優勝6億円!桁違いの“シグネチャー大会”制した松山英樹。すでに生涯ジャンボ尾崎に倍する賞金額を手中に!

6億円のビッグマネーをゲット。「やったぞ!」と会心のガッツポーズをみせる松山英樹。

ゴルフ界をアッといわせた大ニュースにざわつきが収まりません。背中が痛い、首が痛い、手首の不安も取り切れないと、31歳の体力減退を嘆いていた松山英樹が“突然”の大爆発。米ツアー11年目のこの春、ロサンゼルス郊外の名門・リビエラCCで行われた「ジェネシス招待」が舞台でした。6打差7位でスタートした最終日、ボギーなしの9アンダー「62」という驚異的なスコアを出し、通算17アンダーの大逆転優勝。米ツアー9勝目を記録しました。手にした賞金は自己最高の400万ドル。日本円で約6億円。2021年マスターズに勝って得た当時の207万ドル(約2億2800万円)のおよそ倍のビッグマネーを稼いで世間を驚かせたのです。「ジェネシス」の賞金総額は2000万ドル(約30億円)。今季の日本男子ツアーの賞金総額が30億8832万円。日本ツアー「全23試合分」と「ジェネシス1試合分」がほぼ同額という日米の大格差をみせつけられました。

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6打差を逆転する「9アンダー・62」を出した松山英樹の秘めたパワーは驚き。

まさに笑いがとまらない松山英樹の快挙でした。「リビエラ」は、前身の「ロサンゼルス・オープン」を長年開催し、日本勢にも馴染みのコースですが、クラブヘッドに絡みつくような粘りのある「キクユ芝」のラフ。小さめのグリーン上ではボールがポコポコ跳ねてショートパットが難解。短い距離につけても油断ができない「ポアナ芝」(日本名・スズメノカタビラ)のグリーンなどが有名です。選手を悩ませるこんなリビエラの厄介な芝もものともせず、松山は攻めまくりました。最終日、切れのいいアイアンショットを連発してピンを攻め、パットも面白いように決まって3連続バーディーを3回マーク。首位に6打差あったビハインドを次々と消し「これ以上望めないラウンドだった」(松山)と振りかえるスーパーゴルフで、夢の50台もうかがうようなビッグスコア。ゴルフにはこんなことも起こり得るんだ、という可能性を思い知らされました。

米ツアー11年目。すでに8勝を挙げていた松山ですが、4大メジャーの一つ「マスターズ」や「メモリアル」のビッグゲームも制した唯一の日本人であることはご存じの通り。が、300ヤード超を飛ばし外国人選手に引けを取らない松山も、30歳代になって体の負担はじわじわと忍び寄っていました。背中、首、手首・・と手負いの体躯にムチ打っての連戦。このオフも日本に帰国して体のケアに時間をさき「ストレスがだいぶなくなって戦えるようになった」と30代になったゴルフに切り替えた矢先の快挙でした。
2017年に自己最高2位まで上がっていた世界ランキングもこのところ下降続きで55位まで下がっていましたが、「ジェネシス」の優勝で世界20位に再浮上。年間総合ポイント(フェデックスPT)は、54位から一気に3位にジャンプアップです。

“シグネチャー大会”の「ジェネシス」を制し、優勝賞金・6億円をゲットした松山英樹。

それにしても1試合の優勝が6億円という桁違いの高額賞金はどうやって生まれたのでしょうか。
米ツアーでは今年から新たな試合様式を採り入れ、1シーズンのうち8試合の「シグネチャー・イベント」(格上げ大会)という特別大会を設定しました。出場人数を通常のおよそ半分の70~80人に絞り、賞金総額も高く設定され優勝賞金は400万ドル(日本円で6億円=今大会)。通常500PTのフェデックスカップ・ポイント(シーズン終了時のランク上位70位までが来季シード権など)を700PTにアップする新方式です。この“格上げ大会”に出るには、大会前の指定された試合で上位に入りポイントを稼ぐと出場資格をもらえます。選手たちは「シグネチャー」出場を目指して白熱するのでツアーがより盛り上がるという仕組みです。メインスポンサーの「ジェネシス」は、韓国・現代自動車の高級ブランド「ジェネシス」で、松山には優勝賞金のほか1000万円を超える最新型SUV「GV80クーペ」も贈られるという。何もかも別格のシグネチャー大会を制した松山が得たものはスケールが違うビッグさでした。今季はハワイ・カパルアでの開幕戦「ザ・セントリー」が「シグネチャー大会」の第1戦で、クリス・カーク(38=米国)が優勝賞金360万ドル(約5億4000万円)を得ています。

大逆転優勝でつかんだ嬉しい優勝カップを掲げる松山英樹。

いままで松山が米ツアーで手にした優勝賞金の最高顎は、2021年の「マスターズ」で得た207万ドル(約2億2800万円)であることから、今回はおよそその2倍のビッグマネー、自己最高の約6億円を手にしたことになります。日本ツアーの24年1年分(23試合)とほぼ同額の賞金総額が1試合で用意されたりするのですから、米ツアーはまさに賞金面でも“夢の世界”。日本を始め世界のゴルファーたちが米ツアー参戦を夢見るのも分かります。米ツアーで11年目を迎えた松山は、米ツアー250試合目の節目を迎え、今回もビッグマネーを積み重ね獲得賞金総額は4853万1991ドル(約72億7400万円)に達しています。日本の生涯獲得賞金1位は尾崎将司の26億8883万円ですが、31歳にして松山はすでにジャンボ尾崎の倍以上の巨額を稼いでいるのだから驚きです。次のターゲット、4月11日開幕の今季メジャー第1戦「マスターズ」が注目です。
【松山英樹の米ツアー優勝賞金】

2014年 メモリアル   111万6000ドル
2016年 フェニックス  117万ドル
2016年 HSBC選手権 162万ドル
2017年 フェニックス  120万6000ドル
2017年 ブリヂストン招待 170万ドル
2021年 マスターズ   207万ドル
2021年 ZOZO    179万1000ドル
2022年 ソニーOP   135万ドル
2024年 ジェネシス招待 400万ドル

(了)