美しいフォームの“ショットメーカー”蘇るか!?伊澤利光・56歳。シニア賞金王も 見えてきた!

5年ぶりのシニアツアー2勝目を手にした伊澤利光(提供:PGA)

軽井沢でのシニアツアー今季5戦目。激しい降雨で2度の中断を挟んだ「マルハン太平洋クラブシニア」(太平洋クラブ軽井沢リゾート、パー71)最終日。レギュラーツアー元賞金王、伊澤利光(56)が、5年ぶりのシニア2勝目を挙げました。韓国の人気選手、チェ・ホソンとの激戦のなか、大詰めの16番から3連続バーディーをマークした伊澤がチェを1打差2位に抑えての快勝でした。シニア2年目の19年「福岡シニア」で初勝利して以来のシニアでのV。優勝賞金1000万円を加え、初の賞金王を狙える位置(4位)まで上昇してきた伊澤利光に注目です。

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シニアツアーは前週の北海道から群馬県軽井沢に舞台を移しての2日間大会。賞金総額5000万円(優勝1000万円)で、プロ89人のほか元プロ野球選手ら著名アスリート23人などのアマチュアが出場。先週、北海道・札幌での「倉本昌弘招待・イーグルカップ」を制し、今季3勝目へ挑んだ宮本勝昌。また賞金ランキング、宮本に続く2位片山晋呉らの挑戦と話題豊富な第5戦でした。そんな中、韓国チェ・ホソンは最終日、ボギーなしの7バーディー「64」で回り、終盤までトップの座を守っていました。初日「62」で単独首位の伊澤がチェに足元をすくわれるかと思われた終盤。伊澤の驚異の3連続バーディーには驚かされました。「今週火曜日の練習で凄くいいフィーリングをつかんだ」(伊澤)というそのパッティング。16番のパー5で4㍍を入れ、17番は2㍍。最後18番は70㌢につけての“3連続”を締めくくりました。「最終ホールは薄暗くなってセカンドが見えにくかった」というが、第2打の123ヤードを50度のウエッジで打ち「ギャラリーの拍手で寄ったんだなと分かつた」という。

まさに会心の3連続バーディー。バックナインは13番でもバーディーで「32」。首位スタートから、4バーディー、1ボギーの「68」。通算12アンダーでチェはじめ後続を振り切りました。これで伊澤の今季獲得賞金は12025万875円。トップを走る宮本勝昌(1973万3000円)、2位片山晋呉(1930万3333円)のしっぽが見えてきました。

レギュラー時代16勝。“最も美しいスイング”といわれたショットメカ―・伊澤利光(太平洋クラブ軽井沢リゾート=提供:PGA)

「優勝できて自信になったですね。一番不安だったパッティングがよくなったのでいいゴルフができた。初日も終盤でバーディーがきたし、それが2日目にもつながった。今年はこの調子で賞金王とかをとれればいいですけど、まだそこまでは確信がないですね。まあできるだけ優勝回数を重ねられるように頑張りたいですね」

レギュラー時代はショットメーカ―として名を売り、2001年には史上最高額2億円超で賞金王。プロテスト合格(1989年)後、すぐに渡米して4年間下部ツアーなどでつんだ経験もある。帰国後の95年には日本オープン完全優勝でプロ初勝利。2001年、03年と2度の賞金王。レギュラーツアー16勝と華々しい戦歴を残しています。シニアになってからはこれまで1勝だけと、優勝から遠ざかっていたが、まだ56歳とシニアでは“若い”グループの一人。5年ぶりの2勝で、持ち前の“美しいスイング”の復活が待たれるプロの一人です。

(了)