52歳にして花咲かせたシニア賞金王・シノさんは“プレーオフの鬼”!、女王・稲見萠寧プロたちとは練習仲間!

昨年のシニア賞金王・寺西明(右)から握手を求められる初賞金王の篠崎紀夫(左)=鹿児島・いぶすきGC<提供:日本プロゴルフ協会>

今年のシニアツアー賞金王は篠崎紀夫(52)がうれしい初栄冠です! 50歳以上のシニアツアー、全16試合が11月27日いわさき白露シニア(鹿児島・いぶすきGC)で閉幕。最終戦は5位タイに終わりましたが(優勝は鈴木亨)、賞金王に輝いた篠崎は今季3勝。シニアツアー3年目で通算4勝。うち2試合がプレーオフ勝ちという勝負強いゴルフが売りものです。レギュラーツアーでは07年のANAオープンをこれもプレーオフで制した1勝のみ。全5勝で3勝がPO勝ちというまさに“プレーオフの鬼”です。昨今シニアツアーの勢力分布もサマ変わりです。獲得賞金は3408万1521円でした。

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レギュラーツアー1勝(07年ANA)の篠崎は、シニア入りしてもほとんど“無名”の選手でした。千葉県出身。千葉経済高時代はサッカー部、卒業後北谷津ゴルフガーデン(練習場)に入り、ほぼ独学でゴルフを覚え4年後にプロテストに合格した地味な男です。07年のANAオープンでC・プラポール、今野康晴との5ホールにおよぶプレーオフを制し、プロ16年目で初優勝。レギュラー時代は結局この1勝だけに終わりました。

ショットのキレを武器とする篠崎紀夫のスイング(いわさき白露シニア)

19年10月にシニアの資格を得て20年からシニアツアーに本格参戦。ツアー予選会を1位で通過して出場権をとると、20年8月、太平洋御殿場の難コースで行われた「マルハンカップ太平洋クラブシニア」。最終日、3打差2位から出て67。通算9アンダーで並んだ塚田好宣をプレーオフで下してシニア初優勝。この年、最終戦まで寺西明と賞金王を争いましたが、惜しくも敗れて賞金ランク2位。飛躍の年になりました。
明けて今季21年。開幕2戦目の「ノジマチャンピオンカップ・箱根シニア」(箱根CC)でまたプレーオフ勝ちです。3打差6位から出て66で回り、通算10アンダーとして伊澤利光、宮瀬博文との3人プレーオフを勝ち取りました。

シニア賞金レースで篠崎紀夫を追撃したが及ばず、賞金ランク2位となったシニアルーキー細川和彦。

レギュラー時代の「ANA」から、シニア入りして20年の「マルハンカップ太平洋」、そして21年開幕2戦目の「ノジマ・箱根シニア」と、3勝はすべてプレーオフ勝ち。「全部プレーオフとは怖いですね」と、勝負強すぎる?自分に苦笑した篠崎でした。最終日後半の猛追でPOに食い込むパターンも同じ。その勝負師ぶりは特筆ものです。いまやシニアツアーの“主役”にのし上がった感があります。

今季10月の「ISPSハンダ グレートに楽しく面白いシニア」では、最終日首位と1打差3位から出てまた64の猛追。プレーオフを飛び越えて逆転優勝。今度は52歳の誕生日Vというドラマをやってのけました。翌週の「福岡シニア」もシニアルーキーの細川和彦に競り勝って逃げ切り、2週連続優勝。「最終日にトップで出た経験がなかったので緊張しましたね」といいながら、17番の大詰めで勝負の4㍍のバーディーパットを決める“強さ”。初の賞金王はこの2週連続優勝が決め手となりました。

最終戦「いわさき白露」では2打差の5位にとどまりましたが、追ってきた細川和彦を896万円差で振り切った賞金王。ショットのキレを持ち味にするプロですが、50歳を過ぎて花を咲かせたいぶし銀のゴルファーです。

 

シニアツアー最終戦「いわさき白露シニア」を制した鈴木亨(いわさき白露シニア)

長年務める千葉・北谷津ゴルフガーデンは賞金女王・稲見萠寧も小学生のころから通っていたという練習場。師弟関係ではないそうですが、今年は2人そろって最高のタイトルホルダーを送り出しました。JR千葉駅近くにできたジムでは、稲見萠寧はじめ吉田優利らの女子プロたちとも練習仲間で、体のコンディショニングやトレーニングをサポートしてもらっている貴重な“道場”だという。

「去年と違って今年は楽しくゴルフができた。来年は、技はそんなに変わるものではないので、やはりムリ、ムダ、ムラをなくして一つ上を目指したい」と、シニア界の“ニューヒーロー”シノさんは、あくまでも地に足をつけたコメントを出しています。

(了)