また一人、23歳のラッキーボーイが誕生です!先週行われた日本男子ツアーの開幕戦、アジア・ツアーと共催の「SMBCシンガポール・オープン」(セントーサGCセラポンコース)で10アンダー2位タイに入った桂川有人(ゆうと)=日大出=。上位4人に与えられる全英オープン(7月、英国・セント・アンドリュース)出場権を獲得したのです。今季の開幕戦は、新型コロナウイルスの影響で出場を予定していた日本ツアー18選手がピザ発給を受けられず欠場。その不平等をなくすため国内ツアーへの賞金加算対象外に変更されました。しかし世界ランクへの加算と全英OPへの出場権付与は例年通り行われ、桂川は“夢舞台への切符”を手にしました。(大会優勝=サドム・ケーオカンジャナ(23、タイ)。
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夢の舞台は、今年7月14日~17日、スコットランドの「セント・アンドリュース」で第150回大会が開催されます。聖地セント・アンドリュースでは30回目の大会となります。
「ゴルファーなら、一度は行ってみたい場所。自分が行けるなんて、なにか不思議な感じ。でも幸せです。ゴルフ人生の思い出になる。こんなに早くメジャーに出場できるとは思ってもいなかった。予選を通過して少しでも上位にいきたいし、日本でも優勝争いをしたい」と、感慨深く語る桂川です。
桂川有人。ほとんど“無名”のゴルファーです。国内レギュラーツアー未勝利。1998年10月9日、愛知県生まれの23歳。金谷拓実や渋野日向子らと同年で「黄金世代」ゴルファーの一人です。4歳からクラブを握っていたという桂川は通信制の豊田高校に入学。勉学はインターネットで行い、3年間は存分にコースでも練習ができる環境のフィリッピン・マニラ近郊に拠点を置き、“比国の英雄”フランキー・ミノザらとも交流。ゴルフの腕を磨いたという変わり種。帰国して日大へ進学。2018年(日大2年)には日本学生選手権に優勝。同年10月、日本オープン2日目に単独トップに立って脚光を受けました(最終33位タイ)。19、20年にはナショナルチームのメンバーにも選ばれ国際舞台でも活躍「ネイバーズトロフィー」では団体、個人の2冠を手にしています。同学年の金谷拓実(当時東北福祉大)からは「彼は何をやっても巧い。いいライバル」とお互い刺激を与え合う関係だったという。20年にはプロ転向。QT9位で昨年下部ツアーの「石川遼エブリワン・プロジェクト・チャレンジ」で3日間ボギーなしでプロ初優勝。この優勝で出場資格を得た21年11月の「カシオワールド・オープン」は10アンダーで17位タイでした。21年シーズンは、下部ツアー(ABEMA TVツアー)賞金ランク3位。レギュラーツアー出場8試合で賞金ランク87位。
大きな実績はないものの、ジュニア時代から長い下済み生活を続けた苦労人でもある桂川。22年の日本ツアー開幕戦、シンガポールでは30人が出場した日本勢最上位の2位に入っても不思議ではないキャリアーを積んできた男です。。最終日は4打差の4位から出て3バーディー、ボギーなしの68と3つ伸ばし、優勝には3打及ばなかったものの、堂々の2位といえるでしょう。
これからの課題は「飛距離アップともっとショートゲームの精度を上げること」といっていますが、チャンスをつかんだ“聖地”での世界メジャーではどんな経験を積んでくるでしょうか。今季は国内レギュラーツアーでも“隠れホープ”として注目したい選手です。
(了)