★悲願の永久シード権「30勝」と「年間女王」へ!復調なった申ジエ(34)の“強さ”は健在!

両肘手術から立ち直り、1年8ヵ月ぶりの通算27勝目を挙げた申ジエ。右拳を突き上げて喜びを表した。(沖縄・琉球GC)

23年国内女子ツアーの幕開けです!恒例の開幕戦「ダイキン・オーキッド・レディース」(沖縄・琉球GC)を制したのは、両肘の手術を乗り越えた元世界ランク1位の申ジエ(韓国、34)でした。ツアーの実力者・上田桃子(36)、稲見萠寧(23)藤田さいき(37)らが追い上げをみせましたが及ばず、トータル10アンダーで逃げ切る貫禄の勝利でした。21年7月の「大東建託いい部屋ネットレディス」以来約1年8ヵ月ぶりのV。国内ツアー27勝目で永久シード選手(通算30勝)へあと3勝と迫りました。国内外含めると通算63勝目の快挙です。若手躍進の女子ゴルフ界にあって、世界を制してきたベテランのいぶし銀のゴルフが光りました。

 

 

☆★      ☆★      ☆★

永久シードの「30勝」へ、あと3勝とした申ジエ。

「申智愛」ー日本女子プロゴルフ協会での登録名は「申ジエ」。韓・米両ツアーの賞金女王を経験し、2010年には世界ランキング1位にも君臨しました。2014年から日本ツアーを主戦場にして、以来毎年勝利を重ねましたが、近年は肘の痛みを抱え、昨年の「ダイキン・オーキッド」ではプレー中も肘の痛みに耐えきれず50位に沈みました。トレーナーの勧めもあって試合後両肘の手術に踏み切り、戦列離脱。約2ヵ月後にはツアーに復帰し、何度か優勝争いにも加わる不死身の強さをみせましたが、台頭してくる若手パワーに屈してついに昨年は未勝利。連続年優勝は8年で途絶えました。

「肘の中にできていた異物を取り除いた」とのことですが、このオフは「(台頭してくる)若手選手に負けないように」と、厳しいトレーニングと練習を自ら課し、春にはオフ恒例の豪州メルボルン合宿を順調にこなして2月の豪ツアー「VICオープン」で優勝。痛みの消えた万全の状態で国内ツアーの開幕戦に弾みをつけたのでした。

最終日、一時はトップに立った上田桃子。17番のバーディーチャンスを外し、18番(パー5)ではフェアウェイキープができず、第2打も大きく右へ外してボギー。涙を飲んだ。

初日は「73」とオーバーパーをたたきましたが、3日目に7つスコアを伸ばす猛チャージで一気に首位に立って最終日へ。1番(パー4)でいきなりボギー。6番でも落として一組前の上田桃子に並ばれるピンチを迎えます。しかし、ここからが百戦錬磨の申ジエでした。再びトップを取り戻し1打差リードでバックナインへ。最大のピンチは15番(パー4)。2打目がグリーン奥のラフへ転がり落ち、3打目も寄らず3㍍強のパーパットを残しました。これをしぶとく沈めて切り抜けたのです。追ってくる上田桃子、稲見萠寧にもミスが目立ち、申ジエはしびれる終盤を耐え抜きました。最終18番(パー5)ではとどめのバーディーフィニッシュ。通算10アンダー。最後は2位の上田、稲見に3打差をつける“強さ”をみせつけました。「上田桃子さんが前の組ですごくいいプレーをしていたので、プレッシャーをたくさんもらった。呼吸のコントロールが難しいくらいだった。いい勝負を最後までできて嬉しかった」と申ジエのコメント。勝負のかかった“終盤の強さ”は、いまも健在。プロフェッショナルな言動や正確無比なアイアンショットはいまも定評のあるところです。

スイング改造などのオフを経て、いきなり優勝戦線に加わった稲見萠寧。3打差2位タイは、今季の復調が待たれる。

2014年の日本ツアー本格参戦から今年で10年。まだ取っていない日本ツアーの年間女王と、あと3勝に迫った永久シード権付与の「通算30勝」。大病から這い上がった申ジエ悲願へ道は、素晴らしいロケットスタートで始まりました。

 

(了)