池田勇太(31)の不思議な勝負強さ! 国内7戦2勝、残り11試合で何勝できる?

パワーアップした池田勇太のドライバーは、今季20ヤードも飛距離を伸ばし手ごわい武器に。(ANA=北海道・札幌GC輪厚)提供:JGTO
パワーアップした池田勇太のドライバーは、今季20ヤードも飛距離を伸ばし手ごわい武器に。(ANA=北海道・札幌GC輪厚)提供:JGTO

断然の勝負強さで勇太がまた勝ちました。3週前のRIZAP・KBCオーガスタに続いて今度は大好きな北海道(札幌GC輪厚)で3人プレーオフ。若手のホープ、今平周吾(24)、時松隆光(24)の挑戦を次々と切り捨てて、池田勇太は男でござるとばかりのカッコいいガッツポーズを決めました。ANAオープン、通算13アンダーでの優勝。今季は海外遠征が続き、国内ツアーは7戦目での2勝。賞金ランキングは6位に浮上。今季の残りは11戦ですが、史上6人目の2年連続賞金王に突っ走ります。プロ11年で通算18勝目。生涯獲得賞金は史上最年少で10億円を突破した池田勇太に、一躍脚光です!

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24歳の若手2人を相手に、3人POを制した31歳の池田勇太(ANAオープン=北海道札幌GC輪厚)提供:JGTO
24歳の若手2人を相手に、3人POを制した31歳の池田勇太(ANAオープン=北海道札幌GC輪厚)提供:JGTO

17番パー5のバーディーで奪った単独トップを守りきれず、18番でセカンドをグリーンオーバー。ボギーにして舞台はプレーオフへ。昨年大会も池田は、並んでいた首位を18番のボギーでブレンダン・ジョーンズ(豪)に明け渡し、1打差の2位に泣いた痛恨の思い出があります。
「でも今年、あの場面では、去年のことよりも、もうやるしかないという気持ちだった。自分のスポンサーにもなってくれている試合だからいろいろな思いがあった。そんなプレッシャーがプレーオフになったとたん、スッパリ抜けた。プレーオフの方が楽にプレーできた」と、勝負師・勇太の優勝コメント。

シャープなスイングで好打を放った時松隆光。PO1ホール目、2打目を50㌢につけてツアー2勝目かと思われたが・・。(ANA=札幌GC輪厚)提供:JGTO
シャープなスイングで好打を放った時松隆光。PO1ホール目、2打目を50㌢につけてツアー2勝目かと思われたが・・。(ANA=札幌GC輪厚)提供:JGTO

本来のキレが戻ったというプレーオフ。1ホール目。セカンドを先に打った時松がピン50㌢につけるスーパーショット。勇太は「やるなぁ。やってくれるなと思って、やり返そうと思った」と、90ヤードをSWで約60㌢にピタリとつけ返したのです。この場面でこのショットを放つ根性は、そうだれにでもできるワザではありません。今平は1ホール目、パーで脱落。勇太と時松はともにバーディーで2ホール目へ。今度は時松がグリーン奥のラフに外したのに対し、勇太はカップ下1㍍に必殺のショットを放ちます。きわどい橋を渡りながらもPO2ホール連続バーディーを奪って時松を下した勇太のゴルフ。何か不思議な力と勝負根性を感じさせます。

「自業自得ですね。自分で最後にボギーを打ってプレーオフに持ち込んでしまった。プレーオフ(18番の繰り返し)はもうバーディーしかないと思ってやったその結果が、2ホールともバーディーが取れたのは大きいね」と勇太。一瞬勝ったかと思えたスーパーショットを放ちながら敗れた時松は「勇太さんもきょうはそんなにいいプレーじゃなかったと思いますが、勝ち切られた。悪いなりに修正する力は僕より数段上でした」と、ハットオフ。勇太はさらに「流れが悪かったり、頭にきたりしても、何かをしようとか、変えたりは一切しない。頭にきたら怒ります。嬉しかったら笑います。無心になるというのも一つあるかもしれませんが・・。きょうは納得のいくゴルフができたのは、プレーオフの2ホールだけですね」と、″勇太節〝をひとくさり。

3期務めた選手会長を返上した昨年は、3勝しました。特に後半戦に入るとANA、東海クラシック、日本オープン、HEIWA・PGM選手権、ダンロップフェニックス、日本シリーズJT杯と大きな試合で2位を6回。平均パット数は1位をキープする安定したゴルフで初の賞金王に輝きました。ツアー2年目の09年に日本プロで初優勝。14年には日本オープンにも優勝。20代で両メジャーに勝っているのは、74年の尾崎将司以来40年ぶり6人目の快挙でした。 ツアー初年の09年から9年連続で毎年勝利を続けているのも勇太の勲章です。

今年は年頭から海外試合を増やし、前半戦で米ツアーなどを転戦しました。結果はあまりよくなく、マスターズ、全米オープン、全英オープン、全米プロの4つのメジャーもすべて予選落ち。12戦を行った海外試合で上位で争った試合は一つもありませんでした。

昨年来、海外を見据えた上半身の強化に力を入れてきた勇太は、体重も8㌔増とか。パワーアップした平均飛距離は「15から20ヤードアップした」(勇太)という。今年の海外転戦では苦戦しましたが、日頃のトレーニングの成果が徐々に表れているのでしょうか。8月から復帰した国内ツアーでは7試合で2勝の実績。残り試合は11戦。「残り全部とは言わないけど、毎週勝つつもりで頑張ります。(来年の)マスターズのこともあるので、世界ランキングも上げていきたい(50位以内が有資格)。去年の年末は確か33位だったから、それに近い数字まではもっていきたい」
日本の賞金王連覇と同時に、世界メジャー再挑戦へのあくなき意欲もちらつかせています。

米ツアーに去った松山英樹や石川遼。そのポッカリ空いた穴に苦しむ国内男子ツアーです。失地回復へ先陣を切る使命も負わされている池田勇太です。飛ばし屋の上、アイアンのキレ、パットの巧さ。さらにビッグゲームでは不思議な勝負強さをみせる男。波に乗った残り試合で、何をしでかしてくれるか。注目のハスラーです。

(了)