黄金・ミレニアム世代に立ちふさがる″25歳のお姉さん〝が、日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯のメジャータイトルを奪いました。ゴルフ王国・宮崎市出身の永峰咲希(ながみね・さき)。同じ宮崎出身の同期、柏原明日架の陰に隠れてジュニア時代から地味な存在だった咲希が、プロ入り7年目、18年のフジサンケイレディス以来のメジャー初優勝です。うれしい3年間の複数シードもゲットしました。小祝さくら、笹生(さそう)優花らフレッシュな若者連が席巻する女子ツアー。中堅の実力派がみせた意地のメジャーVで、コロナ禍に翻弄される女子ツアーに″喝〝が入りました。
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2打差の4位から出た永峰咲希の華麗る逆転劇でした。本場スコットランドを模した日本では数少ない瀬戸内海に面したリンクスコース。フェアウェイはうねり、たこつぼバンカー。ラフは無数のマウンドが点在して油断ができません。海沿いにはつきものの強い風が舞って、選手をイラつかせました。2年半前、ここも海沿いで難物の川奈・富士コースを制した永峰のしぶといゴルフが、静かに、しかし粘り強いショット、パットで驚かせました。1番でいきなり下りの7㍍を流し込み、5番では3㍍。最終日の難易度NO1の8番、パー3(180ヤード)は、5番ユーテリティーで強風に立ち向かい、ピン左2㍍につけてこれを仕留めました。「絶妙なところに落ちて、止まった。あれで行けるかなと思った」(咲希)と自画自賛したスーパーな1打。インにターンしても10番、11番と長いパットを沈める連続バーディー。単独トップの足場を固めました。最終日、11番までに5つのバーディーは強烈です。
優勝の二文字がちらついてきた終盤は、さすがに胸騒ぎを止められません。12番では50㌢のパーパットを外し、16番、パー3では13㍍からまたも3パットボギー。田辺ひかりらの2番手に1打差まで追い詰められましたが、前半の大きな貯金がモノをいいました。左サイドに湖が続く最終18番(パました。ー5)も手堅く3オン。3㍍のバーディーパットは入りませんでしたが、1打差を守りきる「69」はお見事でした。
優勝賞金はビッグな3600万円。副賞には、高級車ベンツや高性能の複写機等もついたメジャーらしいご褒美が用意され、僅か5試合で4444万円を稼いだ永峰は昨季は45位だった賞金ランクも3位にランクアップしています。さらに嬉しい3年間の複数年シードも手にする大きな花を咲かせました。アマチュア時代から柏原明日架、堀琴音らと同じ14年のプロテスト一発合格した″黄金〝世代でしたが、2勝するまでにかかった7年間で女子プロ界は大きく変わりました。黄金世代は1998年生まれの勝みなみ、渋野日向子、小祝さくら、原英莉花に畑岡奈紗、河本結らにとって代わられ、2000年生まれ(古江彩佳、安田祐香、吉田優利、西村優菜ら)のミレニアム世代から、いまや21世紀生まれの19歳、笹生優花、西郷真央ら新世紀世代へとまさに群雄割拠の時代になりました。
大きく変わった勢力図に25歳の永峰は「もう私たち、若手ではない。若手に押されてなかなか勝てないけれど、みんなそれなりに頑張っている。(私が勝って)またエンジンがかかると思います」と、精いっぱいの″お姉さんコメント〝を語っています。勢いのある若手とはまた違うテクニック秘める実力者たち。難コースの川奈やJFE瀬戸内海を制した咲希が、それを実証してくれました。
今季は中止が続いて残り試合は10試合ほど。しかしその中には日本女子オープン(福岡、ザ・クラシック)、TOTOジャパン・クラシック(茨城・太平洋クラブ美野里)、LPGAツアー選手権リコー杯(宮崎・宮崎CC)とメジャーが名を連ねています。若手に挑む中堅組への興味が高まってきました。
(了)