ISPS・半田晴久会長(70)が1年がかりで実現にこぎつけた欧州ツアー(現DPワールドツアー)との初共催試合も、コロナ・オミクロン禍には勝てませんでした。「ISPSハンダ 欧州・日本どっちが勝つかトーメント」と銘打って、今年国内開幕第3戦として4月21~24日茨城・石岡GCで行うはずだった注目のツアー。開催2ヵ月前の2月21日、東京・京王プラザホテルで青木功JGTO会長も同席して緊急会見「非常に残念ながら“1年延期”」(半田会長)を発表しました。穴のあいたこの週には、代わって日本単独開催、大会名「ISPSハンダ 欧州・日本、とりあえず今年は日本トーナメント!」を同じ石岡GCで行うと発表しました。さらにISPSは、日本戦が延期となった欧州ツアーに同日程で「ISPS HANDA」を冠にした「スペイン選手権」など2大会の開催を了承。「スペイン」には日本ツアーから5人の推薦出場枠(賞金ランク上位から)が設けられることも明かにしました。変動がありながら、ゴルフ界との関連を緩めないISPS(国際スポーツ振興協会)の動向は注目です。
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超・超長い大会名には目を見張ります。日欧共催で決まっていた試合も「ISPS HANDA 欧州・日本どっちが勝つかトーナメント」でしたが、代替えの日本単独開催の新大会は「ISPS HANDA 欧州・日本、とりあえず今年は日本トーナメント!」です。日本ではなじまない超長い大会名ですが、半田晴久会長曰く「日本では短くゴロのいい名前をつけますが、例えば米国などでは映画の題名にしても内容とはかけ離れても、分かりやすく人目をひくタイトルをつけるのはザラです。それにならったのです」とか。たしかに読めば分かる大会名です。
それはともかく、半田会長が“1年がかり”で交渉を続けた欧州ツアーを初めて日本に呼ぼうとした大会は、コロナ・オミクロン禍で暗礁に乗り上げました。日本大会の前週と次週に予定されていた中国とシンガポールでの大会(欧州・アジアツアー)が中止となり、これが日本のゴルフ界も直撃しました。欧州の選手は、3試合続くアジアシリーズがあってアジア遠征がしやすかったのですが、日本1試合になりしかも日本では最低3日間の隔離期間を必要とされます。このウイルス感染予防対策事情を踏まえ、急きょ日欧双方の判断で1年延期・2023年開催の決定がなされました。
日・欧大会延期したことにより、ぽっかり空いた週には日本ツアー単独開催の「ISPS
HANDA 欧州・日本、とりあえず今年は日本トーナメント!」を同じ4月21~24日・
石岡GCで開催すると発表されました。賞金総額こそ200万米ドル(約2億2924万円)から総額1億円に減額されましたが、“空いた穴”を選手のためにもと日本ツアーの新規大会で埋められたのは、半田会長らしい配慮。なんとか恰好がついたということでしょう。
「ギリギリまで開催しようと努力したが、前後の週に予定されていた中国とシンガポールの試合ができなといってきた。これが決定打になった。日本政府からは海外選手には3日間の隔離が必要との通達もあった。日本には来たがる選手は多いのですが、いかんせんオミクロンの感染力が速く強力でした。決して中止とかキャンセルではありません。来年は必ずやろということです。東京五輪と同じで1年延期になったと思ってください。いま日本は女子ツアーに人気がありますが、男子ツアーがしっかりしないとゴルフ界はダメになります」(半田晴久会長)
ゴルフ界に尽力を惜しまない半田会長ですが、欧州ツアーへの強い意気込みも失せていません。また日本での新規大会2週間前の4月6~8日に「ISPS HANDA・ヨーロッパへの道トーナメント」と名付けた予選会も設定されました(茨城・ロックヒルGC)。昨年のサードQTで敗退した選手を対象に上位2人に本戦(「欧州・日本とりあえず今年は日本トーナメント」)への主催者推薦。次の上位15人までには9月の下部ツアー「ISPS HANDA ヒーローになれ!チャレンジトーナメント」(中伊豆GC)への推薦出場が与えられます。
青木功JGTO会長も、“曇り”のちほっと一息です「JGTOも初めての欧州ツアーとの共催を楽しみにしていましたが、やむを得ずの延期で仕方ない。来年は万全の態勢で最高のトーナメントにしたい。空いた週に日本ツアーの試合を新設していただき、半田会長には感謝にたえません。この試合も大いに盛り上げたいと思っています」と深々頭を下げていました。日本だけでなく欧州、豪州等、ワールドワイドでゴルフイベントを展開するISPSです。来シーズンこそ感染症には縁のないスポーツ界が戻ってほしいものです。
(了)