女子ゴルフの今季海外初メジャー「AIG全英女子オープン」(8月20日~23日スコットランド・ロイヤルトルーンGC)は予定通り開催されることが決まっていますが、
昨年の覇者、渋野日向子(21)に続く黄金世代の星・小祝さくら(22)が出場権がありながら辞退することになりました。初の海外メジャー体験は夢としながらも、新型コロナ禍により前後の試合を休まなくてはならないことを重くみて、涙を飲んで″国内優先〝を選んだ小祝です。昨年の賞金女王、鈴木愛(26)も熟慮のすえ、帰国後の自主隔離を嫌って全英女子出場を断念しました。全英女子を巡る悲喜こもごもを探ります。
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正確なショットを身上に小技にも磨きをかけてきた若手の星・小祝さくら。北海道″どさんこ〝らしく、メンタル面でもくよくよしないプロゴルフでは珍しい天然癒し系キャラの持ち主です。プロ4年目。昨年ツアー初優勝(サマンサタバサレディース)。2年連続全試合出場。賞金ランクは2年連続8位に入る黄金世代の代表格。ツアー1年目の18年からトップ10に13回。新人賞と敢闘賞を獲得する非凡なところをみせ、ツアー2年目で韓国の強豪、イ・ミニョンとのデッドヒートを制しての初優勝。激戦が予想される今季の女子ゴルフ界にあってピカリと光る存在です。
海外メジャーAIG全英女子オープンの出場資格である「日本ツアー賞金上位5人 (有資格者を除く)」に該当する出場権ゲットでしたが、さくらの悩みは出場権決定から始まりました。
「全英はゴルファーとしての夢であり目標の一つでもありました。海外のメジャーで戦えるのも初体験。大きなチャンスがきて、悩みましたが、国内で世話になっている試合を捨てるに忍びませんでした。特に北海道のニトリレディスは、私にはとても大切な大会。所属会社でホステスプロです。全英はあきらめざるを得ませんでした」とさくら。
全英女子オープンの前週には国内でNEC軽井沢72。全英女子の次週には、ニトリレディスが地元、北海道・小樽で開催されます。全英女子に行けばこの両試合の出場はムリとなります。日程的なことより、今年はコロナ禍で日本も英国もスポーツ選手に入出国に関して厳しい制限を課しており、この水際対策をクリアすべく余裕を持った入出国が求められるからです。
帰国後、ニトリレディスの2週後には国内メジャーの日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯(8月10~13日)も控えていて「場合によっては日本女子プロも厳しいかもしれない。その間練習もできないし過酷かと思う」と、熟慮の上での″国内優先〝だったようです。(現時点では帰国時に14日間の隔離措置が求められます)。
昨季賞金女王の鈴木愛(26)も全英女子に出るかどうかで迷っていましたが、出場を見送ることを決めました。鈴木は、海外の方がコロナの感染者が多いことに加えて、帰国後2週間の自主隔離で調整が難しいことを理由に挙げています。
ところで小祝があきらめたAIG全英女子
オープンは無観客で実施されますが、ディフェンディング・チャンピオンの渋野日向子は英国で前週のスコットランド女子オープン(スコットランド・ルネサンスC)に推薦出場し、2週続けて出場します。米ツアーが主戦場の畑岡奈紗、河本結。国内からは上田桃子、勝みなみ。また賞金ランク13位の稲見萌寧(もね=21)が辞退者により繰り上げで出場権をゲット。現在のところ日本からは6人が全英女子にエントリーしています。初の海外メジャー切符を手にした稲見は「初めての挑戦で楽しみ。日本の試合が3試合ほど出場できなくなるのは残念ですが、悔いが残らないように全英行きを決意しました」と前向きな姿勢。昨年のしぶこに続けとばかりに果敢にトライします。大会は新型コロナウイルス感染予防を徹底して開催され、期間中の選手の移動も指定ホテルとコース往復に限定される厳しい環境に置かれるようです。
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「AIG全英女子オープン」の名称が2020年大会から「AIG女子オープン」に変更されると報道されています。米保険大手のアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)は、2019~23年の5年間のタイトルスポンサー契約を2年間延長し2025年までとすると発表しています。
(了)