コロナ禍でゴルフ界も混乱する中、初めて観客を受け入れたシニアツアーが開幕しました。「ISPSハンダ・コロナに喝!!」(7月30~31日)が静岡・朝霧CCで幕をあけ、2日間競技で計862人のギャラリーがコースに足を運び、徹底した感染予防対策の中で無事大会が終了しました。試合はシニア6年目の柳沢伸祐(しんすけ=54)が、2日間ともベストスコア64、67の通算13アンダー。2位に3打差をつける圧勝でシニアツアー3勝目を挙げました。ISPS(国際スポーツ振興協会)半田晴久会長の肝いりで実現したシニアトーナメントは、開幕2戦目も「プロゴルファー誕生100周年記念・ISPSシニア」(8月21~23日=群馬・赤城GC)として有観客で開催されます。国内ツアーは女子が6月の開幕戦(アース・モンダミンカップ)に続き、8月のNEC軽井沢72も無観客開催の予定。男子はまだ再開時期が確定していません。
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富士山を西側から仰ぐ雄大な朝霧コース。初日は小雨と霧に悩ませる悪天候の中、323人の観客が集まりゴルフ人気の根強さをうかがわせました。何よりも新型コロナに対する感染予防策が重要で、コースも万全の態勢でした。入場口にはうがい用の次亜塩素酸水、体温測定用のサーモグラフィーの設置。ギャラリー全員にはフェースガード、マスク、ビニール手袋が無料で配布されました。小池百合子東京都知事と思われるお面をつけたスタッフ約30人が「3密を避けましょう」とばかりに会場内を巡回するきめの細かい演出まで施されました。2日目の最終日は539人の観客が駆けつけ、2日間で計862人。大会前には選手、スタッフら関係者約150人がPCR検査を行い、全員陰性で通過。大会を終わっても発熱や体調不良を訴える人はいなかったのにはPGA倉本昌弘会長も「ギャラリーの数もさほど多くならず、蜜になることもなく無事36ホール終えることができてよかった。今回やってみて、改善しなければならないことも見えてきたので、次の試合には半田(晴久)会長とも話して改善したい。選手たちは、久々で楽しかったという声も聞かれましたが、ただ″よかった〝ではすまされない。もっと安全にプレーできる環境を整えていかなくてはいけないと思います」と、ほっとしながらも有観客が決まっている今後2大会(プロゴルファー誕生100周年ISPSとマルハン太平洋クラブシニア)を見据える意気込みを示しました。
自らプレーにも参加した倉本会長自身は通算3アンダー21位タイ。優勝争いにも食い込めませんでしたが、何よりも会長としての試合開催に神経を使ったことで胸をなで下ろしました。優勝した柳沢伸祐は、初日64の爆発的スコアを出して飛び出し、2日目も6バーディー、1ボギーの67と伸ばす盤石の勝ちっぷり。埼玉・川口市出身。駿台学園高を経て1992年に7度目の挑戦でプロテスト合格。レギュラーツアー23年間では未勝利。2016年にシニア入りし17年「ISPSハンダ杯フィランスロピーシニア」で、シニア、レギュラー通じての初優勝。19年8月「広島シニア」で2勝目を挙げて以来、今回で3勝目。182㌢、85㌔の大柄な選手ですが得意クラブは「パター」。持病の腰痛も、今年は試合がなく自粛で練習量も減ったため「それがいいんじゃないですかね。
体重は5㌔太ったけど・・」ー。ゴルフの量は減っていたが、先週、加瀬秀樹、崎山武志、秋葉真一らと開催コースでミニ合宿をしたという。そのとき加瀬プロから聞いた「ボールの位置と膝の使い方」のアドバイスが即効的に効いて、今週好スコアにつながったとか。「大会を開催してくれると聞いて元気が出ました。今年は試合数が7~8試合に減ったので、賞金ランク1位になるチャンスですかね。開幕戦で優勝できて全米シニアオープンにも出られるかもしれませんね」ーコロナ禍の影響を受けて巡ってきた″幸運〝に苦笑が止まらない54歳です。シニアツアーも中止が続く中、2大会を新設したスポンサーの半田会長は「この試合が波及効果となって男女のツアーも本来の姿に戻ってくれればいいですがね」と、特別出費もいとわず前向きな姿勢をみせていました。
(了)