ヘッドを交換したり、フェースの角度を変えたりできるクラブはこれまでにもありましたが、今度はクラブフェースを自分で交換できる究極のウェッジが登場してアツといわせました。テーラーメイドゴルフが開発した「TPウェッジ with xFT」がそれ。バンカーの砂などで磨耗しやすいウェッジの特性を考えて開発したもので、フェースは専用トルクレンチで簡単に取り替えられ常に高度なスピン性能を保つことができるというゴルファーにはうれしいウェッジです。
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テーラーメイドはすでにヘッドの性能を変えられるトータルチューニングドライバー「R9」のシリーズを発売していますが、今年はアイアンに変化を求めてどえらいウェッジを出しました。新しいフェースへの交換をたやすく可能にした新テクノロジーは「Exchangeable Face Technology(エクスチェンジャブル・フェース・テクノロジー)」。バックフェースに装着された2本のxFTスクリューを専用トルクレンチで回すだけで、同じクラブヘッドに新しいフレッシュなフェースをすばやく装着できるのです。フェースの溝が磨耗して低下したスピン性能やコントロール性能を取り戻せて、使い慣れたウェッジが新品同様になるというわけです。
ウェッジはインパクト時にボールとフェースの間に泥や砂が挟まりやすいものです。砂からのバンカーショットなどその最たるものです。そうしたことで溝の鋭さが失われ、ボールコントロール性能の低下やスピン性能の減少を引き起こしやすいクラブです。昔は磨耗した溝をヤスリ等でゴシゴシと削って鋭さを再生させたものですが、現代のテクノロジーの進歩はもうそんな手細工は必要としなくなりました。
「アイアンのフェースは頑丈につくられていますが、磨耗は避けられません。またバッグへの出し入れや運搬時などでもフェースを傷つけることはよくあります。このxFTは、プロからアベレージゴルファーまで多くのゴルファーが抱えてきた″フェースの磨耗に関する問題〝を解決してくれました」(テーラーメイド・アディダス社アイアンウェッジ担当・ブレット・ウォール氏)。
テーラーメイドの契約プロの中には、新しい60度のウェッジを毎月要求してくるプロもいたそうで、それほど多くのツアープロは頻繁にウェッジを交換して高度のスピン性能の維持を図っているのです。そういう意味からもxFTは先進的かつ画期的なものです。フェースを自分で即座に取り替えられるというウェッジは、当初USGA(米国ゴルフ協会)は難色を示していましたが、テーラーメイド社の強硬なアピールによって最終的にはルール適合となったようです。
アイアンフェースの溝に関しては、いま大きな転換期にあります。従来の角溝は規制され、USGA、R&Aによって定められた新しい規則にそった溝(溝は角型でなく丸みのあるU字型でないといけない等)でなくてはなりません。アマチュアへの規制はまだ先ですが、世界の主要なツアープロ(男女とも)は2010年1月1日から「ZTPグルーブ(溝)」のアイアンの使用を義務付けられています。目的は、角溝アイアンはスピンが効きすぎ、コースでラフに入ったボールにもたやすくスピンがかかってしまうのを防ぐ意味合いがあります。
つまり各メーカーはスピンが効きにくいウェッジを作らなければならないわけですが、それに対抗するさまざまな方策が練られ商品化されているのが現状です。従来のウェッジに加えてさらにロフトのあるウェッジを使用するとか、溝の磨耗を見逃さない細心の手立ても必要になってきます。テーラーメイドの「TPxFTウェッジ」も、新ルールに適合した新設計の溝ではありますが、フェースの小まめな交換はじめその他の新テクノロジーを駆使して、正確なスピンコントロールと優れたスピン性能を発揮するとされています。
テーラーメイドではこの交換フェースは、別売り(4,000円前後)で、新しいルールに適合する「ZTPグルーブフェース」と従来の角溝「Zグルーブフェース」の2タイプを同時に発売します。ゴルファーのニーズに合わせて、どちらを選択するかは自由です。新型と旧型を、取替えながら使用することも可能です。こうした画期的なフェースを交換できるウェッジの登場も、新ルールによる溝規定に対抗しようとするメーカーの知恵といえるでしょう。
ロフトは48度から64度まで10機種。シャフトもダイナミックゴールドとN.S.PRO 950GHの2仕様があります。発売は3月から。価格はオープンプライスとなっています。