でした。
あれほど強かった森田が、14年から手を返したように勝てなくなったのはどうしてでしょう。14年初めに年上の某スポーツトレーナーとの交際が取りざたされ、それ以降、勝ち星がピタリと止まったのがあらぬ噂を広めたりしました。グリーン周りで思うように手が動かなくなる″アプローチイップス〝に悩み続けたともいわれています。
ようやく今季終盤になっていいショットもいくつか出るようになったようですが、3年に渡るスランプは異常でした。09年から岡本綾子プロの門下生となりましたが、その師匠は「不調の時に考えなければならないことを、今年半年をかけて理解したようだ。立ち直りのきっかけをつかんだかも」と、弟子の復調に期待をかけています。
シード権を失った選手は、11月29日から始まるツアー最終予選会(QT)で上位に入ることが必要です。それをかなえれば来季ツアーへの出場につながります。「(エリエールで)忘れていた感覚を思い出してきた」と話す森田。まだ26歳の若さです。まず今週のQTで窮地を脱することができるかどうか。どん底から這い上がる理香子の意地を見守りましょう。