恒例の「ジャパンゴルフフェア」が東京ビッグサイトで2月19日から3日間開催されました。今年で44回目を迎えた歴史あるフェアですが、今年の国内外ゴルフ関連企業の出展は180社、539コマ。海外からの出展も10ヵ国・20社となりゴルフの総合イベントとして定着してきました。今年のキャッチフレーズは″みつけよう、あなたのゴルフ〝。今回も新しいゴルフの情報を発信する場としてゴルフ用品の展示やデモンストレーション、ゴルフシュミレーションマシンや練習場施設、ゴルフ関連媒体など多くのゴルフ関連企業が一堂に会した″アジア最大級のゴルフショー〝でした。中でも後援団体である日本プロゴルフ協会(PGA)や女子プロ協会(LPGA)によるレッスン会が各ブースで開かれて好評でした。
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PGAには、優れたアイデアやレッスン理論・方法で最も優れた実績を上げたティーチングプロを選出する「PGAティーチングプロアワード」がありますが、昨年09年の12月には藤井誠、西谷元司、杉山誠の3プロが「優秀賞」を受賞しました。表彰された3人がゴルフフェアのPGAブースでレッスン会を行い、大勢のゴルフファンが足を止めて聞き入っていました。そのなかでもユニークな内容で人気を集めていた藤井誠プロ(50=多摩ヒルズGC)のレッスンの一部をお伝えしましょう。
藤井プロは米フロリダ州オーランドで2年半、ゴルフスイングについての研修をしてきた国際派でもあります。ゴルフは気持ちよくボールを打てるように心身のケアを常に心がけている、といっていました。足を使い、肩を使い、腕を使い、そしてクラブを操る。目に見えないイメージをできるだけ具体化してあげるのが狙いでもある、とも話していました。
彼が持ち出した二つの小道具があります。一つはバイザーの上端から糸を垂らし、その先端には釣りの浮きのような″重り〝をぶら下げます。前傾姿勢でアドレスをとると、その″重り〝が胸からお腹の前あたりでブラブラしています。もう一つはペットボトルです。彼が考案した横棒をペットボトルの飲み口から水平になるように装着、その先端にはピンポン球状のプラスチック球をつけています。このペットボトルをボール位置の向こう側に置き、こちらを向くようにした横棒の下に実際に打つボールをセットします。
この二つの器具を取り付けた状態でアドレスし、実際に打ちます。目先にぶら下がっている糸や″重り〝にバックスイングでは左肩、インパクトでは右肩、また腕、グリップなど体の一部が触れていけません。足元ではボール位置へ突き出しているペットボトルからの横棒、これにクラブが当たるようではいけません。そのいずれの″障害物〝にも触れないようにクラブを振るのがコツです。これを意識して振るとかなり窮屈ですが、両腕が締まって触れます。軸も動かせません。この軌道が正しいスイング軌道なのです。体の軸を動かして打ったり、アウトサイド・インのスイングになったりしている人は簡単にこの障害物のどれかに当たります。すぐに原因を突き止めて当たらないスイングに矯正することができます。二つの器具を外して、自由に振ってみると、ずいぶん体から離れたところを振っていたり、体の軸が左右に揺れ動いたりするスイングになっているのが実感できます。
藤井プロはいっています。「ゴルフスイングは、ヘッドにボールを当てよう当てようとするのではなくて、生き生きとしたヘッドの軌道をつくることが一番大事です。打つことが先でなく、身体の芯からバランスをとり、動きをなぞっていきながらスイング軌道を正しいものにしていくことです。そのスイングができるようになれば、ボールは勝手にまっすぐ、遠くへ飛んでいってくれます」と。
バイザーから目の先にぶら下げる糸と″重り〝は「スイング軸矯正眼鏡」。ペットボトルを「ヘッド軌道矯正ペットボトル」と、プロは呼んでいます。何人かのプロも、道具こそ使いませんが、これに似通った方法でスイングのチェックをしているのを見かけたことがあります。藤井プロはアマチュアゴルファーが正しいゴルフスイングを覚えるために、自分が考案したこの器具を近々、一般販売すると話していました。
藤井プロのPGAティーチングプロアワード受賞テーマも「スイング軸矯正眼鏡とヘッド軌道矯正ペットボトル」でした。