もしプロだったら・・この5年間でほぼ1億円を稼ぎ出したのです!! 松山英樹、20歳。東北福祉大の3年生のアマチュアです。卒業してからのプロ転向なら、来年もう1年あります。いくら活躍しても賞金は0円で、なんとももったいない話ですが、優勝賞金4000万円のビッグトーナメント、ダンロップフェニックス(宮崎・フェニックスCC)でも、世界ランク3位のルーク・ドナルド(34、英国)に次ぐ単独2位。“プロ級”の活躍でしたが、賞金2000万円はそのまま3位の小田孔明に渡りました。もしドナルドが来ていなければ世間を驚かせる「優勝」でした。アマチュアとして2年連連続でマスターズに出場、予選をクリアしていますが、今年はその資格がありません。昨年石川遼がこれで出場した「特別推薦枠」へ、わずかな期待をかけていますが、さてどうでしょう? 今週、カシオワールドにも出場して今年を締めくくりますが、松山クン、もう一刻も早くプロに転向したら!!
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2週連続優勝が期待された石川遼が、ずるずると順位を落としてお呼びでなくなったビッグゲーム。現在世界ランク3位、昨年は欧州、米国両ツアーで賞金王になったルーク・ドナルドの“強さとうまさ”にファンの目はひきつけられました。そんなムードの中、連日、アンダーパーのゴルフで、じわじわとドナルドに食い下がってきたのが、アマの英樹でした。最終日は、6打差の6位と大差をつけられてのスタートでしたが、次々とバーディーを決めて前半はドナルドと同スコアの33で負けていません。
後半に入って11番に続き、12番では8メートルのフックラインをねじ込んで連続バーディー。3打差にまで接近して色めき立ちました。その直後の13番。左ドッグレッグの短いパー4(332ヤード)で飛ばし屋は林越えのショートカットでワンオンを狙います。英樹も果敢に攻めましたが、グリーン上で3パットのボギーはいただけません。
「せっかく3打差に縮まったところで、あれで流れを悪くしてしまった」(英樹)と、痛恨のミスです。結局5バーディー、1ボギーの67は、最終日としては悪くはありませんが、ドナルドには5打差をつけられたのは実力の差でしょう。
松山英樹のコメント。
「6打差でも、6つバーディーをとれば追いつけると思っていた。途中で3打差になったのに自分で3パット(13番)して、あれで流れが悪くなってしまった。ショットはきのうのいい勢いがあったけど、パッテイングでもったいないのがたくさんあった。大事なところで決められなかった。ショートパットのミス。それがトップとの差。順位は満足だけど内容があまりよくないので喜べません。自分は予選を通ったら、トップテンを外さないことと、優勝を意識してやっています」
堂々の日本人最高位。盤石の強さで完全優勝したドナルドに「日本の希望だね」と称賛された英樹です。300ヤードドライブを飛ばす“怪物”は、アイアンショットでもトッププロ並みのキレをみせます。難しい14番では、左の林に曲げながら狭い隙間を低いフックボールで打ち出し、ランも入れて2オンさせ、パーセーブしたのは凄かったです。最終日、出場62人中、パーオン率はトップの94.44%を誇りながら、パッテイングに苦しみました。
「パットをもっと練習して精度を上げていかないと勝てない」と、反省しきりでしたが、プロのトーナメントに出るたびにスケールの大きいゴルフでファンや関係者をうならせる英樹です。
昨年はマスターズで27位でベストアマをとったのをはじめ、三井住友VISA太平洋マスターズでプロツアー初勝利を達成して湧かせました。今年はマスターズと国内僅か5戦で仮の賞金は4735万4000円(賞金ランク17位相当)。今回は今季2度目の2位。7月のサン・クロレラ2位から日本オープン7位、三井住友VISA太平洋4位、ダンロップフェニックス2位と、目下4試合連続のトップテン入りです。どこから見ても、もうトッププロ並みの実力と人気を備えています。08年の終盤2試合に出場して以来、毎年出ているプロツアーは、5年で出場23試合、もしプロなら9793万9135円を手中にしている勘定になります。賞金だけで考えれば、あ~もったいない!!
今すぐにでもプロ宣言すればプロになれるのですが、やはり学業もおろそかにできないのでしょう。07年に15歳でプロツアーを初制覇した石川遼も、翌08年には早々とプロ宣言、4年目の11年には早くも獲得賞金5億円を超えました。“プロ級”の実力のついた松山も、プロ転向への思いは相当強くなって悩んでいるでしょう。「プロ転向は、あんまり考えてないです。プロになってもならなくても、優勝を目指す気持ちに変わりはありません。お金はもらえないけど・・」と、胸中は複雑です。来年もう1年、アマチュアとして我慢できるかどうか。“大学卒”の肩書もほしいでしょうが、1年でも早くプロになって稼ぐのも、プロゴルファーとして不思議ではありません。
常に英樹に帯同している東北福祉大の阿部靖彦監督は「オフには話をするつもりだが、自分のことは自分で決める子だから・・」と、こちらも難しい選択にまだ言葉を濁しています。マスターズの出場資格のない英樹に、残されたチャンスは来春までにマスターズ委員会からの特別推薦がくるかこないか。2年連続で出場、ともに予選を突破して昨年はベストアマ。今季も日本の国内プロツアーで好成績を挙げている実績を委員会がどう判断するか。特別推薦は毎年2~3人と少なく、昨年は石川遼が3月7日にこの招待が決まりました。特別推薦はプロもアマもありませんから、この時期を待つか、もし出場できればマスターズ終了後、プロ転向を宣言する可能性があるでしょう・・!?
あれこれありますが、これだけ“プロ級”の腕になったのなら「英樹、さっさとプロになったら」!!