Daily Archives: 2012 年 7 月 24 日

不動裕理、全美貞をねじ伏せた新星・木戸愛(22)。父は元プロレスラー

1メートル72の長身に股下84㌢。大型・美脚の新星、木戸愛は安定したドライバーと神がかり的なパットで5年目の初優勝を勝ち取った。
1メートル72の長身に股下84㌢。大型・美脚の新星、木戸愛は安定したドライバーと神がかり的なパットで5年目の初優勝を勝ち取った。

 元プロレスラーを父に持つ木戸愛(めぐみ、22)がプロ5年目で嬉しいツアー初優勝を飾りました。初日から首位を走り、最終日は不動裕理、全美貞(ジョン・ミ・ジョン)と、女子プロ界を代表する“両横綱”二人と最終組で回り通算14アンダーで競り勝った堂々たる完全優勝。父親がプロスポーツマンの“ゴルフ父娘ペア”は福嶋晃子、浩子(プロ野球大洋、広島・久晃捕手)、東尾理子(プロ野球西武・修投手)、工藤遙加(プロ野球西武、ダイエー・公康投手)、久保啓子、宣子(プロ野球近鉄、阪神・康生投手)ら。中でツアー優勝を果たしたのは、福嶋晃子に次いで木戸が2人目です。1メートル72、股下84センチ・・8頭身モデル級ルックスも抜群で、女子プロ界待望の大型ニュースターの誕生といえそうです。

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 サマンサタバサ・レディス。メイン商品はレディスのバッグという人気ファッションブランド主催の新設大会。会場(茨城・イーグルポイントGC)は各所にモデルが立って華やかに大会を盛り上げましたが、どうしてどうしてフェアウェイを闊歩(かっぽ)する主役は、群を抜いて輝いていました。初日から6バーディー、ノーボギーの66を出してトップに躍り出た木戸愛は、2日目も4連続バーディーなど7バーディー(1ボギー)の66。2日間とも「66」は強烈で、2位以下を早くも4打引き離す快走でした。4番パー4は10メートルスライスラインを読みきって入れました。7番のパー4で20メートル近いフックラインを沈めたのは圧巻でした。2日目神がかり的なパットが次々と決まって、ツアー初優勝に“王手”をかけたのです。

プロ5年目に花を咲かせた木戸愛。東北高の2年先輩に有村智恵、原江里菜。1年下には大江香織。08年プロテスト1発合格。8頭身モデル体形のニュースターになれるか?
プロ5年目に花を咲かせた木戸愛。東北高の2年先輩に有村智恵、原江里菜。1年下には大江香織。08年プロテスト1発合格。8頭身モデル体形のニュースターになれるか?

 逃げる最終日は、未勝利の選手には厳しいものです。1番はバーディーでスタートしながら、6番で2メートルのバーディーパットを外してからリズムを崩しました。7番で3パットのボギー。8番では1メートルのバーディーパットがカップにけられ、9番パー3では右の林に打ち込んでダブルボギー。ここで4打のリードを使い果たし、不動裕理と肩を並べます。 「緊張感のピークでした」(木戸)といいながら「そのドキドキ感が幸せだなと思って・・。きょうはすべての状況を受け入れようと心に決めていたので」(木戸)。そう気を取り直したら、10番の第1打はフェアウェイをしっかりキープ。そこからバックナインは4バーディーを奪い返したのですから、凄い精神力です。3日間で18バーディーを奪った“パット力”も勝因のひとつでした。

 「長い一日でしたが、興奮しています。勝てて嬉しいの一言です。17番のバーディーは8メートル。ラインがしっかり見えたんです。(3打差で最終ホールにきたが)最後の最後まで“勝てる”とは思わなかったです。最後のウインニングパット(50センチ)を打つまでね。ピンチもあったですが、気持ちが引いたときは一瞬もなかったです。ハーフターンで不動さんにならばれましたが、キャディーさんと“気持ちだけは負けないようにしよう”と話して、10番へいくときは“それが大事”という歌を口ずさみながら、最後の9ホールに入りました。初優勝まで早かったか遅かったのかは分らないけど、必ず通らないといけない道だったと思うので、きょうは私のペースだったかなと・・。体格に恵まれてるので、やはりパワフルなプレーヤーになりたい。そして日本のあとは世界にいきたいですね」

ティーグラウンドで出を待つ木戸愛(左)。
ティーグラウンドで出を待つ木戸愛(左)。

 神奈川・横須賀市生まれ。幼少のころ、水泳が上得意だったが、ゴルフ好きの両親の影響で10歳からゴルフを始めました。小学生のころは、“いぶし銀”といわれたプロレスラーの父親とスクワットなど一緒にやってトレーニングの指導も受けていました。高校は親元を離れ、宮城・東北高へ。2学年上に有村智恵、原江里菜。1学年下に今季のフジサンケイで初Vを果たした大江香織。優勝したグリーンサイドで最初に祝福の抱擁をしてくれたのは、高校は違いますが東北福祉大の佐伯三貴でした。続いて東北高の先輩有村も一緒に号泣して抱き合ってくれました。
 先輩、同輩からも愛される木戸。上田桃子とは同じマネジメント事務所「サニーサイドアップ」との契約で親しく、一緒にトレーニングをする仲。11年2月には上田が行った豪州合宿に参加。それがきっかけでスティーブ・マクレイ氏の指導を受け「下半身の安定性から生まれる上半身の回転」をメインテーマに掲げてスイングの改造にとりくみました。球筋もドローから高弾道で打てるフェードに変えてぐんぐんとスコアは安定。QT40位の資格で戦った11年は、中京テレビブリヂストン4位タイに入るなど初のトップテン入り。賞金ランキング49位で初めてシード選手にもなりました。
 初のシード選手として、今年フル出場する木戸は、地図情報会社国内最大手の「ゼンリン」と所属契約。森永製菓ウイダーとサポート契約も結び、トレーニングやマッサージも受けるなど、プロ5年目、飛躍の年といわれた矢先での初優勝でした。

 父親がスポーツ選手だった女子プロは福嶋晃子が有名ですが、久々晃子にも劣らぬ本格派・愛の登場です。開幕戦のダイキンで勝った斉藤愛璃、フジサンケイで勝った大江香織らに続く今季初Vの新星。スタイルも実力も兼ね備えた木戸愛への期待は高まるばかりです。木戸の妹・侑来(ゆきな、18)も24日から始まる「LPGA最終プロテスト」に挑戦、姉に続いての女子プロ入りを目指します。