Daily Archives: 2014 年 3 月 18 日

開幕3戦目(昨季)、開幕2戦目(今季)でツアー2勝の″3月娘〝。初体験のプレーオフを制した一ノ瀬優希!!

プロの父親に厳しくたたき上げられた一ノ瀬優希の力強いドライバーショット
プロの父親に厳しくたたき上げられた一ノ瀬優希の力強いドライバーショット

賞金女王最多輩出県(4人)・熊本からまた肝っ玉プロがツアー2勝目を挙げました。一ノ瀬優希(25)。ちょうど1年前、13年3月の開幕第3戦(Tポイントレディス)で森田理香子、全美貞の強豪を抑えてツアー初勝利したのに続く白星。″1勝はまぐれ。2勝したら本物〝といわれるツアー優勝。まさにそれを地でいく一ノ瀬の2勝目はズシリと重い。開幕2戦目のヨコハマタイヤPRGRレディス(高知・土佐CC)で2打差の3位から出た一ノ瀬は67で回って通算7アンダー。未勝利の酒井美紀(22)とのプレーオフホールを1ホール目のバーディーでものにするカッコいい決着。平瀬真由美、不動裕理、上田桃子、古閑美保の4人の賞金女王を輩出した″王国・熊本〝の新しいヒロインです。

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酒井美紀のドライバーショット。18番、ピンに絡めたスーパーショットで追いつき、初優勝をかけてプレーオフに 臨んだが、一ノ瀬のバーディーで涙を飲んだ。
酒井美紀のドライバーショット。18番、ピンに絡めたスーパーショットで追いつき、初優勝をかけてプレーオフに 臨んだが、一ノ瀬のバーディーで涙を飲んだ。

一組うしろからきた酒井美紀が、18番の第2打をピンに絡ませるスーパーショットでコースはどよめきました。1㍍強のバーディーチャンス。1打ビハインドできた酒井がみせた渾身の1打。これを入れるバーディーで通算7アンダー。練習グリーンでプレーオフに備えていた一ノ瀬の顔が一気に引き締まりました。初めて経験するプレーオフ。

「緊張していたのでプレーオフは1ホールで終わらせたかった」(一ノ瀬)と、18番(370ヤード、パー4)を使ってのプレーオフに気合を入れ直しました。酒井も負けていません。プレーオフ1ホール目。ピン右奥5㍍に乗せてきます。これを見て打った一ノ瀬のセカンドは、ピンの右3㍍。バーディー合戦です。酒井のバーディーパットは僅かにカップの右へ。一ノ瀬は軽いフックラインを見事に読み切って、ボールがカップインする前から右手を突き上げる自信満々のガッツポーズ。計算通り、プレーオフは1ホール目で勝負を決めた一ノ瀬の2勝目でした。

一ノ瀬には勝ち運がありました。「あれが大きかった」という本戦の9番。下りの4㍍を沈めてバーディー。続く10番(パー5)では、残り138ヤードからの3打目がワンバウンドして直接入る″青木功並み〝のイーグル。さらに11番でもスコアを伸ばし、″3連続〝で4打を縮めてV戦線に食い込みました。

「まさか開幕2戦目で勝つなんて・・。とにかくうれしい」と笑顔がはじけました。昨年は開幕3戦目。今年は開幕2戦目で早々と勝利をものにしたのですから、まさに″スタートダッシュ3月娘〝です。これを土台に、念願の年間複数勝利につなげなければいけないでしょう。

このオフは1月のタイ合宿で、昨年10月に痛めた左鎖骨を再び痛めました。そのあとハワイ合宿、アリゾナ合宿と海外が続きましたが、最後のアリゾナは20日間の予定を半分で切り上げたほどで、「思うぞんぶんクラブを振れないオフ」(一ノ瀬)でした。国内開幕戦のダイキンでは予選落ち。「もう痛みはないけど不安があった。それを取るには練習しかない」と、ようやく今週になって打ち込み量を3倍に増やして試合に臨んだのでした。5つ伸ばす67で回った最終日は、そんな苦しかったオフがうそのような会心のゴルフでした。

父親はシニアの一ノ瀬喜一郎プロ。小学校時代はバトミントンに熱中していましたが、中学生になった12歳で「父親がやっているゴルフをしようかな」と、クラブを握ったのがゴルフにはまるきっかけでした。もちろん師匠は父親で「才能がなければ努力しかない!」と厳しい指導を受け、負けず嫌いな優希は遊びも忘れて練習に没頭しました。そのおかげで頭をもたげてきた一ノ瀬は、16歳で日本女子アマに出ていきなりベスト16入り。翌05年には九州女子アマ2位。その年のJGAのナショナルチームのメンバーになり、一つ年下の森田理香子はナショナルチーム時代の親しい仲間でした。

高校を卒業した07年はプロテスト一発合格。12月の新人戦「加賀電子カップ」では自己ベストの65を出して逆転優勝。順調なプロへのスタートでした。同期には佐伯三貴、服部真夕、若林舞衣子ら。11年にはシード権を失う挫折がありましたが、12年はQTからカムバックしました。プロ入り7年を要しましたが、昨季、「Tポイント」でツアー初優勝。今季は早々と2勝目。「勝って有名になりたい」と、かねがね口にしていた優希。遅咲きながら″女子王国・熊本〝の血を受けて、いよいよ25歳・肥後もっこすの開花でしょうか?!