男子ゴルフツアーに開幕戦からハプニング発生です。15日に開幕した東建ホームメイトカップ(三重・東建多度CC名古屋)で2日目に新型コロナウイルス陽性者が発覚、第3ラウンドを全面中止にして会場を徹底消毒。最終日はなんとか18ホールを再開、3日間54ホール短縮競技となる異例の事態となりました。発症した選手は金庚泰(きむ・きょんて、34)=韓国=。初日は70で回って32位でしたが2日目朝、38.5度の発熱で桑名市内の病院で抗原検査を受け陽性と確認されたものです。大会は2日目単独トップに立っていたツアールーキーの金谷拓実(22)が、最終日も1アンダー、70回り、通算11アンダーで2位のアマ中島啓太(日体大3年)に1打差をつけて逃げ切りました。昨年10月のプロ転向以来2勝目。19年11月の三井住友VISA太平洋ではアマチュア優勝しており、ツアー通算では早くも3勝目。賞金ランキングも5589万5000万円で3位から一気にトップへ浮上しました。大会が54ホール競技となったため、規定により賞金は75%に減額(優勝は1950万円)となります。
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開幕早々、新型コロナウイルス発生で、大会会場には緊張感が漂いました。関係者からは帯同キャディーと仲間の朴銀信(韓国)が濃厚接触者とされ、朴銀信も2日目、13ホールを消化したところで棄権。初日に金庚泰と同組で回った時松隆光、香妻陣一朗は2日目ホールアウト後にPCR検査を受ける(陰性)大騒ぎとなりました。日本ゴルフツアー機構(JGTO)は18日に最終日を開催するかどうかの判断にも苦慮しました。すでに大会が成立する36ホールを実施しているため、賞金は50%減額で順位を確定、2日目単独トップに立っていた金谷拓実の優勝とすることも可能でした。しかし、濃厚接触者とされたキャディーと朴銀信のPCR検査結果がともに陰性で、体調も異常ないことも判明し、最終日の競技は午前7時30分開始で強行する決定を下しました。ただし残り36ホールは無理として、18ホールを行い計54ホール競技に短縮することとしました。10アンダーで単独トップに立っていた金谷拓実を1打差2位で追う木下稜介、2打差3位で迫る日体大・中島啓太(アマ)の展開。トップに立つ金谷は「どんな状況になっても、いつもと変わらない集中力でやる」と、異常事態のなかで複雑な心境を語っていました。
そんな中、1打のリードを背負った金谷はやはり強い。ただものではありませんでした。無観客でスタートを切った男子の2021年シーズン。東建多度コースは、晴れ間があるかと思えば雨もパラつき、春特有の強風がコースを吹き荒れる難しいコンデションでした。アウトでは1つ伸ばした金谷ですが、後半10番から2連続ボギー。アマの中島に1打差に迫られるピンチも踏みこたえました。大詰めの17番(パー5)では同組の木下と中島が強風にあおられそろって池ポチャ。このチャンスに1.5㍍のバーデイーパットを確実に決めて突き放します。最終18番(パー4)、粘る中島が10㍍余のロングパットを沈め1打差と迫りますが、動じません。ほぼ同じ10㍍を20センチに寄せてパーをキープ。1打差を守り抜きました。こ最終ホール、緊張の場面でも、金谷拓実のメンタルの強さが際立っていました。
「ピンチもあったけど、よく粘り抜いて勝てました。特に後半は風も出てきてショットが乱れた。バーディーチャンスも作れなかったけど、パーパットを決められたのが優勝に結びつきました。きょうは、みんな優勝したいと思ってやっている。その中でどれだけ強い気持ちを持って、冷静な判断をし、よりスマートにプレーできるかを意識してやっていました。先週は松山(英樹)さんに感動をいただき、もっと頑張らないとという思いにさせられた。日本の賞金王にもなりたいし、オリンピックにも選ばれたい。松山さんがルーキーイヤーに賞金王になったのも知っています。僕もこれからも1試合1試合を大切にして頑張ります。松山さんにも報告します」(金谷拓実)
さる9日には女子ツアーの「富士フィルム・スタジオアリス」では、テレビ中継スタッフのウイルス感染でスタート時間が6時間半遅れとなるトラブルがあったばかり。コロナウイルスの拡大はゴルフ界にも有形無形の影響を及ぼしています。多難なスタートとなった男子ゴルフ。どんな今シーズンになるのでしょうかー。
(了)