“長尺ドライバー”駆使も空し!石川遼、全米OP大差で予選落ち!  米ツアーは“長尺”&“ミニドライバー”流行の兆し!

全米OP日本予選ではトップ通過で出場権を得た石川遼。本戦ではいいところなく予選落ちした。

石川遼(29)、カットラインから7打差の予選落ち。五輪出場も絶望的!今度こそと期待を集めた遼クン、またも米ツアーで惨敗です。今春ハワイ、フロリダ、カリフォルニアと3戦トライした米ツアーはすべて予選落ちの悲哀を味わうことになりました。海外メジャーの最高峰「全米オープン」(米カリフォルニア州トーリーパインズGC)に、日本地区予選をトップ通過して出場権を得た石川遼でしたが、本戦では初日77で129位、2日目もバーデイーなしの76で通算11オーバー、134位の大敗。今、米ツアーで流行の47インチ級の“長尺ドライバー”を投入しての挑戦も、難度の高い全米オープンの壁を突破することはできませんでした。再び脚光を浴びる“長尺クラブ”とは、どういうものなのでしょうか?

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米ツアーで流行の「長尺ドライバー」を採用した石川遼。距離のある全米OPのコース攻略を図ったのだが・・。

米国西海岸、サンディエゴ郊外。太平洋に面した断崖にそって展開するトーリー・パインズ。毎年、1月には米ツアーのファーマーズ・インシュアランスOPが行われるコースですが、メジャーの全米オープン仕様になれば「普通のツアーとは全くといっていいほど違うコースにセッティングされる」(石川遼)という。「これまで3、4回はプレーしていて好きなコースの一つですが・・」と話していた遼クン。その言葉通り、フタを開けたトーリーパインズは一筋縄ではいかない高い難度でした。初日は10番からのスタートで、いきなり3連続ボギーの洗礼。初盤から波に乗れませんでした。18番(パー5)でようやく初バーデイーがきましたが、後半のアウトに入って1番でダブルボギー。そのあともボギーが重なって39。通算6オーバーの初日でした。
石川はこのところ従来より2インチ前後長い47.5インチ(あるいは47インチ)の“長尺1W”をバッグに入れています。5月下旬の全米プロで50歳11ヵ月フィル・ミケルソン(米国)が、7876ヤード、パー72のキアワアイランド・リゾートの長いコースを征服するため“飛ばす、長尺ドライバー”と、“置きにいく、ミニドライバー”の2種類の1Wを使い分け、見事に優勝を勝ち取って話題でした。遼クンがこのミケルソンにならったのかどうかは分かりませんが、最近“長尺ドライバー”を使い始めたのです。トーリー・パインズも7705ヤード、パー71と距離があります。飛距離を求めて石川が切り替えたクラブセッティング。結果として石川が残したデータでは、フェアウェイキープ率は28.57%と悪く、飛んでもフェアウェイを外すのでは、“長尺ドライバー” の効果には「?」が残りました。石川自身「いいティーショットは打てたのに、セカンド以降がへたくそだった」ともらしたそうですが、得意とするショートゲームにもミスを連発しており、初日は2バーディ、6ボギー、1ダブルボギーの77。2日目も1番でボギー発進と苦しみ、バーディーなしの76で“終戦”。飛ぶクラブでも、2打目以降につながらなければ意味がないことを証明しました。

今春、ハワイ、フロリダそしてカリフォルニアと、米ツアー3試合に挑戦した石川遼。3戦とも予選落ちの悲哀を味わった。国内では頑張れるのだが・・。(茨城・宍戸ヒルズのツアー選手権で)

「悔しいですね。ミスが多すぎた。アイアンも全米を目指してやってきたことが出せなかった」と悔し涙にくれた遼クン。2日間全くいいところなくカットラインの4オーバーに7打も足りない11オーバーでの予選落ち。日本予選通過から約3週間、6度目の全米OP目指して調整を重ねた努力が実らず、肩を落とすばかりでした。これで遼の東京五輪代表は絶望。松山英樹、星野陸也の2選手が日本代表になる見通しです。

ところで、最近米ツアーのプロたちが採用するドライバーが話題です。全米プロでミケルソンが使用した47.5インチの“長尺ドライバー”。いずれにせよルール上限である「48インチ」に迫る長さなのだ。キャロウエイの最新モデル「EPIC SPEED」のプロトタイプとされるが、長いシャフトでヘッドスピードを上げ、ロフト角を立ててスピン量を減らす飛ばしのスペックを秘めています。この“長尺”と並行して人気上昇しているのが“ミニドライバー”といわれる「置きにいける1W」です。通常のドライバーに比べてヘッド自体は275CCと小さく、ロフト角も11.5度でシャフトも短い。超低重心設計で吹きあがりにくく、ボールは曲がりにくい安定感のあるクラブです。ひと時代前まではよく使われた2番ウッド(ブラッシー)に相当しますが、ブラッシーほど難しいクラブのイメージはありません。ドライバーで飛ばして、さらに距離を求められるホールではこのミニドライバーに働かせる。狭いホールのティーショットでも活躍してくれる。クラブの著しい進化によって脚光を浴びてきたニュークラブです。ミケルソンが使用しているといわれるテーラーメイドの「オリジナル ワン」はこの代表的なミニドライバー。飛ばし屋のデシャンボーや多くのPGAツアープレーヤーたちも、この種の“置きにいけるドライバー”も使い始めているという。
コースが長くなってきた昨今のゴルフでは、格好の新モデルといっていいでしょう。

 

20年には日本ゴルフツアー機構(JGTO)の副会長。さらに選手会の副会長も務める要職についた石川遼。

さて、石川遼が今回の全米OPで新たに使用した“長尺ドライバー”も、時代の流れを敏感にとらえたものといえます。今回は好結果にはつながりませんでしたが、こうした遼クンの挑戦は、花咲く日はきっとくるでしょう。米ツアー情報を収集するネットワークを持つ石川ならではの行動。なんでもやってみようというその柔軟な進取の精神やよし、としましょう。

(了)