★22歳の超300ヤード・ヒッター河本力(りき)、プロ1年目7試合で逆転初優勝!低迷男子ツアーに強烈な“喝”

河本力

プロ1年目、22歳・河本力(かわもと・りき)、ツアー7戦目で逆転初優勝。舞台は「Sansan・KBCオーガスタ」(福岡・芥屋GC)。韓国のベテラン30歳のイ・サンヒと通算15アンダーで並んだ最終日最終18番(パー5)。イが6㍍のバーディーパットを外したあと、緊張感漂う中で河本は3.5㍍のウィニング・バーディーパットをカップ左側からきわどく流し込みました。一瞬、天を仰ぎ右拳を突き上げてガッツポーズ。グリーンサイドにいた日体大の同期、石川遼の弟・航(わたる)と抱き合い、大粒の涙があふれました。飛距離320ヤード超を持ち、今季のドライバー平均323.75ヤード。2位を20ヤード以上も引き離している“怪物ルーキー”。その長打力に頼りすぎて優勝を逃がしたことも何回か。「ビッグドライブに溺れず、きょうはゴルフと向き合う気持ちを持てた」と、飛ばすだけがゴルフではない難しさを示した貴重な勝利でもありました。低迷の続く国内男子ツアーに大きな“喝”を入れることができますか、どうかー。姉の女子プロ結(ゆい=24)との「姉弟V」をかみしめました。

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2日目から首位を守ってきたイ・サンヒ。最終日、1打差の2位から出た河本と熾烈な首位争いを演じました。4、5番で連続ボギーををたたき一時は後退した河本。6番に続き9番と続いた得意のパー5では相次いでバウンスバックのバーディー。ここで単独トップを奪って勢いをつけました。しぶとく追いついてくるイ・サンヒを最終18番でついに突き放した強さは、河本の成長そのものでした。
320ヤードを超える河本のロングドライブは、強引な攻めとなって、自ら足を引っ張るブレーキともなっていました。アマチュアとして出場した昨年9月の「パナソニック・オープン」は、3日目日体大の1年後輩、世界アマ・ランク2年連続1位の中島啓太とともに1打差の2位にいながら、最終日78を叩いて20位。中島啓太に優勝をさらわれました。今年7月の下部ツアー、「南秋田CCみちのく・チャレンジ」でも首位タイで迎えた最終日、75と崩れて涙をのんだ苦い経験がありました。

「考え方ひとつでゴルフは変わる。どうすればリスクが少なくなるか。その日の自分の調子はどうなのかー。どこでもバーディーをとろうとするのではなく、切り替えができるようになった」ー22歳になった河本のゴルフは、一味厚みを増して変貌していったのです。最終日最終組で回ったのはプロになってからは初めてだった。「こんな苦しいものとは知らなかった」と、もらしたその“苦しさ”こそ、力(りき)の成長の証しといえるでしょう。

試打では「緊張するな!」と言いながら、80㍍超秒のボールスピードを出して驚かせた河本力

愛媛県松山市出身。松山聖陵高時代は野球部に混じったトレーニングで鍛え抜き、両肩の可動域が広がったという。「大学時代は練習場、コースの往復で本当によく練習していました。彼のその努力が実ったのです。私の誕生日(8月29日)に合わせたタイミングもすごい。うれしいですね」(姉・結プロ)。
結プロが19年の「アクサレディス」で初優勝したとき、キャディーを務めてくれたのも力(りき)クンでした。その弟のプロ初優勝は、北海道・小樽での「ニトリレディス」を30位で終えた後、移動中の空港でスマホで最終18番のバーディーパットだけを見届けたという。

日体大3年の20年の「日本オープン」で5位に入りローアマ。昨21年10月、下部ツアー「TIチャレンジin東条の森」で4人目のアマチュア優勝したあと12月にプロ転向。今年からはキャロウェイゴルフ(本社・東京)と総合用具契約。新製品発表の会場で試打したドライバー(AI設計の“ローグST”)で秒速83.7㍍のボールスピードを示し、300ヤード超の飛距離を連発してみせました。そうはいっても“飛ばすこと”は、ゴルフの魅力であり強さです。その才能を秘めている河本力のキャパシティーはすばらしい。新しい時代の、新しいゴルファーの出現です。

(了)