シード選手では最年少の20歳・森田理香子が開幕戦のダイキンオーキッド、2戦目のヨコハマタイヤ・PRGRと、2試合続けて初日トップに立つ派手なパフォーマンスを演じました。最終日に失速して結果にはつながりませんでしたが、この森田、ルーキーイヤーの昨年もニチレイPGM(6月)で初日67を出して初のトップスタートをしています。このときも3位に終わり、いまだに初優勝は味わっていませんが、今年は何かをしでかしそうな開幕からの突出です。目立つキャラクターを秘めたプロ3年生の素顔は・・。
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オフがあけて新しいシーズンを迎える開幕戦は、いつもながら心わくわくの試合場です。特に女子は、ひと冬(オフ)を過ごすと目だって変わる選手が多いのです。髪型やらウエアやら化粧やら・・、あれと思わせるように変貌してお目見えしてくるのでびっくりです。もちろんゴルフが一変して登場してくる若手もいて目を見張ります。平成22年の開幕戦線、指名される一番星は、ズバリ森田理香子でしょう。
南国・沖縄で幕が開いたダイキンオーキッド、初日首位に立った20歳・森田は、4つのパー5ホールを全部とって4バーディー。飛ばし屋の本領をいきなり発揮して5アンダー67。派手な幕開けを演じました。QT35位の予選順位で出場した昨年は賞金ランキング27位と大健闘。初めてシード選手として今シーズンを迎えました。開幕戦の結果は32位と尻すぼみでしたが、5日後の2戦目、プロギアの初日にまたも5バーディー、ノーボギーの67。連続して単独トップのロケットスタートは驚かせました。これは史上初めてのことです。この試合は2日目も首位を守り″初優勝も〝の期待が膨らみましたが、最終日はまた緊張度が激しく10位に後退でした。
ゴルフ場も芝生も違うコースで相次いでいとも簡単に「67」を出す森田とはどんな選手なんでしょう?
京都で祖父の代から経営しているゴルフ練習場で、遊んで育った女の子です。
〔小3のとき〕父親から手ほどきを受けてゴルフらしいゴルフを始めました。毎日ゴルフ場で遊んでいるうちに、そこに通ってくるシングルのおじさんたちにスイングのあれこれを教わって育ったそうです。
〔高校1年(05年)〕関西ジュニア優勝。
〔高2(06年)〕このころすでにドライバーはコンスタントに250ヤードは飛ばす長打力を持っていて、全日本女子パブリックアマで、京都学園高1年先輩の桜井有希(現プロ)を下して優勝。
〔高3(07年)〕関西女子アマ優勝。日本女子オープン16位でローアマ。国体個人・団体優勝。日本ナショナルチームで石川遼、宮里美香らと前年に続いて世界ジュニア米国遠征。個人2位。
〔08年3月高卒〕6月の日本女子アマ決勝戦で森桜子(現プロ)に敗れる。そのあと同年7月プロテスト一発合格。秋のLPGA新人戦・加賀電子カップでプロ初優勝。QT35位。
〔09年〕QTの順位でツアー出場。賞金ランキング27位に入る。
〔10年〕開幕戦のダイキンオーキッド、第2戦のヨコハマタイヤPRGRと2戦連続で初日単独首位。
京都学園高でのジュニア時代は関西では負け知らずの強さでした。06年からはナショナルチームのエースとして国際大会でも活躍。国内でもぐんぐんと頭角を現し将来の女子プロ″金の卵〝として注目度が高まりました。同じ京都出身の足立香澄プロにはジュニア時代から心技両面でのコーチを受けてきました。昨秋からは服部真夕とともに岡本綾子プロに師事。新人戦で勝った・加賀電子カップでは2打差の2位から出た最終日、7バーディー、ノーボギーの65の猛チャージでの逆転Vでした。爆発力を秘めている選手です。今年のオフは、岡本綾子プロの紹介で地元京都の実業団ソフトボールチーム・日立の選手と合同トレーニングに励み、筋トレで体力強化に努め、長打力に磨きをかけました。「トップスタートで翌朝から緊張して自分じゃなかった」と、最終結果が伴わなかった開幕2試合を大反省していましたが、もともと精神的にもタフといわれた森田だけに、この2試合は貴重体験そのものでした。同じナショナルチームで活躍したチームメート、宮里美香とは大の仲良し。お互いメールで励まし合っているそうですが、米ツアーへ飛び出した親友・美香のことも森田は刺激になっているのです。
昨年も第2戦から6試合連続予選落ちという試練の序盤戦から5月には立ち直って、最終的には賞金ランキング27位に食い込む初シードをゲットしています。もともとガッツのある選手ですから今シーズンは台風の目に成長しそうです。平成2年生まれ。初優勝すれば、平成生まれの優勝者は、これも史上初の快挙です。