★新年初戦「豪州女子アマ」は1打差2位の惜敗。17歳・馬場咲希(さき)、今季は海外メジャー4戦は「全部出ます!」

 

新年初戦の「豪州女子アマ」で1打差2位と惜敗した馬場咲希。海外メジャー4大会にも挑戦するという今季も、目を離せない(シドニー近郊・ニューサウスウェールズGC)=写真提供:JGA

昨夏「全米女子アマ選手権」を日本人37年ぶり2人目の優勝で“時の人”となった馬場咲希(さき、17=東京・代々木高2年)が、今年はオーストラリアで始動しました。シドニー近郊での「豪州女子アマ選手権」。最終日、橋本美月(東北福祉大2年)と日本人同士の優勝争いとなり、馬場は1打差2位で惜敗。「悔しいけど優勝争いは楽しかった」と、笑顔の2023年の幕開けでした。今年の馬場は、昨夏の快挙で出場権を得たシェブロン選手権(4月、米テキサス州)、全米女子オープン(7月、米カリフォルニア州ぺブル・ビーチGL)とエビアン選手権(7月、フランス)、AIG全英女子オープン(8月、英国)のメジャー4大会への挑戦を宣言。国内では18歳になる今年(2005年4月25日生まれ)、秋にはプロテスト受験も控えます。175㌢の長身から繰り出すロングショットを武器に、2023年の咲希はどこまで飛躍するのか。注目を一身に浴びるゴルファーといえそうです。

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22年8月「全米女子アマ選手権」を制覇し、ガッツポーズする馬場咲希。今季のさらなる飛躍に期待がかかる。

4日間大会の「豪州女子アマ」。最終日、首位と4打差3位から出た馬場は、16番(パー5)のバーディーで首位の橋本美月に追いつきトップタイへ。逆転Vへの期待をもたせましたが、最終18番でOBを出すハプニング。なんとかボギーで収めましたが、パーの橋本美月に1打及ばず痛恨の2位フィニッシュでした。「悔しかったけど、OBを打っても諦めずに、ダボにしないようにボギーにとどめられたのはよかったです」と咲希。泣き笑いの2023年の幕開けでしたが、オフは多忙でボールを打つ練習時間は少なく、もっぱら“身体づくり”で過ごしたという。
「この試合、こんな上位で争えるとは思ってもいなかった」(馬場)というが、最終日は7バーディー、3ボギーの「70」(パー74=通算10アンダー)で、4つスコアを伸ばしたあたりはさすがです。
オーストラリアを訪ねたのも初めて。南半球の強烈な夏の陽射しには驚いたそうですが、「外国の選手と回ったりする国際試合はすごく楽しい」と、そこは17歳の高校生らしい初々しさでした。昨秋にJGAのナショナルチームのメンバーとなり、JGAのガレス・ジョーンズ・コーチの指導を受けていますが、このオフからは、グリーン上で手のひらと指を広げて差しだし、傾斜を足裏と身体で感じてラインを読む米ツアーでも流行りの「エイム・ポイント(Aimpoint)」の習得に励んでいるという。豪州での大会では初めて実戦で導入したところ「すごくいい。それをやったらパットが入りだした」(馬場)とうれしい収穫もあったようです。

22年度のGTPA特別賞を受賞した馬場咲希(22年12月 東京都内で)

「今年はメジャー4試合に出るのが楽しみ。こんな経験ができるのは大変なことだろうと思う。しっかりと準備をしてのぞみたいです」ーいまからワクワク状態の馬場に、さらに大きな楽しみがあります。全米女子アマ優勝で出場権を得た「オーガスタ・ナショナル女子アマ選手権」です。男子ツアーの「マスターズ」で有名な「オーガスタ・ナショナルGC」でのプレー。女子がこのコースで試合ができるのは夢のような話ですが、近郊のコースで予選ラウンドを行ったのちに決勝だけが「オーガスタ・ナショナルGC」で実施されるこの大会。「予選を通らないとオーガスタではプレーできないので、なんとしても予選を通過したい」と、いまから力が入る咲希さんです。

ひとつ気がかりなのは、2連覇がかかっている「全米女子アマチュア選手権」への出場。昨年もそうでしたが、今季も「全米女子アマ」と「AIG全英女子オープン」との日程が重複する可能性が強いのです。今季はメジャーの方を優先させたいという咲希。米英間の移動も考えれば「全米女子アマ」への出場は不可能となる見通しが強そう。

「豪州女子アマ」で馬場咲希を1打差で抑えて優勝した橋本美月(東北福祉大2年)。21年の「アジア女子アマ」に続く海外タイトルだった(シドニー近郊ニューサウスウェールGC=提供:JGA)

馬場咲希が初めて出場した海外試合は、昨年(22年)6月の「全米女子オープン」(パイン・ニードルズGC=ノースカロライナ州)。日本人アマチュアとして8年ぶりに予選を突破し、最終的には49位でのフィニッシュでした。その2ヵ月後、日本人37年ぶりの「全米女子アマ」を制して“時の人”となったのですが、それから1年も経っていない今年。馬場咲希は世界4大メジャーにエントリーできる人気プレーヤーにのし上がりました。
さて、その今季はゴルフ界にどんな新しい歴史を刻んでくれるのでしょうか。シーズン終末の11月には国内女子最終プロテストが待っています。「女子プロテストには通らないとプロとしては何もできないから、やっぱりパスしておかないと」と、自覚している馬場です。この秋には“18歳・女子高3年生プロ”が誕生するのでしょうか。満々の未知数を秘めたスーパーアマ「馬場咲希」から、目を離せません!

(了)