Daily Archives: 2011 年 10 月 25 日

よみがえる“和製タイガー・ウッズ”。新しい「谷口軍団」に目覚めた43歳・谷口徹。永久シードへあと8勝!

1年5ヵ月ぶりに優勝カップを抱く43歳・谷口徹。永久シードへ“あと8勝”!(袖ヶ浦CC)提供:JGTO
1年5ヵ月ぶりに優勝カップを抱く43歳・谷口徹。永久シードへ“あと8勝”!(袖ヶ浦CC)提供:JGTO

 過去2度の賞金王、何でも“本音で語る”一匹狼・谷口徹(43)の久々の登場です!
昨年5月の日本プロ選手権で通算16勝目を挙げて以来、さっぱり音沙汰のなかった谷口が、ブリヂストンオープン(千葉・袖ヶ浦)で1年5ヵ月ぶりに吼えました。3日目に首位に立つと、最終日は、競って強い谷口らしいゴルフで6バーディー、ノーボギーの65(ベストスコアタイ)。2位以下を寄せつけず5打差の15アンダーでぶっちぎりました。通算17勝。通算25勝でもらえる永久シード権(現在7人)にはあと8勝。8人目の永久男へ、谷口徹が一番手にのし上がってきました。そして、一匹狼の谷口に、最近「谷口軍団」が出現したのも特注ものですー。
 
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 最終18番でも2メートルのバーディーパットをこともなげに決めた谷口に、“弟子たち”がペットボトルのウォーターシャワーを容赦なく浴びせかけました。えっ、谷口に弟子がいたの?!とちょっと驚きの声が上がりました。常にいいたいことを言い放ち、いつも一人で行動してきた“一匹狼”だったはずの谷口に、です。
 集まった“軍団員”は、今大会で2位タイに入った番頭格の松村道央(27)、9月のフジサンケイでツアー初優勝した諸藤将次(25)、3勝の武藤俊憲(32)に、今年ANAオープンで優勝争いの末6位に入った話題のアマチュア伊藤誠道(16)=東京・杉並学院高1年=までいました。かってのジャンボ軍団や青木ファミリーのように多勢の集団ではありませんが、最近ではちょっとした新集団です。「(18番グリーンで)待ってなかったらシバイたるところや。水をかぶせられて、せっかく優勝の余韻に浸ってたのに、冷めてしもうたわ・・」ーいかにも谷口らしい喜びの表現に、グリーンサイドはまたワッと盛り上がりました。
 歯に衣を着せずポンポンと本音の飛び出す谷口に、40歳を過ぎたころからは次第に惹かれる若手が近づいてきたようです。谷口自身も「もうトシになってきたから若いもんと練習とか行動を共にした方が自分も頑張れる」と、春の自主トレなどから一緒に行動するようになったのです。「いままでは、そういうグループというのはなかったけど、今は後輩を教えたりするようになった。ああやって(18番で)待っていてくれたりすると、今までの優勝ではなかったことなんで、やっぱり嬉しかったね。師匠と弟子とではこれだけの差があるんやというところが分かったでしょう。なめられたらあかんからね」
 
 その弟子たち。谷口によると「(雨で36ホール競技となったフジサンケイクラシックで勝った)諸藤には、初優勝は本当の優勝じゃないぞ」といってあるそうですが、アマチュアで話題を集める伊藤誠道には「自信過剰になってピノキオの鼻が伸びないように厳しくいっといたよ」という親分です。裸の師匠の一言一言は、この弟子たち、メンタル面でもズシリと効き目があるでしょう。
 

着実にフェアウェイをキープする谷口徹のドライバーショットは勝因の一つだ(ブリヂストンOP=袖ヶ浦)提供:JGTO
着実にフェアウェイをキープする谷口徹のドライバーショットは勝因の一つだ(ブリヂストンOP=袖ヶ浦)提供:JGTO

 この試合では「ショットが“これでもか”というくらいピンに向かったと」絶好調。最終日は18ホール中16ホールでパーオンに成功し、フェアウェイを外しませんでした。2度の賞金王に輝いたころは、いいバーディーパットを決めるたびに派手なガッツポーズを連発。「和製タイガー・ウッズ」といわれたものです。家庭を持ち、昨年9月には2人目の娘が誕生。すっかり落ち着いた谷口は「安心感、満足感に浸っていた気がする。以前は毎週優勝を狙ってコースに出ていたのに、最近はその気持が薄れていた。本気になればまだまだ大丈夫だと分かった」と、失いかけていたゴルフへの意欲を今回の優勝で取り戻したそうです。6月はじめからこのブリヂストンまで14試合を休まずに駆け抜けてきました。来年8月にはWGC・ブリヂストン招待(米ツアー)の出場資格も得て、早くも改めての米ツアー挑戦の意欲を表明しています。
 
 43歳にして新しい弟子たちに囲まれた谷口は、目を覚ましました。賞金ランクも9位に浮上。賞金ランク1位の裵相文(ベ・サン・ムン=韓国)の出現を目の当たりにして「久しぶりに強い選手が出てきた。ああいう選手に追いついて勝ちたい」と、勝利への執念もムクムク。あと8勝に迫った永久シード権獲得が大きな目標ですが、アラフォーの代表格として、目覚めた“師匠”のこれからがまた面白くなってきました。