50歳以上のシニアゴルファー日本一を決める「日本シニアオープン」で韓国の異色ゴルファー、チェ・ホソン(崔虎星、50)が、シニアツアー初優勝を日本タイトルで飾る完全優勝を達成しました。舞台は千葉・千葉CC川間コース。フェアウェイを絞り、粘っこいラフを伸ばした難コースを4日間通算9アンダーで制覇。ショットしたあと体をクルりと反り返らせる独特のフィニッシュが話題をよび、今後も日本シニア界の人気者になりそう。初日から首位を走っての完全優勝は、2020年の寺西明に続く大会7人目の快挙でした。
☆★ ☆★ ☆★
「虎さん」がシニア参戦するやいきなり“シニア日本一”に輝き驚かせました。初日いきなり「64」を出して単独トップスタートしたチェは、最終日通算7アンダーで3人(横尾要、I・J・ジャン=韓=、チェ)が並ぶ首位での勝負。酷暑の中、抜きつ抜かれつの激戦を展開。対抗馬がスコアを落とす大詰めの15番と16番で連続バーディーパットを決める強さをみせて単独トップ。17、18番プレッシャーのかかるパーパットを連続クリアして逃げきりました。
今シーズンシニアツアーにデビューした50歳のチェは、スコアの伸びない最終ラウンドを3バーディー、1ボギーで回って2つスコアを縮めた通算9アンダー。初日からの首位を守り抜いての初優勝でした。
打つまでは普通の構えですが、打った後体をのけ反らせて打球を追う特徴的なスイングと派手なアクションに注目が集まっています。最終日の16番では第2打のあと、上体が右に倒れるようなしぐさをみせてミスショットかと思わせましたが、ボールはカップ1.2㍍につきバーディーを奪ってみせ、ギャラリーを沸かせました。海外では「フィッシャーマン・スイング」と異名をとっています。地元の水産加工工場に就職後の20歳のとき、マグロの解体作業中に右手親指の一部を切り落とす事故に遭っているという。その後25歳でゴルフを始めた異色のプレーヤーです。レギュラー時代、日本ツアーにも時折参戦。2018年の「カシオワールド・オープン」で優勝。2019年の「HEIWA・PGM選手権」でツアー3勝を挙げています。シニア世代になって久々日本へも“里帰り”です。
シニアのデビュー戦、日本タイトル獲得で国内のメジャー「日本オープン」(10月10日開幕、埼玉・東京ゴルフ倶楽部)の出場権を獲得しました。
「最終日はボギースタートだったのによくばん回できた。ラフも深くてタフな戦いだったが。本当に勝ててうれしい。日本オープンの出場権もうれしいスケジュールでありがたい」と、たどたどしいながらも日本語で喜びを表していました。異色のゴルファー「虎さん」の奮闘、レギュラーツアーでも見られそうです。 (了)