念願の“米ツアーV”を目指す久常涼。中島啓太、金谷拓実、星野陸也は欧州ツアーへ。香妻陣一朗は「LIVゴルフ」へ・・。2024年の日本男子ゴルフは続々と海外進出!

昨季、欧州ツアー最優秀新人賞を受賞した久常涼。今季は米ツアー出場権を得て、念願の“米ツアーV”を狙う!

新しい年があけたゴルフ界はハワイの米ツアーから始まりました。1月4日からマウイ島で行われた「ザ・セントリー」がその緒戦。前年ツアー優勝者ら限定選手が予選落ちなしで戦う4日間大会でしたが、今週11日からは第2戦「ソニーオープンinハワイ」がいよいよオアフ島ワイアラエCCで開催されます。日本勢は22年の大会覇者・松山英樹はじめ今季は米ツアーで戦う久常涼や、金谷拓実、平田憲聖、桂川有人、岩崎亜久竜に主催者推薦では蝉川泰果も今季第1戦で顔を揃えます。これに昨年の日本アマチャンピオン、中野麟太郎(早大2年・アマ)も加わって総勢8人(予定)がハワイに集合です。日本勢、台頭著しい若手軍団が海外で“どこまでやれるか”が2024年のテーマですが、世界の舞台への“前哨戦”ハワイ決戦がまずは注目です。

海沿いのコース「ワイアラエCC」では、ハワイ特有の海風を制することができるかどうかがカギ!

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松山英樹。ハワイの今季開幕戦「ザ・セントリー」(マウイ島カパルア)では日本人えはただ一人参戦したが、パットが入らず大苦戦。59人中58位と“どん尻”のスタートとなった。第2戦「ソニー」での立て直しに期待がかかる(カパルア・プランテーション)。

米PGAツアーは13年から9月開幕で“22~23年シーズン”などと年をまたぐ形での1シーズンでしたが、今年から1月スタートの従来の姿に戻り、36試合のレギュラー大会と8月下旬3試合のプレーオフシリーズ「ツアー選手権」で同年内にシーズンが完結します。その中にはツアー改革の目玉として出場資格が絞られる“格上大会”「シグネチャー大会」が年間8試合設定され、成績上位の選手だけで高額賞金を争います。今季ハワイでの開幕戦「ザ・セントリー」はその一つで、賞金総額は2000万ドル(約29億円)。通算29アンダーで優勝したクリス・カーク(米)の優勝賞金は360万ドル(約5億2100万円)。59人中58位と振るわなかった松山英樹の賞金も50500ドル(約730万円)でした。

国内下部 「ABEMAツアー」年間3勝して脚光を浴び、レギュラーツアーから欧州ツアーへと順調な足取りで登ってきた久常涼。2002年生まれの21歳。中島啓太、蝉川泰果らと同世代のニューヒーローだ。

 

で、1月のハワイ連戦で新たな年が始まった米ツアー。多くの日本選手が世界をめざして日本を飛び出します。昨年ルーキーイヤーで年間3勝を挙げ、国内男子のニューヒーローとなった中島啓太。米ツアー参戦を狙って昨秋挑戦した最終予選会は45位で、5位までに与えられる米ツアー切符は逃がしましたが、下部の「コーンフェリー・ツアー」の限定的出場権は手にしました。「ソニーオープンinハワイ」は出場しませんが、国内賞金ランク1位の資格で与えられた欧州ツアー(DPワールドツアー)を主戦場にする予定で、世界から注目される日本選手の一人です。

昨季ルーキーイヤーで国内賞金ランク2位。今季の飛躍が期待される蝉川泰果。ハワイで注目の今季初戦を迎える。

海外に挑戦するにあたっては大きく影響する『世界ランキング』のおさらいをしておきましょう。2024年のスタート時点での主な日本選手。松山英樹⇒46位。久常涼⇒76位。中島啓太⇒88位。星野陸也⇒89位・・となっていますが、これ以外にも23年日本ツアー賞金2位の蝉川泰果(世界ランク111位)、3位の金谷拓実(世界ランク115位)は欧州ツアーの出場資格を獲得しています。

若手のリーダー格、金谷拓実。

米ツアー参戦を目標とする選手は多いですが、欧州ツアーで成績を残せばそこから米ツアーへというルートがあります。欧州ツアーでは久常涼、星野陸也、川村昌弘がシード権を保持しており、中でも注目は久常涼(21)=岡山・作陽高出=です。久常は22年の欧州ツアー QT(予選会)7位で出場権をつかむと、昨23年には欧州ツアーの開幕戦(豪州PGA選手権)2位。9月「カズ―・フランスオープン」(フランスのナショナルオープン)を制し、欧州ツアー27試合中トップ10は8度。米ツアーにも3試合出て、うち2試合でトップ10フィニッシュ。日本人として初めて欧州ツアーの「ルーキー・オブ・ザ・イヤー」(最優秀新人賞)に輝きました。ポイントランキングも17位で、有資格者を除く同ランキング上位10人に与えられる「米ツアー出場権」を遂にゲット。24年度は憧れの米ツアーに本格登場、“米ツアー初V”の夢を追って戦います。その初戦「ソニーオープンinハワイ」では日本勢最注目の若手といっていいでしょう。

昨季はアジアンツアー(欧州ツアー)で1勝。国内ツアーで2勝。今季も欧州、日本とかけ持ちで戦う“海外志向派”金谷拓実。

そのほか、2月2日にはアジアンツアーが開幕します。ここにも大勢の日本選手の参戦が予定されています。また同じ2月初旬にはサウジアラビア政府系ファンドを背景に2022年にスタートした男子ゴルフの新リーグ。グレグ・ノーマン(豪)がCEOを務める「LIVゴルフ」の3年目が開幕します。日本からは「LIV」今季の予選会を突破した香妻陣一朗が主戦場として参戦。高額賞金を狙ってトライします。

今季のもう一つの目玉は夏の「パリ五輪」です。8月1~4日が五輪男子ゴルフの開催日。21年の東京五輪ゴルフでは松山英樹・星野陸也が日本代表でしたが、今年のパリに乗り込む日本男子ゴルファーはだれになるでしょう?「マスターズ」(4.11~)に続き「全米プロ」(5.16~)、「全米オープン」(6.13~)、「全英オープン」(7.18~)の世界4大メジャーが終わったあと、パリ五輪がやってきます。

一方、日本の男子ツアーは3月28日から東建ホームメイト・カップ(東建多度CC名古屋)で開幕します。大会数は昨年から1増4減の過去最少「23」。賞金総額は30億8800万円と減少しましたが、今年も多士済々、男子ツアーは国内外で台頭著しい若手勢のイキのいいプレーが見ものです。

(了)