シニア6年目の倉本昌弘(55)が、初のシニア賞金王に輝きました。プロゴルフで7人いる永久シード選手では初めてシニア賞金王の誕生です。賞金額は4853万0599円で、これは1991年石井裕士(5226万2050円)に次ぐ歴代2位の高額賞金でした。シニア10試合中、9試合に出場、優勝2回、トップテン5回と、ほとんど優勝争いにからんでいた今季ですので、当然のタイトル。レギュラーツアーで30勝も挙げながら縁がなかった賞金王獲得なのに「非常に困惑してます・・」とは??
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今季のシニアツアー最終戦「HANDA CUP シニアマスターズ」(埼玉・おおむらさきGC 11月28日最終日)は、賞金総額1億2000万円、優勝賞金2160万円というビッグプライスで行われました。欧州シニアツアーから29人が参加、日本シニアと欧州シニア両ツアーが初共催した試合でした。欧州シニアツアーでは、新年度2試合目になるこの試合、賞金ランキング加算試合でもあり、イアン・ウーズナム、サンディ・ライル、サム・トーランス、ウェイン・グラディといった名の通った選手達もやってきました。大男ぞろいの外国勢のなかでひときわ小柄な倉本昌弘が大暴れしたのは痛快でした。
倉本は10月の日本シニアオープンも制して今年は好調なシーズンです。3日目にベストスコアの66で回って、15位から一気に首位へ2打差の3位タイへ駆け上がってきました。最終日は2打差首位のシニアデビュー戦東聡とF・ミノザ(比国)と最終組で回りました。その東に迫力がなく、ミノザもスコアを伸ばせません。前半で3つ伸ばした倉本は、単独トップに躍り出て後半へターン。倉本がバーディとした12、14番の同じ2ホールで、東はボギーとする効果満点の展開で「僕の勝因よりみんなに敗因を聞いた方がいいよ」と、余裕十分のチャンピオン。終盤は2位に4打差をつけて17、18番をまた連続バーディーとする怒涛の強さでした。ピッチを上げてきた3日目に8バーディー、最終日は9バーディー(2ボギー)で65を出す爆発力は、ポパイといわれた倉本昌弘らしい豪快なゴルフ。室田淳、東聡、ミノザの日本シニア勢が2位タイに続き、欧州ツアー勢を5位以下に抑え込んだのは、ホームの試合とはいえご立派でした。
ところで、優勝賞金2160万円を加えた倉本は、賞金トップの座をさらに固めて2位室田に1780万円余をつける堂々のマネーキング。「僕のゴルフ人生には縁がないと思っていた賞金王なんて、非常に困惑だね」と、55歳にしてつかんだタイトルに照れ笑い。「(賞金王になったら)またいろんなことをさせられるんでしょう」と、手放しで喜ばないあたりは一癖(くせ)あるマッシー(倉本の愛称)らしい。事実、オフシーズになったあと、12月12日に開催される3ツアーズ(シニア、レギュラー、レディス3団体の対抗戦・千葉キングフィールズ)への出場を渋っていましたが、シニアの賞金王に決まって欠場するわけにもいきません。早速PGA松井功会長から直接要請を受け、シニアチームの主将まで引き受けるハメ?になりました。「今年は1年、ホントに疲れたけど、もう1試合やりますよ!」と、倉本。いやでもこのオフ、ご自分のビジネスだけでなく、シニア賞金王としての多忙なスケジュールで詰まりそうです。プロとしてはうれしい悲鳴のはずですが・・マッシーさん!