11月21日に終わった大王製紙エリエールレディスで、来季の女子プロツアーのシード選手(50人)が確定しました。女子ツアーは今週の最終戦、LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップを残していますが、この試合は今季の優勝者と賞金ランキング25位までの選手しか出場できないので、エリエール終了でシード選手が確定しました。
アン・ソンジュ(23)が1億3282万3799円余(エリエール終了時)で韓国人初の賞金女王。ツアー参戦初年度の戴冠は史上初で、外国勢では91年のト阿玉(台湾)以来19年ぶりの2人目でした。2年連続クイーンを狙った横峯さくら(24)は2位に終わりました。上位の争いもさることながら「50人」を巡っての当落争いも熾烈でした。
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女子ツアーの翌年シード権は、前年度の賞金ランキング上位50位までに与えられますが、ただし永久シード選手やスポット参戦した外国人選手を除いた上位50人に適用されるので、今年は永久シードの不動裕理を除外した「51人」までの選手が来季のシード権を獲得しました。その幸運の51位に入ったのは浅間生江(26)。群馬・榛名高出身でプロ8年目の選手。今季はQT(予選会)5位の資格でツアー出場、ヨネックスレディス4位、ニトリレディス6位、マスターズGCレディス10位など、トップテン入りもあって頑張りました。プロ8年目にしてうれしい初シードです。
5月のワールド・サロンパス・カップで、遅延プレーへの2打罰を不服として初日に途中棄権。女子プロ協会から史上最高額の200万円の罰金、2年間の新人セミナー受講義務付けの処分を受け、自らも2ヵ月間の国内競技出場辞退等を申し出て受理される不祥事を起こした三塚優子(25)が、この大きなハンデを乗り越えてギリギリ50位で4年連続4回目のシードを確保しました。大いに反省していることでしょう。
同じく後のない49位で新人にして初シードをつかんだのは綾田紘子(23)。法政大に在学中の学生プロ。QT41位の資格で今季は初ツアーに参加、ヤマハレディス2位、日医工女子オープン3位など飛ばし屋で非凡な才能を発揮して初優勝さえ期待されたルーキー。シーズン中にアイアンのシャフトをカーボンからスチールに替えたりしてリズムを崩し、終盤戦も苦戦しましたが、なんとか初シードに食い込みました。日本女子アマ(07年)、日本女子学生(09年)など、アマチュアとしてはトップクラスの活躍をした選手なので、来季への期待が高まります。
今季は外国勢4人、日本勢5人の計9人が初シードを獲得。入れ替わりの激しい年になりましたが、うれしい初シード組の中には昨年プロテスト9位一発合格のルーキー、藤本麻子(20)=岡山・作陽高卒=は、トップテン5回、予選落ちは僅か5試合という安定したゴルフで、賞金ランク27位の堂々たるシード選手になりました。同世代の宮里美香らを意識して早くも「米ツアー志向」をみせています。6月のリゾートトラストレディスで涙の初優勝を挙げた甲田良美(27)も、昨年のプロテスト合格(QT17位)のルーキー。栃木県生まれで白鴎大・足利高ではソフトボールの内野手。昨年4回目のプロテスト挑戦で合格。26歳での合格は同期22人中4番目の年長だったが、いきなりのツアー優勝で賞金43位のシード選手になりました。
明があれば暗もあります。ボーダーラインに約30万足らずに「賞金ランク52位」で涙を飲んだのは、昨年のプロテストトップ合格の吉田弓美子(23)。最終戦の大王製紙エリエールで10位(188万7千円)と健闘しましたが、”あと1打”で初シードを逃がし「経験の差ですかね。QTで頑張ります」と唇をかんでいました。06年の賞金女王・大山志保もシード落ちです。左ひじの損傷で特別保障制度の適用を受け、今季は9試合に復活出場。シード入りを目指しましたが賞金ランクは57位どまり。それでも「ケガから復帰できたのがうれしい。よく頑張りました。QTで頑張って来年は絶対優勝したい」と、気を取り直していました。
ほかに3年連続でシードを維持してきた原江里菜、今季初シードの宅島美香、日下部智子ら”美女軍団”も枕を並べてシード落ち。さらに6年連続シードを維持していた前田久仁子、斉藤裕子ら計11人が涙を飲みました。脚光を浴びる華やかな女子ツアーですが、その影にあるシビアな世界です。
シード落ちした選手は、11月30日~12月3日に静岡・葛城GC宇刈コースで開催されるファイナルQTで来季の出場権を争い、上位30位前後までに入れば、かなりの試合に出場できます。