全米女子OP優勝の朴仁妃(パク・インビ)も日本ツアーに。恐るべし韓国勢。国内女子ツアー開幕!

開幕戦のダイキンオーキッドに向け沖縄入りした諸見里しのぶ(左)はミス沖縄から花束をもらってにっこり。
開幕戦のダイキンオーキッドに向け沖縄入りした諸見里しのぶ(左)はミス沖縄から花束をもらってにっこり。

 国内女子ツアーが沖縄で開幕しました。米女子ツアーで開幕2連勝の偉業を引っさげて日本の開幕戦、ダイキンオーキッドに乗り込んだ宮里藍に話題は集中しましが、フタをあけると主役をつとめたのは韓国勢。こともあろうに日本ツアーは初出場の22歳、アン・ソンジュに2位グループが5打差もつけられて逃げ切られました。5人いた2位タイのうち2人は、08年全米女子OP優勝の朴仁妃(パク・インビ)と09年全米女子賞金女王の申ジエの韓国プロ。それにしても日本の女子プロたちはオフの間、一体何をしてたのだろうと思いたくもなるような結果でした。目玉だった宮里藍は7位タイに終わりました。
 
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同じく有村智恵(左)もミス沖縄から花束を受け取り、健闘を誓ったが・・。(ともに那覇空港で)期待の二人も韓国から来た初出場のアン・ソンジュに独走の初Vを許し、二人とも5打差の2位タイ。 第2戦以後、韓国パワーへの雪辱成るか!
同じく有村智恵(左)もミス沖縄から花束を受け取り、健闘を誓ったが・・。(ともに那覇空港で)期待の二人も韓国から来た初出場のアン・ソンジュに独走の初Vを許し、二人とも5打差の2位タイ。 第2戦以後、韓国パワーへの雪辱成るか!

 大詰の17番でもバーディーを重ねたアンは、最終ホールの18番「パーでいいわと思って打ったら入っちゃった!」と約6メートルのバーディーパットをこともなげに沈めました。独走の10アンダーフィニッシュ。初出場の日本ツアーでしかも開幕戦。なのに硬くなるどころか涙するでもなく、にっこり笑ってデビュー戦Vに大はしゃぎでした。また一人、強い韓国プロの出現です。昨年米国女子ツアー賞金王・申ジエは「アンはもう私のライバル」と、アンの実力を称えていました。
 
 まるまると太めの体格(68㌔)でぽっちゃり顔のアンは、どこか申ジエに似ています。二人並ぶと姉妹のようです。実はアンの方が申より一つ上。05年にプロに転向、韓国ツアーでは韓国女子オープンに優勝(07年)するなど通算7勝。09年は韓国ツアー賞金ランク3位。「日本が好き」(アン)と、昨秋日本のQT(予選会)に挑戦。飛ばし屋でかつ堅実なゴルフを身につけていて「QT2位」通過。今年ほとんどの試合に出られますが、いきなりの優勝で一気に日本ツアーのシード選手の権利をつかみました。
 

昨年の日本ツアー賞金女王・横峯さくら。韓国パワーに対抗して今季も「女王」になれるか!?
昨年の日本ツアー賞金女王・横峯さくら。韓国パワーに対抗して今季も「女王」になれるか!?

 開幕戦で勝利したアンは、当然今シーズン日本ツアーで戦います。昨年米ツアー賞金女王になった申ジエも「今年は7~8試合日本ツアーに出る」と宣言しています。ダイキンで2位タイに入った朴仁妃(パク・インビ=21)は韓国から米国に移住してプロゴルフを目指した一人。07年に米ツアーの出場権を獲得し賞金ランク37位。08年には全米女子オープンで優勝(同年賞金ランク8位)するという大変な戦歴を持っています。日本にも親近感をもっていて昨年12月の日本のQTを初受験、4位に入る実力をみせました。今年は日米両ツアーを舞台にして戦うという強敵です。
 ダイキンで47位のヤング・キム(30)。彼女も米ツアーからの転向組で昨秋受けた日本ツアーのQTでトップ通過した実力者です。03年に米ツアーでデビューしてこの年、ロレーナ・オチョアと新人賞を争いルーキー2位。07年には米ツアーで1勝(LPGAコーニングクラシック)しています。09年まで7年連続で米ツアーのシード権を守ってきましたが「前から日本で戦いたいと思っていた」と、日本ツアーのQTを昨秋初受験で見事トップ通過を果たしました。さまざまな帽子をかぶるなどおしゃれでも評判のキムは「今年は日本をメインに戦います」と、日本転向を明言しています。
 ダイキンでは予選落ちしましたが、金ナリ(24)も転向組。04年の米ツアーQTで9位に入り05年の米ツアー出場権獲得していますが、昨秋初めて日本ツアーのQTに挑戦して6位の好成績で日本ツアーに登場してきました。
 
 このように米国の女子ツアーから日本へ鞍替えしてくる選手が目立ちます。世界的な不況で米国では特に女子ツアーの試合数にかげりがみえ、一時は米国選手の日本への殴り込みがうわさされましたが、実際には母国に近い韓国選手の日本への転向組が続々と増えています。女子プロ人気が依然として続く日本は今年も34試合が用意され、絶好の稼ぎ場となっているからです。韓国パワーを見渡すと、″転向組〝とは別にすでに日本ツアーで活躍している選手が大勢います。09年の日本ツアーのシード選手(51人)のうち11人は韓国選手です。昨秋12月、日本ツアーへの出場権をかけたQTでは、最終予選会で上位4人が韓国人。トップ10のうち7人は韓国選手という結果があります。すでに大勢の韓国選手が日本ツアーを蹂躙(じゅうりん)していますが、加えて転向組が入ってくる今シーズンは、日本選手は戦々恐々です。
 
 ダイキンでは2位タイで、アンには5打差をつけられた諸見里しのぶと有村智恵。「大勢の韓国選手が今年はやってきますが、正直負けちゃいけないという気持ちです。(アン・ソンジュに勝たれたように)来てすぐ勝たれるようでは、日本ツアーは簡単、というイメージを持たれてしまう」(諸見里)。「日本に初めて来た選手に、いきなり優勝されたことはよくないですね。悔しいです」(有村)。
 昨年12月に行われた第10回日韓女子対抗戦(沖縄・琉球GC)でも日本は19-29で大敗しています。対抗戦の戦績も韓国の5勝3敗1引き分けと韓国の実力に押されっぱなしの日本女子ですが、今季の国内ツアーでどこまでリベンジできるでしょうか。
 女子ツアーはほとんど休みなく11月最終週まで全34試合が行われます。今週は高知・土佐CCに舞台を移し、ヨコハマタイヤPRGRレディスが第2戦です。日本VS韓国の戦いも一つの見どころとなりそうです。