選手のホスピタリティーが好感度。 シニアツアー2けたの10試合に!

4試合増の10試合になったシニアツアーは盛況。15年ぶりの2ケタ開催に(中嶋常幸のショット=09年日本プロシニア)
4試合増の10試合になったシニアツアーは盛況。15年ぶりの2ケタ開催に(中嶋常幸のショット=09年日本プロシニア)

 昨年はわずか6試合に減っていた国内シニアツアーが、今年は一気に4試合増の10試合に増えて注目を集めています。シニアツアーが2ケタになるのは95年以来で15年ぶりの盛況ですが、中でもHanda Cup(国際スポーツ振興協会・半田晴久会長)が、内容を変えて年間2試合開催するのが特筆ものです。昨年休催していた「スターツ」と「三甲」がともに復活開催することになったのも珍しいことで、PGA松井功会長以下PGA関係者のセールス活動の熱意が実ったといえそうです。開幕戦は6月とやや遅いですが、その後は11月まで毎月試合があるツアーらしい形態にどうにか戻ってきました。
 
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 わずか6試合では、ツアーというのもおこがましい-などという声が聞こえていた昨年のシニア界でした。確かに6月に開幕しても飛び飛びの6試合では、選手の方だって調整に戸惑うばかりでした。
「これ以上減ったらどうするのか。最悪だった99年の3試合に迫ってしまう」と、危機感におびえていたのも事実です。松井功会長らPGAのスタッフは経済人に会ったらまずシニアの試合参入をお願いして頭を下げるといったセールス活動を続けました。世界経済の低迷は、プロゴルフでも力の弱いシニアにしわ寄せがきていたので苦戦でした。
 

シニアツアー、昨年の賞金王・尾崎健夫(右)と室田淳(左)。
シニアツアー、昨年の賞金王・尾崎健夫(右)と室田淳(左)。

 青木功はもう68歳になります。ジャンボ尾崎は「ゴルフはレギュラーツアーがすべて。それが自分の信念」といってシニアツアーには出てきません。杉原輝雄も73歳を迎えるとあってはもうムリです。55歳の中嶋常幸が先頭にたち、尾崎健夫、室田淳、高橋勝成、渡辺司、飯合肇、倉本昌弘らの″著名シニア〝がいまのシニアツアーを盛り上げています。ビッグネームはカゲをひそめても「シニアの試合は面白いじゃないか」との声があちこちで聞かれ始めていました。「選手のホスピタリティーがすばらしい」と、スポンサーからの好感度も高まるなど、選手一人一人の努力も効果的でした。そうした風評が企業側にも伝わっていった結果でしょう。
 
 シニアツアーは50歳の誕生日から出場できます。レギュラーツアーと違って、毎年シニア入りする″新人〝が待ちわびるようにして登場してきます。今年の新顔はレギュラーツアー5勝の芹沢信雄、4勝の加瀬秀樹、6勝で日本オープンにも優勝している奥田靖己。国内7勝、アジアンツアー総合優勝などインターナショナル・ツアー9勝を挙げているフランキー・ミノザ(フィリピン)らも加えて多士済々です。そんな背景もあっての4試合増です。
 

大勢のギャラリーに囲まれてティーグラウンドに立つ日本シニアチャンピオン・渡辺司(左)とキャディー。
大勢のギャラリーに囲まれてティーグラウンドに立つ日本シニアチャンピオン・渡辺司(左)とキャディー。

 増えた4試合のスポンサーを紹介しましょう。開幕戦(6月11日~13日)になるスターツシニアは、実は89年から98年まで10年間開催されたあと08に1年間だけ復活。09年は休催したあとの今年の再復活です。親会社の「スターツ」は、不動産業が主体でマンション、ホテルの経営はじめツーリストやマガジン出版まで手がける幅広い経営で知られています。
 第2戦(6月19~20日)の三甲シニア(仮称)は、一昨年の08年、小林旭インビテーショナル三甲シニアin榊原温泉として1年だけ開催されたのと同じスポンサーです。「三甲」は、コンテナやパレット(荷物を置く台)など物流関係で使用されるプラスチック機器等を扱う会社です。日本プロも開催した岐阜・谷汲CCなどいくつかのコースも所有していますが、今回も小林旭インビテーショナルを行った同じ三重・榊原温泉GCでの開催となります。試合は2日間競技で賞金総額も2,000万円(優勝400万円)と低いですが「賞金は少なくても試合数を増やしてほしい」という多くのシニア選手からの要望に応えて実現した第1号です。
 皇潤クラシック(8月7~8日)は新規開催です。これも賞金総額2,000万円(優勝400万円)の小型トーナメントですが、親会社は健康食品等でおなじみの「エバーライフ㈱」です。飲むヒアルロンサン・皇潤や青汁などでおなじみの会社です。やはり2日間大会ですが、シニアの選手にとってはうれしい新規トーナメントです。
 シニアゴルフの活性化を唱える国際スポーツ振興協会(半田晴久会長)ではスポーツ、特にゴルフによる社会貢献をテーマにいくつかの大会を協賛しています。07年からはPGA Handa Cup フィランスロピーシニアトーナメントに協賛していますが、この試合は賞金総額は減らしてそのまま残し、賞金総額1億2千万円(優勝賞金3,000万円)のHanda Cup ウエルフェア(福祉)トーナメントをツアー最終戦(11月25~28日)として新設しました。この試合はヨーロピアンシニアツアーの顧問をしている半田会長の肝いりで欧州PGAとジョイントし、欧州シニアから30人程度を招き、日本選手60人で行うビッグな国際試合としたい意向です。
 

シニアツアーを4試合増の10試合に戻した立役者・松井功PGA会長。
シニアツアーを4試合増の10試合に戻した立役者・松井功PGA会長。

 昨年の国内シニアツアーは全6試合でしたが、、尾崎健夫が獲得賞金33,055,000円で賞金王になりました。今季はそれを上回る賞金王が誕生するでしょう。シニア全盛とまではいえませんが、最盛期には最高26試合(91年)あったシニアツアーです。ドン底だったシニアツアーをひとまず2ケタにまで戻したPGAの努力は評価できるものです。
 松井功会長は「念願だった2けた10試合にやっと戻りました。シニアの選手は、培ってきた高度な技術をファンにお見せできるのと同時に、ファンと一体になれるホスピタリティーに富んでいます。また毎年、レギュラーツアーで活躍した懐かしい顔が入ってきます。シニアの試合はファンが、見て楽しいゴルフであることは間違いありません。私たちPGAの執行部も10試合に留まらず、試合をもっと増やしていきたい。賞金の大小よりも試合数を増やしてほしいという選手の声にも応えたい。今後も努力を続けます」と、話しています。
 

〔2010年シニアツアー日程〕
 
 6/11(金)~6/13(日)
 スターツシニア 千葉・成田GC 賞金総額6,000万円
 
 6/19(土)~6/20(日)
 三甲シニア(仮称) 三重・榊原温泉GC 賞金総額2,000万円
 
 7/7(水)~7/9(金)
 Handa Cup フィランスロピーシニア 静岡・中伊豆グリーンクラブ 賞金総額2,000万円
 
 8/7(土)~8/8(日)
 皇潤クラシック 福岡センチュリーGC 賞金総額2,000万円
 
 8/20(金)~8/22(日)
 ファンケルクラシック 静岡・裾野CC 賞金総額6,000万円
 
 9/9(金)~9/11(日)
 コマツオープン2010 石川・小松CC 賞金総額6,000万円
 
 9/23(木)~9/26(日) 
 日本プロゴルフシニア・秋津原カップ 奈良・秋津原GC 賞金総額5,000万円
 
 10/28(木)~10/31(日)
 日本シニアオープン 兵庫・鳴尾GC 賞金総額8,000万円
 
 11/4(木)~11/6(土) 
 富士フィルムシニア 千葉・平川CC 賞金総額7,000 万円
 
 11/25(木)~11/28 (日)
 Handa Cup ウエルファートーナメント 未定 賞金総額 1億2000万円

《今季シニアツアーに登場する主な新顔》
芹沢信雄
加瀬秀樹
高見和宏
真板 潔
F・ミノザ
木村政信
佐藤英之
平石武則
奥田靖己
東 聡