不調の新婚、テレサ・ルー(台)を蘇らせた″一発”!若林舞衣子に続きミセス初Vを生んだホール・イン・ワンの威力!

不振だった開幕戦線、ホール・イン・ワンで蘇ったテレサ・ルー(台湾)
不振だった開幕戦線、ホール・イン・ワンで蘇ったテレサ・ルー(台湾)

奇跡というのか、珍記録というべきか!またまた新婚のテレサ・ルー(29=台湾)が最終日、ホール・イン・ワンで4打差をひっくり返す大逆転劇。スタジオアリス女子OPで今季初優勝を飾りました。2週前のアクサレディスで、これも新婚の若林舞衣子(28)が最終日にホール・イン・ワンを出して結婚後初優勝したばかり。″4打差逆転”も同じという偶然の重なりは珍しく、最終日にエースを決めて優勝したのは、史上6人目、同じ年に出たのは初めての記録でした。テレサ・ルーは、昨年11月の大王製紙エリエール以来、通算13勝目。新婚の今季は低調な出足だっただけに「奇跡が起きた。信じられない」と、絶句。これで開幕6戦を終わった女子ツアーは、うち4試合は外国人選手の優勝で、海外勢強しの印象が強烈にー。

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若林舞衣子に続き、新婚Ⅴのテレサ・ルー。今季の活躍が期待される。
若林舞衣子に続き、新婚Ⅴのテレサ・ルー。今季の活躍が期待される。

4打差2位で最終日をスタートしたテレサ・ルーは、「まさか勝てるとは思ってなかった。(トップを走っていた)申ジエさんは2日間ノーボギーだったし・・。自分はたくさんバーディーをとれるようにと思っていただけ」と、自らの大逆転劇に驚きの表情です。″勝負事はゲタをはくまで分からない”とは、まさにこのことでしょう。昨年12月に台湾人の父と日本人の母を持つ武山孝人さん(34=会社役員)と入籍。1月に挙式したばかりの新婚ホヤホヤさん。3月、開幕戦のダイキンオーキッドの初日には、なんと「ショックでした」という「81」をたたき予選落ち。開幕から6戦目、まだトップ10にも入っていない不調のスタート戦線に「結婚して勝てないので、少し焦りもあった。今週は台湾に帰ってリラックスして気分転換しようと思っていたところ」と、苦しかった胸の内を明かしたテレサです。

2日間ノーボギーでトップを走った申ジエ(韓)。最終日75と崩れて2位タイに終わる。
2日間ノーボギーでトップを走った申ジエ(韓)。最終日75と崩れて2位タイに終わる。

何が不振のテレサを変えたのか。ゴルフはワンショットでガラリと展開が変わることがあります。新婚のテレサを蘇らせたのは、最終日スタート間もない3番(137ヤード、パー3)で起きた″奇跡”でした。8番アイアンでのショットは、ピンへ一直線。カップ手前に落ち、2バウンドしてストンとボールはカップに消えました。見通しもよく、ボールがカップインするところもしっかり見届けたテレサは、握手攻めで大騒ぎでした。これでテンションが一気に上がり、続く4、5番でも2㍍、4㍍のバーディーパットを連続で沈めて波に乗りました。アウト31。後半は「風が強くなって風向きとか読み間違えがあった」(テレサ)と、一つスコアを落としましたが、トータルで4つ伸ばす「68」。申ジエ、キム・ハヌルの韓国勢に3打差をつける通算11アンダーの逆転劇でした。

キム・ハヌル(韓)は最終日、70で追い上げたが、テレサ・ルー(台)のホールインワンには勝てず、2位タイにとどまる。
キム・ハヌル(韓)は最終日、70で追い上げたが、テレサ・ルー(台)のホールインワンには勝てず、2位タイにとどまる。

強いテレサが帰ってきました。昨季は賞金ランク6位でしたが、13年の3位から14年2位、15年2位と、賞金女王争いに加わる実力をつけてきました。アマチュア時代から注目を集めたテレサは、05年にアマチュアで渡米して腕を磨き、11月にはプロ転向。米ツアーライセンスも取得。以後4年間、連続シードを守って活躍しました(ベストフィニッシュは、08年ギン・オープンの3位タイ)。日本ツアーは、09年のQT(最終予選会)を通過して、10年は日米両ツアーかけもちで転戦。11年からは日本に腰を据えて戦い、13年11月には日本開催の米ツアー、ミズノクラシックを制して米ツアー1勝もマークしました。

日本ツアーでは日本女子オープン、LPGAツアー選手権リコー杯など国内メジャー2連勝(14年)。15年は日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯で3つ目のメジャータイトル。16年は開幕戦のダイキンオーキッドを連覇するなどシーズン3勝。台湾代表としてリオ五輪にも出場(16位タイ)する第一人者ぶり。10月初旬には婚約を発表。プライベートでも幸せいっぱいの「最高の1年」を送りました。ゴルフウエアも独創性のあるひときわ際立ったデザインや色彩のものを愛用するテレサは、芸術や歴史にも興味を示し、デッサンも得意で、台湾でのチャリティーコンペで出した油絵は、高額落札されたという″画伯”でもあります。

結婚して「考え方などの幅がまた広がった」とテレサ。主人の影響もあって新聞等も読むようになり「経済とか豊洲の問題とかも考えるようになった」とか。ゴルフだけでなく幅広い視野を持つ彼女は「ゴルフも相手の成績をみて勝負するというか、攻めるか、守るか、状況を見ながら考えるようになった」と、結婚を期にさらに多彩なゴルファーへと成長しているようです。

ホール・イン・ワンは日本ツアーでは初めてですが、米ツアーで2回、プライベートで1回あり、合わせると4回目の快挙とか。3月には若林舞衣子がやはり最終日にエースを出して5年ぶりでミセス初Vを果たしたばかり。新婚さんとエースとの因果関係は特に見当たりませんが、テレサは「結婚してから成績が悪くなるパターンが多いから、早く勝ちたいとプレッシャーになっていた。開幕戦で81も叩いたのもそう。今回も焦らないようにしてプレーに集中した」と、説明しています。
伴侶を得た精神面での充実に加え、いい意味での緊張感がこうした″奇跡”を生む要素なのかもしれません。優勝副賞に東京⇒パリ往復のビジネスクラスペア券が用意されていて「ちょうどよかった。新婚旅行はまだだから、それを使ってオフに」と、喜ぶテレサに今季はどんなシーズンが待っているのでしょうか。今季も6戦4勝と強い外国勢ですが、韓国の強者、申ジエ、キム・ハヌル(2位タイ)を抜き去った台湾パワーも見逃しにはできません。