“苦労人”増田伸洋(50)にようやく訪れた“春”。シニアルーキー9戦目でつかんだ生涯2勝目。次週最終戦は長男をキャディーに楽しむとか!

シニアツアーに今季から参戦したルーキー、増田伸洋(のぶひろ・50)がシニア9戦目の「すまいーだカップシニア」(栃木・イーストウッドCC、パー72)で念願のシニア初優勝。3日間大会の2日目が悪天候のため、36ホールに短縮された1戦。初日「66」でトップ発進し、最終日は1イーグル、6バーディー、3ボギーの「67」と好調を維持して通算11アンダー。2位に2打差をつけて逃げ切りました。優勝賞金1000万円を加え、獲得賞金は2031万3545円で賞金ランク4位に浮上。シニアツアーは残り1試合。賞金王の望みはありませんが、次週の今季最終戦「いわさき白露シニア」(鹿児島・いぶすきGC=賞金総額6000万円、優勝1200万円)は長男の康輔さんをキャディーに「楽しい試合にしたい」と、“苦労人”にようやく春が訪れたようです。

シニアルーキー9試合目の初勝利。うれしい“生涯2勝目”の増田伸洋(すまいーだシニア)提供:日本プロゴルフ協会

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安定したショット、パットで激しい追い上げを見せたウィラチャン(タイ)を振り切った増田伸洋(すまいーだシニアで)=提供:PGA

2年前の大会覇者、タワン・ウィラチャン(タイ)に、最終日終盤に1打差まで追い上げられ、増田はちらつく初優勝を前に薄氷の展開でした。大詰めの15番(パー5)。第1打を左ラフに曲げた増田は、良好とはいえないラフのライから果敢に2オン狙い。これが見事な弧を描いてピン7mのグリーンへ。このイーグルパットを着実に決めたのは鮮やかでした。勢いに乗り、17番(パー4)でも4mのバーディーチャンスを沈め、追いすがるウィラチャンの息の根を止めたのは、ルーキーとは思えない横綱相撲でした。最終ラウンド、1イーグル、6バーディーでは、さすがのウィラチャンもハットオフでした。

 

“生涯2勝目”の勝利に満面の笑みをみせる増田伸洋(すまいーだシニア)

千葉・柏市出身。高校時代(流通経済大付属・柏高)はゴルフよりもラグビー部で熱を上げ、高校日本代表に選ばれたほどの腕前。ゴルファーというよりはラガーマンらしいがっちりとした体格が頼もしい増田プロです。実家がゴルフ練習場だったそうで、結構ゴルフにも興味を示し、高卒後はゴルファーを目指して千葉CCの研修生になった変わり種です。しかし、プロ入りまでは7年かかり、1998年10月にプロとなったものの、初シードまでは5年かかったという。スイングもしっかりしていて、もっと勝ち試合があってもよさそうですが、勝ち運がなかったのでしょう。レギュラーツアーでは9年目の2006年「マンダムルシードよみうりオープン」が初勝利で、あとにも先にもツアーVはこの1勝だけ。ただこの年は日本シリーズ2位で、賞金ランクは自己最高の13位になっています。

シニア世代となって初年度に初優勝。今季はこれまで8試合で5回トップ10に入っていて初優勝も近いゴルフをみせていました。まさに50歳にして遅まきの開花・生涯“2勝目”をつかんだ増田伸洋ですが、風の吹く中で安定したショット。パットの読みもよくて、年季の入ったゴルフを見せてくれる男です。これからが楽しみなシニアプロといえそうです。

★優勝コメントも喜びに溢れていました。

「シニアになって、まさかこんなに早く勝てるとは思っていなかったので本当に嬉しいですね。周りはみなさん上手ですし、実力者が多いので、その中で勝ちにいくのは難しいなと、今年シニアにきてみて感じていたので。今週は初日いいスタートが切れて、2日目は中止になりましたが、きょうも朝からつまずいた(3ボギー)のに、持ち直して勝てたのは自信になりました。きょうは一緒だった横尾要がいい感じで伸ばしていたので、ついていこうと。お互い朝から共倒れはやめような、どっちか勝とうなといっていたんです。後半に入ってもいい感じのバーディーチャンスがあっておまけのイーグルまで15番できたから。2日目あの天候だったのに、きょうはコースの状態はすごくよかったのでグリーンもきれいに転がってくれました。(次週の最終戦は?)コースはそんなに苦手意識はないです。あとはグリーンとの戦いですかね。息子がキャディをするので、ふたりで楽しみながらやりたいと思います」

【シニア最終戦の話題をもう一つ=片山晋呉が選ぶのは「カシオ」ではなく「いわさき白露シニア」(予定)】

こちらもシニアルーキー片山晋呉。次週はレギュラーの「カシオ」と重複しているが、シニアの最終戦「いわさき白露シニア」を選びそう。(提供:PGA)

今年からシニア入りしている片山晋呉(50)。これまでシニア8試合に出て、まだ優勝はありません。レギュラーツアーと掛け持ちで出場しており、次週シニア最終戦の「いわさき白露」とレギュラーの「カシオワールド」が 日程が重複します。「さて、どちらを優先させるのか?」。どうやら片山はシニアの「いわさき白露」を選ぶようです。2週前のレギュラー「三井住友太平洋」で5アンダー、6位タイに入って賞金663万円余を加算。賞金ランキング68位に浮上。レギュラーツアーの来季シード権は賞金ランク65位までですが、出場義務試合数不足の除外外国選手が2人いるため、実質67位までがシード圏内。片山の当落は微妙なところ。まだ確定ではありませんが、レギュラーには出場できる「永久シード権」の資格も持つ片山ですから、問題はありません。それよりも片山が目指しているのは、国内シニア賞金ランキング4位以内に入ること。シーズンを終えて“4位以内”に入れば、来年の海外シニアメジャー「全米プロシニア」と「全米シニアオープン」の出場権を得られるのです。現在片山のシニア賞金ランクは11位。残り1試合で賞金ランク4位以内に入るためには、優勝に準ずる頑張りが必要ですが、晋呉は一発それを狙ってシニア最終戦に向かうようです。

(了)